東京エレクトロン、株価上昇失敗 市場規模見通し慎重 2026年期待
東京エレクトロンは決算発表後の株価が不振。今後の株価は2026年の成長の確度がどこまで高まるかにかかってきそうだ。
![東京エレクトロン、株価上昇失敗 市場規模見通し慎重 2026年期待](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/uk/images/news-article-image-folder/bb_Tokyo_Electron_Japan_18_11_2024.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
半導体製造装置大手の東京エレクトロンの株価が上昇加速に失敗した。13日の終値は、1週間前にあたる6日の終値との比較で4.63%安。6日に発表した2024年10-12月期決算は市場予想を超える内容だったが、2025年3月通期の業績見通しの上方修正はなかったことが響いている。また、東京エレクトロンは2025年の半導体製造装置関連市場の規模については横ばいとの見方を示し、2年連続での高成長に対する期待も後退した。一方、東京エレクトロンは2026年には市場規模が2ケタ成長になるとみているが、実現の可能性が明確になるまでは、株価上昇の加速が持ち越される可能性もありそうだ。
![東京エレクトロンの株価と予想株価収益率(PER)の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/tokyo_electron_202410-12_earnings_report_share_prices_and_forwardPER_20250213.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
2025年3月通期見通しの上方修正の見送りが悪材料に
東京エレクトロンの10-12月期決算は好決算にもみえる内容だった。総収入は前年同期比41.2%増の6545億円で、前四半期(7-9月期)の32.4%増から成長が加速。営業利益は50.7%増の1996億円で、前四半期(54.1%増)から伸び率が小さくなったとはいえ、高い増益率だ。ブルームバーグがまとめた市場予想は総収入が6094億円、営業利益が1741億円で、発表された実績はいずれも市場予想を超えている。
![東京エレクトロンの業績(総収入、営業利益)の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/tokyo_electron_202410-12_earnings_report_result_revenue_and_operating_profit.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
それでも東京エレクトロンの株価が伸びない理由のひとつが2025年3月通期の業績見通しが据え置かれたことだ。総収入の見通しは、2024年8月と11月の2度にわたって上方修正され、前期比31.1%増の2兆4000億円まで上がっていたが、3度目の上方修正はなかった。
2025年の半導体製造装置関連市場は横ばいの見通し 中国市場の落ち込み響く
さらに東京エレクトロンは2025年の市場規模の見通しにも慎重な見方を示した。2025年のWFE(半導体前工程製造装置)の市場規模は2024年と同規模にあたる1100億ドルになるとの予想。アメリカの半導体輸出規制強化を見込んだ中国企業からの前倒し需要が2024年に起きたことが背景にあり、河合利樹CEOは6日の決算説明会で、中国の市場規模は「減少する」と述べた。一方では、人工知能(AI)関連の半導体需要が旺盛で、台湾積体電路製造(TSMC)が2025年の設備投資額を100億ドル前後積み増すといった追い風もあるものの、中国の落ち込みを補うにとどまるという。
このため東京エレクトロンの2026年3月通期の高成長への期待は遠のいたといえそうだ。ブルームバーグがまとめた13日時点の市場予想では、東京エレクトロンの2026年3月期の総収入は2兆5481億円が見込まれており、2025年3月期が会社予想通りの2兆4000億円になるとすれば6%程度の成長に留まる。
2026年の市場規模は2桁成長を期待 見通しには不透明感も
一方、東京エレクトロンは2026年のWFE市場は2桁成長になると期待している。AI関連のデータセンター需要に加え、スマートフォンやパソコンといった端末側でもAIの導入が本格化し、半導体製造装置への需要も増えるとみているからだ。
河合氏は決算説明会で、高性能の半導体を低コストで製造する戦略製品の「極低温エッチング装置」について、顧客企業による採用が1社で決まったと言及。他の顧客企業でも製品への評価が計画通りに進んでいるとし、「メリットを証明することができると考えている」と自信を示した。また、東京エレクトロンは10-12月期決算とあわせて宮城県内の工場に生産新棟を建設することも発表。1040億円の費用をかけて2027年夏の完成を目指し、拡大が見込まれる需要に対応する考えだ。
ただ、企業によるAI関連投資がどこまで進むかには不透明さもある。大手ハイテク企業による巨額の設備投資に対しては投資家からの厳しい目も向けられているほか、AIサービスに対する消費者からの需要がどこまで伸びていくかも見通しにくい。2026年に見込まれるWFE市場拡大の見通しがはっきりするまでは、株価上昇への期待も高まりづらい状況が続くことも考えられそうだ。
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