アドバンテスト、増収見通しに死角は? 30日決算 AIブーム続くか
アドバンテストの7-9月期決算はAIブームの追い風が続いているかが焦点。内容次第では株価の上昇が加速する可能性もある。
半導体製造装置大手のアドバンテストが30日に行う2024年7-9月期決算発表は好調な業績見通しを維持できるかが焦点だ。アドバンテストは人工知能(AI)ブームが追い風となって、7月に2025年3月期の業績予想を上方修正。しかし半導体株をめぐってはASMLホールディングの決算発表が市場の先行き不安を拡大させたばかりで、アドバンテストの決算発表でもネガティブな材料がみつかるリスクは拭えない。ただ、アドバンテストの株価はASMLショックの後も堅調な値動きをみせており、好決算を発表すれば見通しがさらに明るくなることも考えられそうだ。
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アドバンテストの7-9月期決算は増収増益の見通し
アドバンテストは30日午後3時に7-9月期決算を発表する。ブルームバーグがまとめた事前予想では、総収入は前年同期比32.00%増の1534億円になる見通し。1株当たり利益(EPS)は2.10%増の37.04円と見込まれている。予想通りになれば、2四半期連続での増収増益となる。アドバンテストは過去17回の四半期決算発表のうち、3回で総収入が市場予想を超えられなかった。また1株当たり利益では6回で市場予想をクリアできなかった。
アドバンテストの株価は2023年末比で64%高
アドバンテストの株価(6857)の23日の終値は7871円。2023年末比では64.08%高となっている。約3か月前にあたる7月31日の4-6月期決算発表では、2025年3月期の総収入を上方修正するなどし、翌8月1日の株価は前日比13.83%高となった。5日にはアメリカの7月雇用統計を受けた株安に巻き込まれて5313円まで下落したが、その後は上昇基調を維持している。
ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は10月23日時点で42.44倍。前回決算発表直前の40.71倍からやや割高感が増した。2020年以降の平均値は28倍程度で、足元の水準はやはり割高といえそうだ。アナリストが提示する目標株価の平均は8080円で、現状より2.7%ほど高い。21人のアナリストのうち18人は買い、3人は維持を勧めている。
AIブームの追い風に変化は? 半導体株はASML決算で波乱
アドバンテストの決算発表の焦点は、AI需要が追い風となって業績が伸びるという事業環境に変化が出ているかどうかだ。半導体株をめぐっては15日に伝わったオランダの半導体製造装置大手ASML(ASML)の7-9月期決算で、受注額が前年同期比52.7%減となるなどして市場が揺れた。ASMLのロジャー・ダッセンCFOはAI関連の需要は非常に強いとしつつ、AI以外の分野では需要回復に時間がかかると説明。また、ASMLの事業全体における中国事業の割合は通常の状態に戻っていくとの見通しも示した。同様の事業環境の変化がアドバンテストにも起きていれば、株式市場では悪材料視されそうだ。
一方、アドバンテストは4-6月期決算発表で業績に不安がないととの立場を強調。業績見通しの上方修正は、2025年3月期の総収入を6000億円とし、4月時点での5250億円から14%も上積みする強気な内容だった。高性能半導体の試験に想定以上の時間がかかることが分かり、需要の見通しが上振れたという。
アドバンテストは業績に「自信」 好決算なら株価上昇も
三橋靖夫CFOは決算説明会で、1つのチップに複数機能を集約したSoC(システム・オン・チップ)とメモリのいずれも分野でも、「高性能半導体向けでの顧客の旺盛な設備投資がみられた」と説明した。また、中原真人経営執行役員は業績見通しの上方修正について、「かなり自信をもって出している」とも述べている。同時に、車載半導体向けなどでは需要回復が遅れていることも指摘している。
アドバンテストの株価はASML決算後も堅調な値動きを維持してきた。ASMLと同業の東京エレクトロン(8035)が、米国の中国向け半導体技術輸出に関する規制強化のおそれが懸念材料となるなどして株価が上向かないこととは対照的だ。アドバンテストの30日の決算発表で不安材料が出なければ、投資家心理が上向くことも考えられそうだ。
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