円高、雇用統計で加速か 147円台突入 トランプ経済見通し不安
ドル円相場は一時、147円台前半をつけ、5か月ぶりの円高水準。トランプ政権の高関税と日銀の追加利上げ観測が背景で、雇用統計にも注目が集まる。

ドル円相場で円高が加速する可能性がある。6日の取引では一時、5か月ぶりの円高水準となる1ドル=147円台前半をつけ、1月以降の円高の流れが継続。アメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策をめぐる不透明感がドル売りにつながっている形だ。また日本銀行の追加利上げ観測も続いており、日本の長期金利(10年国債利回り)が1.5%台という15年9か月ぶりの高水準になっていることも円高材料となっている。こうした中、米国で7日に発表される2月雇用統計は米国経済の見通しへの不安を強める可能性があり、ドル円相場がさらに円高方向に動くことも想定されそうだ。
ドル円相場は一時、147.32円 5か月ぶりの円高水準に
ドル円相場(USD/JPY)の6日のニューヨーク市場の終値は1ドル=147.98円で、前日から0.90円の円高が進行。ブルームバーグによると、取引時間中には一時、147.32円をつける場面もあり、2024年10月4日(145.92円)以来の円高水準となった。ドル円相場は1月10日には158.87円をつける場面もあったが、2か月で11円超の円高が進んだことになる。

トランプ氏はメキシコ、カナダへの25%関税に猶予 相互関税は4月2日発動へ
円高の材料となったのはトランプ氏の高関税政策をめぐる混乱だ。トランプ氏は6日、メキシコとカナダからの輸入品に対する25%関税を、アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の基準に適合した品目については4月2日まで猶予することを決定。一方、トランプ氏は4月2日に相互関税を発動するとしており、今回の25%関税の発動猶予は短期的な措置だとしている。
トランプ政権は4日に25%関税を発動。5日にはUSMCA基準で北米産とみなされる自動車の輸入については関税を1か月猶予するとしていた。米国株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が6日も1.78%安となっており、金融市場の混乱を背景にして軌道修正を迫られている形だ。ただ、4月2日の相互関税発動に向けて、今後も経済政策の見通しがつきにくい状況が続くとみられる。
ユーロは対ドルで急騰 ポンド、豪ドルも値上がり
このため、このところのFX市場では、ユーロやポンド、豪ドルもドルに対して上昇。中でもドイツで歳出拡大への期待が強まっているユーロの対ドル相場(EUR/USD)は上昇が顕著だ。ブルームバーグによると、ユーロの対ドル相場の6日の終値は1週間前にあたる2月27日の終値と比べて3.72%のユーロ高。このほか、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)も2.23%のポンド高、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)も1.56%の豪ドル高となっている。この間の円のドルに対する上昇率は1.24%高だ。

日銀の内田副総裁は利上げ継続に軸足 長期金利1.5%台は15年9か月ぶりの高さ
同時に円に関しては日銀の追加利上げ見通しの根強さも円高の材料といえる。日銀の内田真一副総裁は5日の静岡県での講演で、利上げの見通しについて「想定される程度のペースの利上げであれば、経済の反応を確認しながら進めていけるだろう」などと発言。今後も利上げを続ける方針に軸足を置いたと受け止められた。ブルームバーグのデータによると、金融市場では日銀は9月の金融政策決定会合までに追加利上げに踏み切り、その後もさらなる利上げがあると見込まれている。
日銀の利上げ見通しは、日本の長期金利の上昇につながっている。ブルームバーグによると日本の長期金利は6日に一時、1.549%をつけ、2009年6月12日(1.563%)以来の高水準となった。6日終値段階での日米金利差は2.742%ポイントで、2022年8月18日(2.685%ポイント)以来の小ささとなっている。

失業保険申請件数は堅調 2月雇用統計が予想よりも悪ければ円高進行も
こうした中、FX市場では米国経済の現状への注目が集まる。6日に発表された2月23日-3月1日週の新規失業保険申請件数は22.1万件で、ブルームバーグがまとめた市場予想の23.3万件を下回り、米国経済の見通しにとって安心材料となった。7日午前8時30分(日本時間7日午後10時30分)に発表される2月雇用統計でも労働市場の堅調さが示されれば、足元での円高の流れが和らぐことも考えられる。市場予想では非農業部門の就業者数が前月比16.0万人増となるなど、米国の労働市場の底堅さが示されると予想されている。

ただ、トランプ政権下での経済見通しの不透明感の強さや、日銀の追加利上げ観測はドル円相場が円高に進みやすい状況を作っていることも間違いない。2月雇用統計が予想よりも悪い結果となれば、ドルが売られて円高が進む展開も考えられそうだ。
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