東京エレクトロン、半減株価の復活は? 30日決算 業績見通し焦点
東京エレクトロンは30日に2025年1-3月期決算を発表。2026年3月通期の業績見通しが期待外れになれば、株価がさらに下押しされる可能性もある。

東京エレクトロンが30日に行う2025年1-3月期決算発表は、2026年3月通期の業績見通しが焦点だ。金融市場では2026年3月期の総収入の伸び率は前年同期比4%台と見込まれ、30%以上の成長が期待されている2025年3月期から急減速する見通し。こうした、すでに低くなっているハードルを東京エレクトロンがクリアできなければ、約1年前につけた最高値の半分になった株価の復活が遠のきそうだ。半導体市場をめぐっては、アメリカ政府による輸出規制強化に加え、ドナルド・トランプ大統領が繰り出す高関税政策といった不安要素もあり、東京エレクトロンの株価の今後の見通しには試練が続く可能性もある。
東京エレクトロンの2025年3月通期は総収入が32%増になる見通し
東京エレクトロンは30日に1-3月期決算を発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総収入は前年同期比17.6%増の6434億円、営業利益は24.6%増の1810億円になると見込まれている。予想通りになれば、総収入は10-12月期まで3四半期連続で記録した3-4割の増加から成長ペースが急減速する形だ。また、2025年3月通期の総収入については、前期比32.1%増の2兆4173億円が予想されている。

東京エレクトロンの株価はこの1年間で最高値から半減
東京エレクトロンの株価(8035)は2024年4月3日に最高値(3万9620円)をつけた後は下落傾向から抜け出せないでいる。トランプ氏の相互関税発動や中国に対する対決姿勢の強まりが金融市場全体を不安定にしていた2025年4月9日には1万7420円をつけ、約1年前の最高値から56.03%安の水準となった。4月22日の終値は1万9180円だ。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は22日時点で約15倍。前回(2024年10-12月期)決算発表があった2月6日時点での22倍程度から、割高感が大きく和らいでいる。アナリストが提示する目標株価の平均は3万1156円で、足元の株価よりも63%ほど高い。26人のアナリストのうち20人は買い、6人は売りを推奨している。
米国の半導体輸出規制で業績見通しが不透明に 株価上昇の重荷
東京エレクトロンの株価が1年間にわたって勢いづかない背景には、米国の半導体輸出規制の影響で業績の見通しがつきにくくなったことがある。2024年4-6月期の総収入が前年同期比41.7%増まで高まったのは、中国企業の間で米国政府の半導体輸出規制を警戒した前倒し需要が起き、中国市場の収入が80.0%増となったことが要因。株式市場では前倒しの反動で今後の総収入が伸び悩むことへの警戒が強まり、株価上昇の勢いが削がれた。その後、2025年1月に発足したトランプ政権も中国向け半導体輸出規制強化に乗り出しており、引き続き、東京エレクトロンの業績には不透明感がつきまとう。

実際、東京エレクトロン自身も前回2月の決算説明会で2025年のWFE(半導体前工程製造装置)の市場規模は横ばいになると予想。中国市場については「減少する」としている。このため、金融市場では2026年3月期の東京エレクトロンの成長ペースは急減するとの見方が支配的。ブルームバーグによると、2026年3月通期の総収入は2兆5285億円になると見込まれており、2025年3月通期の見通し額と比べれば4.6%の成長に留まると予想されている。東京エレクトロンが30日の決算発表で示す業績見通しが、この数字を超えられなければ、株価には下押し圧力がかかることが想定される。
トランプ政権は半導体関連製品への高関税も検討中 業績見通しは慎重な内容にも
こうした不安には、トランプ氏の輸出規制だけでなく、高関税政策という裏付けもある。トランプ氏は5日発動の相互関税の対象から外した半導体関連製品について、個別関税を課すことを検討中。半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)も17日の1-3月期決算会見で、足元では顧客企業の動向に変化はないとしつつ、関税にまつわる不確実性やリスクの大きさも強調している。
このため東京エレクトロンは30日に示す2026年3月期の業績予想で、市場予想よりも慎重な見通しを示す可能性がある。東京エレクトロンはWFE市場の回復は2026年になるとみており、株価上昇が遅れることも考えられそうだ。
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