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日経平均に復活のチャンスか 週次1142円高 円高見通しの行方は?

日経平均株価は週次で大幅上昇。FRBの利下げにも関わらず円高が進まなかったことが好材料になった。今後は日経平均の地力が問われる。

日経平均に復活のチャンスか 週次1142円高 円高見通しの行方は? 出所:Adobe Images

日経平均株価に復活のチャンスが訪れている。20日の終値は1週間前比で1142円高。9月初め以来となる3万8000円台が視野に入る水準となった。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が18日に利下げに踏み切ったにも関わらず、ドル円相場で急激な円高は進まず、投資家にとっての安心材料になったようだ。ただし海外投資家による日本株売りは積み重なっており、日経平均の重荷となっている。また、FRBの利下げが円高見通しを強めている構図にも変化はなく、今後は日経平均の地力が問われる局面が続きそうだ。

【関連記事】日経平均に大波乱 週次2100円高は幻か 円高見通しが復活の重荷に(2024年9月29日)

日経平均株価は3万8000円台が視野 見通しに明るさ

日経平均(N225)の20日の終値は1週間前比1142.15円高の3万7723.91円。20日までの3営業日続伸で3万8000円台回復が視野に入った。日経平均が3万8000円台をつけたのは3日(3万8686.31円)が最後。その後は米国の製造業の景況感悪化を機に進んだ円高が悪材料となって、3万5000円台まで値下がりする局面もあっただけに、日経平均の見通しが明るくなってきた形だ。

日経平均株価と週次の騰落幅の推移のグラフ

ファーストリテイリングが大幅上昇 半導体株は底打ち期待

個別株の値動きをみると、衣料品チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(9983)が週次で8.91%高となって日経平均を383円押し上げた。225銘柄中の約85%にあたる191銘柄が上昇しており、幅広い株価の上昇が日経平均を大きく押し上げたといえる。

日経平均の上昇、下落に寄与した銘柄のランキングの表

また7月までの日経平均の上昇の原動力となってきた半導体株では、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)が週次で2.39%高となり、日経平均を55円押し上げ。英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社にもつソフトバンクグループ(9984)も1.59%高となった。いずれも2週連続の上昇だ。両社が7月11日につけた高値からの下落率は東京エレクトロンが36.28%、ソフトバンクグループが28.16%で、いまだ見通しは晴れていないが、底打ちへの期待を感じさせる。

東京エレクトロンなど日本の主な半導体株の値動きのグラフ

ドル円相場は143円台まで円安に 海外投資家の売り越し継続

日経平均の安心材料となったのはドル円相場(USD/JPY)で急激な円高が進まなかったことだ。FRBが18日に決めた0.5%幅の利下げは日米金利差縮小を連想させる円高要因だが、実際のドル円相場は1ドル=142円台で推移し、日本が休日だった16日につけた139円台を超えるような円高には至らなかった。また19、20日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合も円高材料とはならず、20日午後の植田和男総裁の記者会見は円安材料とみなされた。ドル円相場は20日のニューヨーク市場の終値で前日比1.29円の円安にあたる、1ドル=143.91円となった。

ただし日経平均の反発の裏側では、海外投資家の日本株離れも進んでいるようだ。日本取引所グループが20日に公表した週次の投資部門別売買状況では、9-13日週の海外投資家による売り越し額が東京証券取引所と名古屋証券取引所の合計で、過去最高となる1兆5425億円に達した。売り越しは4週連続で、第3四半期にあたる7月以降では累計3兆3793億円の売り越しとなっている。

日経平均株価と海外投資家の買い越し額、売り越し額の推移のグラフ

円高見通しや米国経済悪化への懸念は消えず  

また、ドル円相場が今後、円高に進むおそれが消えたわけではない。FRBは18日に示した経済見通しで11月と12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で合計0.5%幅の利下げを行う見通しを示した。米国の長期金利(10年物米国債利回り)はFRBの利下げ決定後も下がっていないが、実際にFRBが追加利下げに踏み切れば低下圧力がかかることは必至で、円高材料になりそうだ。

さらに米国経済の見通しに対する懸念はくすぶり続け、物価上昇鎮静化と景気後退回避を両立させる軟着陸(ソフトランディング)が実現できるかは不透明。S&P500種株価指数(SPX)はFRBの利下げを受けて週次での上昇を確保したが、勢いは乏しい

こうした中、日経平均のこのところの上昇は割高感の再燃にもつながっている。日経平均プロフィルによると、日経平均の水準と会計年度ベースでの予想収益を基にした株価収益率(PER)は20日終値時点で20.24倍となり、3日以来の20倍台となった。今後も日経平均が上昇を続けられるかは日本企業の収益性の今後の見通しにもかかってきそうだ。

日経平均株価と予想PERの推移のグラフ

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