日経平均、遠のく4万円 半導体株が重荷 円安でも見通し荒れ模様か
日経平均株価は週次で624円安。ASMLの決算発表を機に半導体株の不振が強まった。円安も起爆剤にはなっておらず、今後の値動きも荒れ模様になりそうだ。
日経平均株価が4万円の大台から遠のいた。18日の終値は1週間前比で624円安。2週ぶりの反落となって、3万9000円台からも転落している。重荷となったのは日経平均の上昇を引っ張ってきた半導体株の不振。オランダ半導体製造装置大手のASMLホールディングの業績が悪材料となって日本の半導体株の見通しを悪くした。一方、ドル円相場では円安が一時150円台に到達。米国で半導体株の底堅さもみられたことも日経平均の追い風になる要因だ。ただ、日本の半導体株の値動きは人工知能(AI)ブーム以外の要因に左右される度合いも大きく、政治経済の重要日程を控え、今後の日経平均の値動きが荒れることも考えられる。
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日経平均株価は週次624円安 2週ぶり反落
日経平均(N225)の18日の終値は1週間前比624.05円安の3万8981.75円。前週は好決算を発表したファーストリテイリング(9983)などが牽引役となって970円高だったが、2週ぶりの反落となった。15日の取引時間中には4万0257.34円をつける場面もあったものの、勢いは続かなかった。
日本の半導体株の見通しがASML決算で悪化 円安にも沸かず
日本の半導体株の節目となったのは日本時間の15日深夜に伝わったASML(ASML)の2024年7-9月期決算発表の内容だ。ASMLはこの中で、2025年の総収入について300億-350億ユーロになるとの見通しを示し、2022年の投資家向けイベントで示した300億-400億ユーロの範囲の「低い方の半分」にあたると説明。また、2024年7-9月期の受注額は前年同期比52.7%減の26.3億ユーロにとどまり、ブルームバーグがまとめた市場予想の53.9億ユーロを大きく下回った。ASMLの決算資料は誤って予定の1日前にASMLのウェブサイトに掲載された。
一方、日経平均に追い風が吹かなかったわけではない。17日に発表された半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の7-9月期決算と10-12月期の見通しは市場予想を超える内容。またドル円相場(USD/JPY)は17日、米国経済の底堅さを受け、7月30日以来の1ドル=150円台をつけた。前週末の149円台前半からはわずかな円安とはいえ、日本株にとっては好材料だ。さらに18日の米国の株式市場では半導体大手のNVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価が最高値付近まで復活しており、AIブームへの期待の根強さも感じさせる。
AIブームの日本の半導体株への好影響は後退?
ただ、日経平均の2024年上半期の値上がりはASMLと同業の東京エレクトロンが立役者の筆頭。ASML決算の不振が日経平均の見通しを暗くしたことは否めない。またAI開発やサービス展開に不可欠な最先端半導体を供給するエヌビディアとは異なり、日本の半導体株はスマートフォンやパソコン向けの半導体市況にも左右される側面もあり、AIブームが世界のすべての半導体株への期待を高めるとの期待は後退しているようだ。
日本の半導体株をめぐっては、アドバンテストが30日に7-9月期決算を発表。ソフトバンクグループの株価に影響を及ぼすアームの決算は米国東部時間の11月6日、東京エレクトロンの決算は12日発表の予定だ。これに先立っては10月23日のテスラ(TSLA)をはじめとする大手ハイテク企業の決算発表や、米国の個人消費支出(PCE)物価指数、雇用統計などの経済指標が発表される。さらに日本銀行の金融政策決定会合、日本の衆議院選挙、米国の大統領選挙も行われ、重要日程は目白押しの状態。不確定要素が山積する中で、日経平均の今後の見通しには荒れ模様となる予感も漂っている。
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