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東京エレクトロン、成長減速予想 12日決算 株価の見通しに不安

東京エレクトロンが12日に予定している7-9月決算は総収入の伸びが減速する見通し。AI関連需要が中国向け売上高の減少を補えるかが焦点だ。

東京エレクトロン、成長減速予想 12日決算 株価の見通しに不安 出所:Adobe Images

半導体製造装置大手の東京エレクトロンが12日に発表を予定している2024年7-9月期決算は成長の減速が予想されている。中国向けの売り上げの減少が見込まれており、オランダの同業大手ASMLホールディングの決算が悪かったこともあって、投資家の期待は高まっていないようだ。こうした中、東京エレクトロンの株価は7月以降の低迷が続いている。12日の決算会見で人工知能(AI)関連需要の伸びが成長加速につながるとの道筋を示さなければ、株価の今後の見通しはさらに悪くなりそうだ。

東京エレクトロンの2024年7-9月期決算は総収入の伸びが減速する見通し

東京エレクトロンの7-9月期決算に関するブルームバーグがまとめた事前予想では、総収入は前年同期比28.7%増の5504億円になる見通し。営業利益は42.5%増の1370億円になると見込まれている。総収入の伸び率は4-6月期の41.7%増から減速し、営業利益の伸び率も101.1%増から小さくなるとの予想だ。

東京エレクトロンの業績(総収入、営業利益)の推移のグラフ

東京エレクトロンの株価は前回決算前から8.47%安 不振が続く

東京エレクトロンの株価(8035)の11月6日の終値は2万3460円。2023年末比では7.11%安だ。約3か月前にあたる8月8日の4-6月期の決算発表では、総収入と営業利益がともに市場予想を上回り、2025年3月通期の業績見通しを上方修正したものの、翌9日の終値は前日比0.70%高どまりだった。その後も株価は低迷を続け、11月6日の終値は前回決算発表直前の水準から8.47%安だ。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は20.35倍。前回決算発表前の23倍程度から割高感が薄れている。2020年以降の平均値(約22.8倍)との比較でも、やや割安といった水準だ。アナリストが提示する目標株価の平均は3万3621円で、現状よりも43%ほど高い。10月末には4万1000円に引き上げる動きも出た。25人のアナリストのうち21人は買い、4人は維持を勧めている。

半導体製造装置の中国向け売上高は減少する見通し 前倒し需要の反動

東京エレクトロンの株価の不振の背景には、半導体技術をめぐる米国政府の対中国輸出規制に関する思惑がありそうだ。米国政府は輸出規制の強化を進めると報じられており、半導体市場では、中国企業が半導体製造装置を前倒しで購入しているとみられている。東京エレクトロン自身も8月の決算会見で、7-9月期の中国向けの売り上げは4-6月期への前倒し納入の結果として下がると説明していた。東京エレクトロンの4-6月期の中国向け売上高は前年同期比80%増の2770億円だった。

東京エレクトロンの地域別売上高の推移のグラフ

こうした懸念に拍車をかけたのが、10月15日に伝わったASML(ASML)の決算発表だ。7-9月期の受注額が前年同期比52.7%減となる悪い内容が株式市場を揺らし、翌16日に東京エレクトロンの株価は9.19%安となった。ASMLは決算発表に際して、中国事業の割合は通常の状態に戻っていくとの見通しを示し、2025年の総収入は2022年に示した予想範囲の「低い方の半分」に収まるとしている。

AI関連需要の増加は追い風 中国向けの不振を補えるか

一方、半導体検査装置のアドバンテスト(6857)は10月30日に発表した7-9月期決算で総収入の成長が加速し、7月に続いて、2025年3月通期の業績見通しを上方修正した。AI関連需要の大きさが背景にあり、中国の前倒し需要をめぐる懸念も否定している。

こうしたAI関連需要をめぐる追い風は東京エレクトロンにも吹いており、2025年に向けて最先端メモリや最先端ロジック用の半導体製造装置の需要が増すとの見方を示している。AI関連の需要増加が中国向け販売での反動を補えているかどうかが、東京エレクトロンの株価の今後の見通しを左右しそうだ。


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