根強い米国のインフレ圧力と米ドル高の進行
1月CPIに続き同月PPIでも米国のインフレ圧力の根強さが確認された。インフレリスクと利上げの長期化が意識され米債市場では利回りの反発基調が続いている。この状況が続く限り、外為市場では”米ドル高がどこまで進行するのか?” この点が焦点となろう。ドルインデックスのチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
根強い米国のインフレ圧力と米ドル高の進行
【サマリー】
・1月PPIでも米国の根強いインフレ圧力が確認された
・金融引き締めの長期化が意識され米金利は反発基調を維持
・外為市場の焦点は “米ドル高がどこまで進行するのか?” にシフトしている
・ドルインデックスは75日MAのトライおよびブレイクが焦点に
根強い米国のインフレ圧力と米金利の上昇
1月の米生産者物価指数(PPI)は、前月比と前年同月比でともに市場予想を上回る内容となった。1月の消費者物価指数(CPI)に続き、同月PPIでも米国のインフレ圧力の根強さが確認された。
2月に入り発表された雇用関連とインフレ関連の経済指標では、予想を上回る内容が相次いで確認されている。特に後者のインフレ指標の内容は、“インフレが低下しない” リスクを各市場の参加者に意識させている。
米債市場では、強い経済指標(根強いインフレの圧力)を受け利回りの反発基調が続いている。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは、昨年11月上旬以来となる4.6%台まで反発する状況にある。一方、10年債利回りも昨年12月下旬以来となる3.86%台まで上昇してきた。
アメリカ生産者物価指数の推移
一方、短期金融市場(OIS市場)では、予想されるターミナルレートの水準が5.2%台まで急速に切り上がる状況にある。そして政策金利(FFレート)の水準が5%台へ到達した後は、今年1年を通して連邦準備制度理事会(FRB)がその水準を維持する可能性も織り込み始めている。
アメリカ政策金利の予想推移
外為市場の焦点は “米ドル高” にシフト
セントルイス連銀のブラード総裁は16日、インフレを抑制するため次回の連邦公開市場委員会(FOMC、3月21~22日開催)で50ベーシスポイントの利上げを行う可能性を示唆した。
現状、FEDウォッチでは25ベーシスポイントの利上げがコンセンサスとなっているため、連邦準備制度理事会(FRB)が再び大幅利上げ(50ベーシスポイントの利上げ)を行う可能性は低い。
だが、米国のインフレ圧力の根強さが具体的な数値で確認されたことで、米金利は反発基調を維持する可能性が高まっている。米金利の上昇が続けば、米国株は再び不安定化することが予想される。ゆえに現在の外為市場では、米金利の反発と米国株の不安定化のリスクを意識した “米ドル高” がどこまで進行するのか?この点に焦点がシフトしている。
ドルインデックスのチャートポイント
米ドル相場の方向性を示すドルインデックス(DXY)は、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準103.73レベルをローソク足の実体ベースで突破してきた。また、この水準がレジスタンスラインからサポートへ転換するムードも見られる。75日MA(今日現在104.51レベル)をも突破する場合は、さらなる米ドル高の進行を想定しておきたい。
ドルインデックスのチャート
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