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日経平均、衆院選後の見通し警戒 週次1067円安 割高感には和らぎ

日経平均株価は3万8000円割れ。27日投開票の衆院選の結果への警戒がある一方、2週連続の下落は割安感にもつながっている。

日経平均、衆院選後の見通し警戒 週次1067円安 割高感には和らぎ 出所:Adobe Images

日経平均株価が27日投開票の衆議院選挙に身構えている。25日の終値は1週間前比で1067円安。ドル円相場で円安が1ドル=153円台まで進んだにも関わらず、相場の追い風にはならなかった。衆院選の情勢分析では与党の過半数割れの可能性も指摘されており、日本政治が混乱することへの警戒が相場の動きを重くしている。また日経平均を引っ張ってきた半導体株の不振も続いており、やはり投資家心理の暗さを反映している。一方、3万8000円を割り込んだ日経平均の水準は割高感の和らぎも感じさせ、買い戻しの機会にも映る。ただ、米国の政治経済や中東情勢をめぐる先行きに不透明感は強く、日経平均の今後の見通しは波乱含みになりそうだ。

【関連記事】日経平均、緊張継続 半導体株は二極化 大統領選挙後の見通し不透明(2024年11月2日)

日経平均株価は週次1067円安で3万8000円割れ

日経平均(N225)の25日の終値は1週間前比1067.83円安の3万7913.92円。10月3日以降、終値ベースで続けてきた3万8000円以上の水準を割り込んだ。半導体株の下落が重荷となった前週(14-18日)の624.05円安から下落幅が拡大している。

日経平均株価と週次の騰落幅の推移のグラフ

円安153円台も追い風にならず 衆議院選での与党過半数割れを警戒か

このところの日経平均の下落は、大幅円安の追い風が働かなかったことが特徴的だ。LSEGによると、ドル円相場(USD/JPY)は23日に1ドル=153.18円をつけ、18日のニューヨーク市場の終値(149.52円)から3.66円も円安が進行。海外で稼ぐ日本企業の業績を上向かせる株高要因となったが、日経平均は勢いづかなかった。1週間のうち日経平均が値上がりしたのは24日の前日比38.43円高だけで、株式市場のムードは重かったといえる。

日経平均株価とドル円相場の推移のグラフ

投資家心理を暗くした要因のひとつが衆院選に対する警戒感だ。日本の各メディアによる情勢分析では、自民党と公明党の連立与党の議席は過半数割れの可能性もあるとされる。一方、立憲民主党や日本維新の会、共産党、国民民主党といった野党勢力が一枚岩となって連立与党を組む可能性は低く、自民党を中心とした新たな連立与党が組まれるとの見方もあるが、日本の政治の見通しが悪くなることは株式市場にとってはマイナス材料だ。

ソフトバンクグループやアドバンテストなど半導体株が下落

さらに個別株の値動きをみれば、半導体株への期待が後退していることも明らかだ。日経平均下落への寄与度が最も大きかったのは衣料品大手のファーストリテイリング(9983)だが、その後には英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社に持つソフトバンクグループ(9984)や、30日に決算を発表する半導体検査装置のアドバンテスト6857)、半導体基板を手掛ける信越化学工業(4063)などが続く。半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も週次1.19%安で、日経平均を27円押し下げている。

日経平均株価を動かした構成銘柄の寄与度ランキング

日経平均株価の割高感は緩和 大統領選挙や中東情勢の見通しは不安材料

ただ、日経平均の2週連続での下落は割高感を和らげる効果も生んでいる。ブルームバーグによると、日経平均の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は25日終値段階で19.55倍。日経平均が史上最高値(4万2224.02円)をつけた7月11日の23.32倍からは大きく低下し、2020年以降の平均値である19.49倍にも近づいてきた。このため衆院選の結果がショックとなって日経平均が大きく下落しても、割安になったとの判断が買いを呼び込む可能性がありそうだ。

日経平均株価と予想株価収益率(PER)の推移のグラフ

日経平均は夏場にも底堅さを発揮したことがある。アメリカの7月雇用統計での労働市場の弱まりが日本の株式市場に歴史的な混乱を生んだ8月上旬の取引では、日経平均は5日の終値で前日比4451.28円安の3万1458.42円まで下落した後、6日には3万4675.46円まで反発。16日には3万8000円台を回復している。安値をつけた5日時点の予想PERは17.07倍で、それだけ割安感が出ていたといえる。

一方、米国の政治情勢はドナルド・トランプ前大統領を擁する共和党が11月5日の大統領選などを経て、ホワイトハウスと上下両院での多数派を独占するともみられており、経済政策の急変への警戒も出ている。29日以降の大手ハイテク企業の決算や重要経済指標の発表も波乱要因となりかねない。さらに日本時間26日にはイスラエルがイランを攻撃したことで中東情勢悪化の懸念も高まっており、日経平均の今後の見通しは波乱含みになる可能性がありそうだ。


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