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東京エレクトロン、株価浮上せず 決算からジリ安 中国見通し不安

東京エレクトロンの株価は12日の好決算発表にも関わらず値下がり傾向。中国向け売上高の反動減が業績に与える影響の不透明感が重荷だ。

東京エレクトロン、株価浮上せず 決算からジリ安 中国見通し不安 出所:ブルームバーグ

半導体製造装置の東京エレクロトンの株価が好決算の発表後も勢いづいていない。2024年7-9月期決算発表の翌日にあたる13日の株価は値上がりしたものの、その後は値下がりと値上がりを繰り返し、ジリ安といえる状況だ。2025年3月通期の業績見通しの上方修正や自社株買いまで発表したにも関わらず、投資家の納得は得られなかったといえる。東京エレクトロンの業績をめぐっては中国向け売上高の先行きが不安視されており、株価の今後の見通しには下押し圧力がかかり続けそうだ。

東京エレクトロンは7-9月決算発表からジリ安 

東京エレクトロンの株価(8035)は18日午前は2万1700円程度で取引されている。前週末の15日終値からは2%超も安い水準だ。7-9月期決算発表翌日の13日の終値は前日比0.88%高だったが、14日には3.49%安と反落。決算発表後の値動きはジリジリと下落している状況といえる。

東京エレクトロンなど日本の主な半導体株の値動きのグラフ

東京エレクトロンは2025年3月の業績を上方修正 自社株買いも発表

12日の取引時間終了後に行われた東京エレクトロンの決算発表は一見すれば悪い内容ではなかった。総収入は前年同期比32.4%増の5665億円、営業利益は54.1%増の1481億円だった。ブルームバーグがまとめた事前予想は総収入が5504.6億円、営業利益が1379.7億円で、発表された実績はいずれも投資家の見通しを上回る内容だった。

東京エレクトロンの業績(総収入、営業利益)の推移のグラフ

また、東京エレクトロンは2025年3月通期の業績見通しについて、総収入を2兆4000億円とし、8月8日に示した2兆3000億円から上方修正。営業利益も6800億円とし、従来の6270億円から引き上げた。河合利樹CEOは決算説明会で、WFE(半導体前工程製造装置)市場について回復基調にあるとし、「2025年に向けて、最先端メモリ、最先端ロジックの設備投資が本格化すると期待される」と述べた。さらに東京エレクトロンは決算発表と同時に最大700億円の自社株買いも発表している。

中国向けの売上高の見通しは不透明 2025年4月以降の業績の絵姿は?

それでも東京エレクトロンの株価が浮上しないのは中国向け売上高の見通しがはっきりしないためだ。東京エレクトロンの中国向け売上高は7-9月期は2339億円で、4-6月期の2770億円から15.6%減。アメリカの半導体輸出規制が強化されるとの観測を踏まえた中国企業の前倒し受注の反動が出たとみられる。中国向けの減速は総収入にも響き、総収入の7-9月期の前年同期比での伸び率(32.4%増)は4-6月期の41.7%増から減速している。

東京エレクトロンの地域別売上高の推移のグラフ

東京エレクトロンの総収入に占める中国向け売上高の比率は上半期(4-9月期)は45.6%だったが、決算説明会では下半期は40%を割り込む水準になるとされた。2025年についても中国企業の新規投資が一服することが想定されており、さらなる低下が見込まれているもようだ。一方、中国の減少分は人工知能(AI)ブームに沸く最先端半導体向けの製造装置で補える可能性があるが、2025年4月以降の業績がどのような絵姿になるかの見通しは不透明だ。

アメリカ大統領選挙でのトランプ氏勝利も不安材料 株価に下落圧力も

また米国の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことは、米国の対中外交姿勢が厳しくなる可能性を高めている。15日の米国市場では東京エレクトロンと同業のアプライド・マテリアルズ(AMAT)の決算発表が投資家の期待に応えられず、株価が急落している。河合氏は政府による輸出規制強化について予想できる範囲で想定していると説明しているが、トランプ氏の政権運営の予測可能性の低さが東京エレクトロンの株価の今後の見通しにとって重荷となる状況が続くことも想定されそうだ。


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