日経平均、上半期27％上昇　10年ぶり大きさ　日本株高の今後に不安も

日経平均株価の2023年上半期の上昇率が記録的な高さとなった。上半期末にあたる6月30日の終値は前年比末約27.2％高。2013年上半期以来10年ぶりの大きさだ。過去に日経平均の上半期の伸び率が20％を超えた年は14回あり、このうち12回は下半期も株価が上昇した。2023年も下半期の上昇に期待がかかる。ただ、歴史的な株高を支えてきた海外投資家の買い越しには陰りも出ている。また、外国為替市場では海外投資家の日本株買いの背景になっている円安ドル高が、日本政府の為替介入で変調をきたす可能性も意識されており、下半期も一本調子での上昇が続くとは限らない。

日経平均の上半期上昇率はアベノミクス相場以来

日経平均の30日の終値は前日比45.10円安の3万3189.04円。2022年末からは7094円の値上がりだ。伸び率の27.2％は第2次安倍晋三政権が始まった直後のアベノミクス相場に沸いた2013年上半期の31.6％以来の大きさとなる。上半期の上昇率が20％を超えるのは、日経平均の75年にわたる歴史の中で、これまで14回しかなかった。

過去の14回の上半期20％超の値上がりのうち、年間の上昇率が上半期を下回ったのは1961年と1987年の2回だけ。このため15回目を記録した2023年も、投資家の強気が下半期も続く可能性がある。

海外投資家の日本株連続買い越しはストップ

ただし足元では潮目の変化もみられる。上半期の日経平均の値上がりを支えてきた海外投資家の買い越し停止だ。日本取引所グループが29日に発表した週次の投資部門別売買状況（東京証券取引所と名古屋証券取引所の合算ベース）によると、海外投資家は6月19-23日週に13週ぶりに日本株を売り越し。同じ週、4月中旬から続いてきた日経平均の週次での上昇が11週ぶりにストップした。

日本政府の為替介入の可能性で緊張感

また、為替市場ではドル円相場（USD/JPY）で緊張感が高まっている。ドル円相場は30日に一時、1ドル＝145円台をつけ、2022年9月に日本政府が急速な円安進行を抑えるための円買い介入を行った水準が近づいた。為替介入があればドル円相場が一気に円高ドル安に動く可能性があり、海外投資家にとっては円建てで保有する日本株の価値の目減りも警戒せねばならない。このため海外投資家がしばらくの間、日本政府の動きをにらみながら、日本株買いを手控える筋書きも考えられる。

さらに最近の経済指標で底堅さが示されている米国経済の先行きも安泰とばかりはいえない。米連邦準備制度理事会（FRB）は物価上昇の根強さを問題視し、利上げ姿勢を維持したまま。短期的には海外投資家の日本株買いを後押しする円安ドル高につながる要因ではあるが、米国の利上げの結果、米国経済が減速するリスクが意識されれば、米国株が下落し、日本株を下押しする懸念はぬぐえない。

日本の2023年1-3月期の実質成長率は2.7％と好調だが、在庫済み増しの効果が大きく、実力通りの結果とははいえないのが現実。賃金上昇が物価上昇に追いつかず、実質賃金が低下している中では、個人消費の先行きにも不安がある。海外の投資家や経済の動向に後押しされてきた日本株の上昇にはもろさもありそうだ。