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日経平均にトランプ関税の衝撃 3週続落 割安感も晴れない見通し

日経平均株価は3万6000円台に転落し、5か月半ぶりの安値。トランプ関税や円高が見通しを悪くしており、不安定な値動きが続きそうだ。

日経平均にトランプ関税の衝撃 3週続落 割安感も晴れない見通し 出所:ブルームバーグ

日経平均株価がアメリカの高関税政策で揺れた。日経平均の7日の終値は1週間前比268円安。3週続落で3万6000円台まで転落し、約5か月半ぶりの安値となった。米国のドナルド・トランプ大統領の高関税政策をめぐる混乱が投資家心理を冷やしたことが要因だ。ドル円相場では一時、1ドル=146円台まで円高が進み、やはり日経平均の見通しを悪くしている。一方、日経平均の値下がりは割安感につながっており、買い戻しへの期待も続く。ただ、米国で7日に発表された2月雇用統計は冴えない結果で、米国経済に対する不安が治まったわけではない。日経平均の今後の見通しをめぐっては、引き続き不安定な値動きが想定される。

日経平均株価は週次268円安 3週続落で3万6000円台に転落

日経平均株価(N225)の7日の終値は前日比では817.76円安の3万6887.17円。週次では3週続落の268.33円安だった。3万6000円台は9月18日(3万6380.17円)以来で、7月11日の最高値(4万2224.02円)からの下落率は12.64%に達した。

日経平均株価と週次の騰落幅の推移のグラフ

トランプ関税めぐる混迷が円高を後押し 一時、146円台後半に

日経平均を下押ししたのはトランプ氏の高関税政策に対する不安だ。トランプ政権は4日にカナダ、メキシコからの輸入品に対する25%関税を決めつつ、5日にはアメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で北米産とみなされる自動車輸入への25%関税免除を表明。6日には自動車以外の輸入品についても同様の措置をとり、強硬姿勢を後退させている。しかし中国への追加関税の税率は20%に引き上げられ、4月2日に相互関税を発動させるとの立場も崩していない。

トランプ氏の経済政策の混迷は米国経済の見通しを悪くし、FX市場ではドル売りが継続。ブルームバーグによると、ドル円相場(USD/JPY)は7日のニューヨーク市場では一時、1ドル=146.95円まで円高が進んだ。日経平均の2024年7月までの値上がりは、ドル円相場が161円台後半まで円安に振れる中で続いてきただけに、日本株への期待を縮小させる要因となったようだ。

日経平均株価とドル円相場の推移のグラフ

半導体株の不振続く アドバンテストは週次7.49%安

こうした中、日経平均の値上がりの原動力となってきた半導体株は急落が続いている。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)は週次7.49%安で、前週(2月24日-28日)の15.72%安に続く大幅な下落。半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)は週次4.56%安で、やはり前週の13.08%安からの不振が解消されない。英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社に持つソフトバンクグループ(9984)は週次3.87%安で、4週連続の値下がりだ。3社はいずれも日経平均への影響度が大きい値がさ株で、株式市場の見通しを悪くしたといえる。

アドバンテスト、東京エレクトロンなど日本の主な半導体株の値動きの推移のグラフ

ファーストリテイリングは1.17%高 三菱重工など防衛関連株は週次25%上昇

一方、個別株の値動きをみると、値がさ株の筆頭格である衣料品大手のファーストリテイリンング(9983)は7日までの週次で1.17%高となり、日経平均を47円押し上げ。日本株全体への期待が薄れたわけではないようだ。また、トランプ氏の外交姿勢は防衛関連株の値上がりにつながり、三菱重工業(7011)は週次25.26%高となっている。防衛関連株ではIHI(7013)も週次24.10%高と好調だ。

日経平均株価を動かした構成銘柄と寄与度のランキング

日経平均に割安感 円高見通しが下押し圧力になる可能性も

また日経平均の3万6000円台への転落は割安感を生んでいる。ブルームバーグによると、日経平均の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は7日時点で18.6倍で、2024年8月中旬以来の小ささ。2020年以降の平均値である19.5倍よりも低くなっている。このため週明け10日以降の株式市場では、日経平均に買い戻しが入ることも考えられそうだ。7日までの1週間を振り返っても、日経平均は6日までは週次でのプラスを維持していた。

日経平均株価と予想PERの推移のグラフ

ただ、アメリカで7日に発表された2月雇用統計は労働市場悪化への不安を拭い去ることはできなかった。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は7日の講演で「労働市場は強固だ」としているが、見通しの不確実性の高さも指摘している。日経平均の今後の見通しをめぐっては、米国経済への不安が円高を呼び起こすなどした場合に下押し圧力が増すことも想定される。


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