米ドル相場は経済指標にらみの展開が続く / ドル円の見通しとテクニカルポイントについて
米債市場は経済指標にらみの状況にある。このため米ドル相場(ドルインデックス)やドル円も米国の経済指標で上下に振れる展開が続くだろう。今週の見通しは?注目しておきたい上下のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※ポンド円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・長期の期待インフレ率が予想外に上昇し米金利は再び反発のムードに
・米債市場は引き続き経済指標にらみの展開が続くだろう
・ドルインデックスとドル円も米経済指標の内容にトレンドが左右されるだろう
・ドル円の見通しと上下のチャートポイントについて
長期の期待インフレ率が上昇
米国のミシガン大学が12日に発表した5月の期待インフレ率では、1年先(短期)のそれが4.5%と前月の4.6%から低下したが、予想の4.4%を上回った。一方、5-10年先(長期)の期待インフレ率は3.2%と、市場予想の2.9%および前月の3.0%を上回り、2011年3月以来の水準まで上昇した。
4月の物価指標(消費者物価指数と生産者物価指数)はいずれもインフレが鈍化の傾向にあることを示唆した。しかし、将来の物価動向は人々が抱くインフレ期待に大きく左右される。ゆえに予想外に上昇した長期の期待インフレ率の動向は、インフレの圧力が簡単には後退しない可能性を示唆した。
ミシガン大学期待インフレ率の推移
経済指標にらみの展開が続く
4月の雇用統計以降、米債市場は重要な経済指標の内容に反応する状況が続いている。直近は上で述べた期待インフレ率の動向を受け、米金利の低下ムードが再び後退している。
今週は4月小売売上高などの重要な経済指標が発表される。現在の米国経済については、インフレの動向だけでなく景気の動向も焦点となっている。ゆえに景気動向を考える上で重要な経済指標も米金利の変動要因になり得る。
今日は5月のニューヨーク連銀製造業景気指数が発表される。市場予想は-4.0と前月の10.8からマイナスとなる見通しである。米金利が経済指標に反応しやすい地合いにあるということは、米ドル相場も同じ状況にある。
上で述べたとおり、今週は景気動向を見極めるための重要な米経済指標が予定されている。ゆえに予想以下の内容が続く場合は、景気の先行き懸念が高まることで米金利の低下と米ドル安の展開を想定しておきたい。
一方、今週の経済指標で予想以上の内容が続けば、米金利には再び反発の圧力が高まることが予想される。米金利の反発は米ドル相場の下支え要因である。
米金利の動向
ドルインデックスの焦点とチャートポイント
米ドル相場のトレンドを表すドルインデックス(DXY)は12日、期待インフレ率の上昇とそれに伴う米金利の反発を受け、IG為替レポートで取り上げてきたレジスタンスポイント102.40レベルのみならず、50日MA(102.48レベル)をもあっさりと上方ブレイクした。
101.00レベルが強固なサポートポイントとして意識されての反発であることを考えるならば、今週の米ドル相場は、どの水準が新たなレジスタンスとなるのか?この点が焦点となろう。
今週の米経済指標で景気の底堅さが確認される場合、米金利は反発トレンドの進行が予想される。このケースでのドルインデックスは、サポートからレジスタンスへの転換が確認されている103.00レベルのトライおよびブレイクが焦点となろう。
ドルインデックスが103.00レベルを完全に上方ブレイクする場合は、3月高値105.88レベルと4月安値100.78の半値戻し103.33レベルのトライが次の焦点として浮上しよう。
ドルインデックスのチャート
ドル円の見通しとテクニカル分析
上昇局面で注目しておきたい3つの水準
ドルインデックス(DXY)の動きに連動し、ドル円(USDJPY)も上昇ムードにある。50日MA(133.72 レベル)が新たなサポートラインとして意識され135円台へ難なく上昇したこと、そしてその水準(135円台)を維持している状況を考えるならば、ドル円の地合いは強い。
米債市場が経済指標に反応しやすい状況にあることを考えるならば、今週のドル円も米国の経済指標で上下に振れる展開が予想される。強い経済指標でドル円の上昇圧力が高まる場合、目先の焦点は3月高安の76.4%戻し135.96レベル(136.00)のトライおよびブレイクとなろう。
ドル円が136円台へ上昇する場合は、5月3日の大陰線高値136.57レベルのトライとなるか?この点が焦点となろう。このレベル(136.57)の突破は、137円台を目指すシグナルとなり得る。
今日現在、200日MAが137.02レベルで推移している。137円の攻防は200日MAを突破できるかどうか?の攻防でもある。
ドル円のチャート
反落局面での焦点は?
一方、ドル円(USDJPY)が反落する場合は、135.30-40ゾーンがサポートゾーンへ転換するかどうか?まずはこの点を見極めたい。この状況が確認される場合、ドル円は上で取り上げたレジスタンスポイントを視野に上昇トレンドを維持する可能性が高まるだろう。
ドル円が135.30-40ゾーンを下方ブレイクする場合は、135円台の維持が次の焦点となろう。だが、134円台へ反落しても4月5日の安値130.63レベルを起点とした新たな短期サポートラインを維持する場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けるだろう。このラインは今日現在、134.05レベルで推移している。(上の日足チャートを参照)。
ドル円のチャート
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