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2024年日経平均、バブル期超えに日銀不安 S&P500急変も

2024年の日経平均は史上最高値更新も見込まれるが、課題は山積。アメリカでは年明けに相場のムードが一変するおそれも。

出所:ブルームバーグ

2024年の日経平均株価は上昇が期待されている。2023年最後の取引となった29日の終値は年間上昇率で28%高にあたる水準。年明け以降のバブル後最高値更新はもちろん、バブル期につけた史上最高値の更新も取り沙汰されている。ただし2024年春にも見込まれる日本銀行のマイナス金利政策解除や、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが現実になれば、日本株の重荷になる筋書きも考えられる。またアメリカ経済が景気後退回避に失敗した場合はS&P500種株価指数が値下がりするリスクもあり、年明けに相場のムードが急変する不安もぬぐえない。

日経平均の年間上昇率は28.2%

日経平均(N225)の29日の終値は3万3464.17円。1週間前比では295.12円高で、期待されいた7月3日のバブル後最高値(3万3753.33円)の更新はならなかった。27日には記録まであと72円に迫っていたが、最後の2営業日で失速した。

とはいえ2023年の上昇率は28.2%という高さで、2024年に期待をつなげる結果だ。日経平均が大納会で史上最高値(3万8915.87円)をつけた1989年以降、日経平均の年間上昇率が2割を超えたのはこれまでに6回。このうち4回は翌年も株価が上昇している。株価が下がった2回はバブル崩壊が始まった1990年と、米国のITバブル崩壊の余波を受けた2000年で、7回目となる今回も大きなショックがなければ2024年に株価上昇の流れが引き継がれそうだ。

日経平均の年末価格の推移(1989年以降)のグラフ

日経平均が2024年にバブル期超えの予想も

ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は27日付のレポートで2024年の日経平均について「日本企業の業績は好調が見込まれており、夏~秋にかけて3万5000円程度までの上昇は期待できそうだ」と予想している。3万5000円は29日終値比では4.6%高の水準で、年内は達成できなかったバブル後最高値の更新は軽々と実現できるとの見立てだ。

さらに市場関係者の間ではバブル期のピークにつけた史上最高値更新も話題になっている。29日の終値を史上最高値との比較でみれば、あと16.3%の上昇で到達する水準。経済政策「アベノミクス」を掲げて第2次安倍晋三政権が発足した2012年以降の年間騰落率の平均が13.4%高であることを考えれば、経済環境次第で記録更新も夢ではないとの観測も成り立つ。証券会社の一部からは、企業業績の好調さなどを理由として、日経平均が2024年末には4万2000円に到達するとの声も出ている。

アメリカのS&P500は年間24%上昇も、勢い不足

ただし不安材料は山積している。金融市場では2024年春には日銀が金融引き締めにあたるマイナス金利政策解除を決断し、FRBは金融緩和にあたる利下げに踏み切るとの見方が多い。予想通りの展開になれば、日米の金利差は縮小し、円高進行と日本企業の業績悪化への懸念が日経平均の不安材料になりそうだ。

またFRBが利下げに踏み切ったとしても、2023年7月まで続けてきた利上げの効果が時間差をもって経済活動を冷やし、米国の企業業績を悪化させる懸念もある。投資家も先行きについて安心しきっているわけではないようだ。S&P500(SPX)の29日の終値は4769.83で、2022年1月3日の史上最高値(4796.56)を更新できず。年間上昇率は24.2%という高さで、最終週までは2003年11月から翌年1月にかけて以来となる9週連続の上昇を達成したが、どこか勢い不足も感じられる。

日経平均とS&P500の週次騰落率の推移のグラフ

米国の株式市場をめぐっては、2024年1月3日にFRBの12月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨の公表が予定されており、FRBによる利下げの確度に対する金融市場の見方が変わる可能性もある。また、同じく3日に発表される11月雇用動態調査(JOLTS)や5日発表の12月雇用統計が相場のムードを左右することも想定される。日経平均とS&P500の史上最高値はいずれも年末年始につけているだけに、年が明ければ先行きへの楽観が一変するおそれも否定できない。


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