日経平均、4万円に迫る 週次970円上昇 半導体株見通しに不安も
日経平均株価は2週ぶりの上昇で4万円台が迫る。ただし上位銘柄の上昇への依存度が大きく、半導体株などの値動きが見通しを悪くする可能性もある。
日経平均株価に約2か月ぶりの大台復帰が近づいてきた。日経平均の11日の終値は週次970円高の3万9605.80円。9月27日の自民党総裁選挙の決着直前の水準近くまで復活しており、7月中旬以来の4万円台が視野に入っている。ただしこのところの上昇はファーストリテイリングなど上位3銘柄への依存度が高く、大幅高という結果ほどには株価上昇の勢いはない。また、ドル円相場での円安や半導体株の上昇が反転することも想定される。アメリカの株式市場では最高値更新の裏側で緊張感が高まっており、日経平均の今後の見通しが大きく揺れる可能性は残っていそうだ。
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日経平均株価は3万9000円台後半 自民党総裁選決着直前の水準に迫る
日経平均(N225)の11日の終値は1週間前比で970.18円高。週次での上昇は2週ぶり。自民党総裁選挙で高市早苗氏の勝利への期待で円安が進み、日経平均が大幅高となった9月27日の終値(3万9829.56円)まであと200円あまりという水準だ。3連休明けとなる15日以降の取引で4万円台に復帰すれば、7月19日の終値(4万0063.79円)以来で、見通しに差しこむ光が強まってきたといえる。
円安進行が追い風 ドル円相場は一時149円台半ば
日経平均上昇の背景にあるのは円安進行だ。LSEGによると、ドル円相場(USD/JPY)は10日に一時、1ドル=149.54円をつけ、8月2日(149.77円)以来の円安水準に到達。7-11日週のドル円相場は平均148円台半ばで推移し、前週の平均145円台後半から3円近い円安水準となった。円安は海外で稼ぐ日本企業の業績の追い風になるとの期待から株式相場の見通しを明るくしている。
ファーストリテイリングなどに依存の側面も 週次上昇は100銘柄のみ
ただし個別銘柄の値動きをみれば、日経平均の値動きにはさほどの強さは感じられない。7-11日週の970円高のうち、468円分は10日に好決算を発表した衣料品大手ファーストリテイリング(9983)の週次10.73%高によってもたらされた。ここに半導体検査装置のアドバンテスト(6857)と、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社にもつソフトバンクグループ(9984)の寄与分を加えると、3社で763円分の日経平均の上昇を稼ぎ出したことになる。反面、日経平均を構成する225銘柄のうち週次で上昇したのは半分以下の100銘柄に留まった。
円安は頭打ちの可能性も 半導体の見通しにも不安
また、ドル円相場の見通しをめぐっては、円安が頭打ちになることも考えらえる。日本政府の円安急進への警戒感を背景にして、1ドル=150円を超える円安進行へのハードルが高くなっているからだ。11日発表の米国の9月の卸売物価指数(PPI)の伸び率が市場予想を下回り、物価上昇鎮静化への期待を強めたことも、円安にブレーキをかける材料だといえる。
こうした中、14日以降の世界の株式市場では半導体株の値動きが注目される。17日に半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が2024年7-9月期決算を発表し、半導体の見通しが揺れる可能性があるからだ。
日本の半導体株ではアドバンテストやソフトバンクグループが勢いを取り戻している一方、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)は不振が続く。米国政府による先端半導体技術の中国向け輸出の規制強化などめぐる報道が半導体株を下落させた7月中旬以降の不振から抜け出せていない。米国の大統領選挙での論戦で半導体規制に関する言及が注目を集めれば、やはり半導体株の逆風になることも考えられる。
米国の株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が5週連続で上昇している反面、投資家の不安度を示すVIX指数(VIX)は高止まりしている。企業業績や中東情勢が投資家心理を悪くする可能性も続いており、日経平均の今後の見通しに影が差すことも想定されそうだ。
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