日経平均に力強さ 上半期18%上昇 円安長期化は下半期をかく乱か
日経平均の上半期は18%の上昇。下半期は米国の利下げも想定されるが、日本経済の実態は弱く、円安の長期化がかく乱要因になる可能性も。
日経平均株価が久々の力強さをみせた。28日の終値は1週間前比で986円高。3月下旬以来の上昇幅で、3万9000円台を回復して週を終えた。2024年上半期の上昇率は18%超となり、2023年ほどではないものの、2000年以降では3番目という大幅な値上がりだ。人工知能(AI)ブームに沸く半導体株が牽引役となった。7月から始まる下半期は、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)の利下げも見込まれ、株価の見通しが明るくなる可能性もある。ただ、1ドル=161円台をつけた円安の影響は不確定要素といえ、2023年同様、日経平均が下半期に失速することも考えられる。
日経平均は週次986円の上昇 アドバンテストが牽引
日経平均(N225)の28日の終値は週次986.61円高の3万9583.08円。週次の上昇幅としては3月18-22日週(2180.79円高)以来の大きさだった。
日経平均は上半期17%高 2000年代で3番目の上昇率
また、日経平均の力強さは上半期の値動きでも明らかだ。日経平均の上半期の上昇率は18.3%で、値上がり幅は6118.91円。2月22日には34年ぶりに史上最高値を更新し、3月22日には記録を4万0888.43円まで伸ばしている。上半期の上昇率は2023年の27.2%や、アベノミクス開始直後の2013年(31.6%)には及ばないが、2000年代では過去3番目の記録だ。
AI関連の半導体需要拡大は日本企業にも恩恵
半導体はAIの開発やサービス展開に不可欠な要素で、需要拡大が続くとの見通しが維持されている。AI向け半導体で圧倒的なシェアを誇る米国の半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の2024年2-4月期の総収入は前年同期の3.6倍。エヌビディアとも取引がある日本の半導体各社にもAIブームの恩恵は及ぶ。アドバンテストは中期経営計画でAI関連の半導体の今後の見通しについて、AIサービスの提供基盤となるデータセンター向けだけでなく、パソコンなどの端末向けでもニーズが広がることで、「長い需要サイクルにつながる」とみている。
下半期は米国が利下げの見通し 日本経済の実態には弱さ
こうした中、日経平均の下半期の見通しには明るさも感じられる。金融市場の予想通り米国のFRBが年内の利下げに踏み切れば、日本でも投資家心理が改善して株高につながる可能性がある。米国で28日に発表された5月の個人消費支出(PCE)物価指数は伸び率が前月から低下し、物価上昇鎮静化への期待をもたせた。金融市場では9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが見込まれている。
ただ、日経平均の上昇とは裏腹に、足元の日本経済は力強さに乏しい。10日に発表された2024年1-3月期GDP改定値は、実質成長率が前期比年率マイナス1.8%。速報値のマイナス2.0%から上方修正されたとはいえ、個人消費が大きく足を引っ張る不振ぶりだった。
円安は個人消費を下押し 日経平均の見通しをかく乱
また28日に1ドル=161円台に突入した円安は輸入物価の上昇要因で、個人消費をさらに下押しするおそれがある。こうした中、金融市場では、日本銀行が円安阻止も見据え、7月30、31日の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの見通しも浸透してきた。ただし円安の主因である日米の金利差縮小にはFRBが利下げに踏み切ることの重要性が高く、円安圧力の低下は秋以降になる可能性がありそうだ。
一方、円安は株高要因でもある。2023年以降の日経平均の上昇は1ドル=130円前後から161円まで進んだ急激な円安が半導体株の躍進と並ぶ大きな要因のひとつだ。円安は輸出企業の決算を底上げし、トヨタ自動車(7203)などの好業績につながっている。
とはいえ、行き過ぎた円安の長期化は日本経済をかく乱する要因であることは間違いない。海外投資家は円安が進むなかでも日本株を売り越してきた。日経平均は2023年、上半期の27%高の後、下半期は0.8%高にとどまっており、2024年も下半期の急減速が繰り返されるおそれもある。
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