米国株に安心感広がる 物価減速でS&P500上昇 ナスダック最高値
29日発表の1月PCE物価指数は市場予想通りで波乱はなし。ナスダック総合は2年3か月ぶりに史上最高値を更新した。
アメリカの株式市場に安心感が広がった。29日に発表された1月の個人消費支出(PCE)物価指数は市場予想通りの結果。懸念された上振れはなく、物価上昇の順調な減速が示された。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げへの期待は後退せず、S&P500種株価指数は反発。ナスダック総合指数は約2年3か月ぶりに史上最高値を更新した。28日発表の2023年10-12月期GDP改定値では米国経済の堅調な成長が示されており、投資家の不安は治まっている。
アメリカの1月PCE物価指数の伸び率は総合指数で2.4%
米商務省が29日に発表した1月のPCE物価指数の伸び率は総合指数が前年同月比2.4%で、前月の2.6%から低下。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.8%で、こちらも前月(2.9%)から低下した。伸び率はいずれも事前予想通りの結果だった。1月の物価上昇率は予想を上振れるサプライズになりやすいとの懸念もあったが、PCE物価は波乱を起こさず、物価上昇の減速を示した。
1月の総合指数の伸び率は2021年2月の1.9%以来の低さ。FRBが目標とする2%への接近を感じさせ、金融市場ではFRBが6月までに利下げに踏み切るとの見方が有力視されている。CMEグループのデータによると、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間1日午前11時段階で65%。金融市場が見込む利下げ時期は、1月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が予想を上回ったことを機に5月から6月に後ずれしていたが、1月PCE物価指数では流れが止まった形だ。
S&P500とナスダック総合はともに史上最高値
これから3か月後にFRBが利下げに踏み切るとの期待は株式相場のムードを明るくしている。29日のS&P500(SPX)の終値は反発。前日比0.52%高の5096.27となり、4営業日ぶりに史上最高値を更新した。2月の上昇率は5.17%で、2月としては2015年(5.49%)以来9年ぶりの高さだった。また、ナスダック総合指数は前日比0.90%高の16091.92で、2021年11月19日につけた16057.44を上回り、約2年3か月ぶりの史上最高値更新を果たした。
また、米国経済では成長の底堅さも感じられている。2月28日に発表された10-12月期GDP改定値は、実質成長率が前期比年率3.2%。速報値の3.3%からは下方修正されたものの、高い水準が維持された。個人消費の伸び率は3.0%で、速報値の2.8%から上方修正されており、やはりS&P500にとって明るい材料といえる。
1月PCE物価指数の結果は物価上昇の沈静化と景気後退回避が両立される「軟着陸(ソフトランディング)」の実現性を高めた。投資家心理の落ち着きはS&P500にとっては何よりもの追い風といえそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。