アーム、通期見通しに弱さ 株価下落 AI効果で半導体需要に自信
アームの2025年3月通期の見通しは投資家の期待をわずかに下回る水準。一方、アーム自身は成長性に自信を示している。
英半導体大手でソフトバンクグループ子会社のアーム・ホールディングスがアメリカ株式市場の8日の取引時間終了後に発表した2024年1-3月期決算は実績と4-6月期の見通しで市場予想を上回る好決算だった。一方、同時に示した2025年3月通期の見通しは市場予想を超えられず。アームの株価は時間外取引で一時、10%下落した。アームは人工知能(AI)ブームを背景にした半導体需要の拡大が今後の成長に寄与するとの見通しを強調しているが、投資家の高い期待には応えられなかったようだ。
【関連記事】アーム、成長見通しの上方修正は? 31日決算 混迷の半導体株に影も(2024年7月24日)
アームの1-3月期は好決算も、2025年3月期の見通しに弱さ
アームの1-3月期決算は総収入が前年同期比46.6%増の9.28億ドル。調整ベースの1株当たり利益(EPS)が0.36ドルだった。LSEGがまとめた直前の市場予想は、総収入が8.76億ドル、1株当たり利益が0.30ドルで、発表された実績はいずれも予想を大きく上回った。また、4-6月期の見通しについては、総収入が8.75億-9.25億ドル、1株当たり利益が0.32-0.36ドルとした。中間値の総収入9.00億ドルと1株当たり利益0.34ドルは、いずれも市場予想の8.58億ドルと0.31ドルを超えた。
一方、同時に公表された2025年3月期の総収入の見通しは投資家の予想を超えられなかった。アームが示した38億-41億ドル(中間値39.50億ドル)の範囲は、市場予想の39.89億ドルをわずかに下回った。1株当たり利益の範囲は1.45-1.65ドル(中間値1.55ドル)で、こちらは市場予想(1.54ドル)をわずかに超えた。
こうした決算発表を受けて、米ナスダック市場に上場されているアームの米国預託証券の株価(ARM)は8日の時間外取引で値下がりし、一時95ドル程度まで下落した。8日の終値(106.07ドル)との比較では約10%の下落率だ。8日の時間外取引では半導体大手のNVIDIA(エヌビディア、NVDA)も8日終値比0.6%安程度で取引されている。
アームのハースCEOは半導体需要の拡大に自信
ただ、アーム自身は成長性の高さを強調している。レネ・ハースCEOは決算会見で、「アームの成長は加速している」と言及。顧客企業がアームの技術を用いた半導体を製造する契約を結ぶ際にアームが受け取るライセンス収入は「莫大な成長をみせている」とした。アームの技術はエネルギー効率が高いAI開発を実現できるといい、ライセンス収入の増加はAI開発需要の高まりの表れだと説明している。
アームの発表によると、1-3月期のライセンス収入は4.14億ドルで、前年同期比59.8%増。10-12月期の18.4%増から大きく加速した。顧客企業がアームの技術を用いた半導体製造で得た収入に応じてアームが受け取るロイヤルティ収入は37.4%増の5.14億ドルだった。
8日の株式市場でみられた株価下落には、アームの株価の割高感も関係していそうだ。LSEGによると、アームの株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は66.79倍となっており、エヌビディアやアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の30倍台と比べて大幅に高い。アームが株価を上昇させるには、今後も投資家が期待する高いハードルを越え続ける必要がありそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。