【ドル円 (USD/JPY)】再び高まる米ドル買いの圧力 / 今週の注目材料とチャートポイント
外為市場では、再び米ドル買いの圧力が高まるムードにある。今週の米経済指標とFRB高官らの発言が米ドル買いの要因となる場合、ドル円は上値トライの展開が予想される。注目しておきたいチャートポイントは?反落局面での焦点は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・強い雇用統計受け、外為市場では再び米ドル高のムードが漂っている
・今週の注目材料は、米経済指標と金融政策に関するFRB高官の発言となろう
・米ドル買いにサポートされ、ドル円は再び148円ミドルをトライする状況に
・ドル円の反落局面では、2つの移動平均線の攻防に注目したい
労働市場の堅調さを示した米雇用統計と各市場の反応
米金利の上昇と米ドル買い
米国の労働省が2日に発表した1月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比35.3万人増と、市場予想の18.5万人をはるかに上回る伸びとなった。
また、失業率は3.7%で横ばいとなり、平均時給は前月比で0.6%増、前年同月比で4.5%増と、それぞれ市場予想の0.3%増、4.1%増を上回った。
雇用の増加と賃金の上昇は、米国の労働市場が未だに堅調さを維持している状況を示唆した。強い雇用統計の内容を受け、この日の米債市場では利回りが上昇した。
米金利の上昇は、外為市場で米ドル買いの圧力を高めた。2日の外為市場は、対主要国の通貨で米ドルが全面高の展開となった。
米ドル相場の動向:2月2日
ドル相場のおおまかなトレンドを表すドルインデックス(DXY)は、50日線がサポートラインへと転換し大陽線が示現。
今週、レジスタンスゾーンとして意識されている104.00-20レベルを完全に上方ブレイクする場合、ドルインデックスはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準104.63レベルを視野にさらなる米ドル高の進行が予想される。
ドルインデックスのチャート:日足23年10月以降
3月利下げの可能性が潰え、5月の利下げを意識する状況に
一方、労働市場の堅調さを示した1月米雇用統計の内容を受け、OISが織り込む3月利下げの観測は急速に後退し、現在は5月の利下げ開始の可能性を意識する状況にある。
CMEのFedWatch ツールも同じ状況を示唆しているが、週明け7時時点での5月利下げの確率は60%を割り込む状況にある。
5月会合の利下げ確率
今週の注目材料
1月のISM非製造業景況感指数
今週の米ドル相場は、引き続き米国の経済指標で上下に振れる展開が予想される。
注目の経済指標は、1月のISM非製造業景況感指数である。市場予想は52.0と、23年12月の50.5から改善する見通しとなっている。
ISM非製造業景況感指数がサービス業の回復と堅調さを示す場合は、米国経済の強さを市場参加に意識させ、雇用統計を受けた米ドル高のトレンドをサポートする展開が予想される。
ドルインデックス(DXY)は、上で述べた104.00-20のレジスタンスゾーンを突破することが予想される。
また、ISM非製造業景況感指数の各構成項目の状況も確認したい。特に43.8まで低下している雇用指数の改善が見られる場合は、労働市場の堅調さを市場参加に印象付けよう。
労働市場の状況を考える上では、週間の新規失業保険申請件数にも引き続き注目したい。これら雇用関連の経済指標で労働市場の堅調さがあらためて確認される場合は、米ドル買いを想定しておきたい。
米国 ISM非製造業景況感指数の動向:月次23年以降
FRB高官の発言も変動要因に
ブラックアウト期間(FOMC参加者が金融政策に対する対外発言を控える期間)が明け、今週は米連邦準備制度理事会(FRB)の高官らの講演などが多く予定されている。
本日の日本時間9時(現地時間4日)にCBS ニュースの番組「60 Minute」で、パウエルFRB議長のインタビューが放映される(事前収録済み)。インフレのリスクや予想される利下げについて議論する予定だという。内容次第では、東京時間から米ドル相場の変動要因になり得る。
また、シカゴ地区連銀のグールズビー総裁がブルームバーグに出演する予定である(日本時間6日0時)。
明日以降は、クリーブランド地区連銀のメスター総裁(経済見通しについて講演)、ボストン地区連銀のコリンズ総裁(経済について講演)、クーグラーFRB理事(米国経済と金融政策について講演)、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁(地域経済や政策決定者が注視している経済指標などについて講演)らが、それぞれ講演を行う予定である。
FRB高官らの発言で注目したいのが、1月の雇用統計を含めた直近の経済指標の内容を踏まえたうえで、経済と政策金利の見通についてどのような見解を示すのか?この点にある。
これらの点で「タカ派」寄りの発言が相次ぐ場合は、外為市場で米ドル高がさらに進行する要因になり得る。
ドル円、今週の見通しとチャートポイント
上値の焦点は148円ミドルの突破
現在のドル円(USD/JPY)は、146.00-148.50レンジの攻防にある。ゆえに今週のドル円は、このレンジをどちらにブレイクするのか?この点が焦点となろう。
ドル円のチャート:日足23年11月以降
1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)と雇用統計の内容を受け、3月利下げの観測が急速に後退している。
上で述べた米国の経済指標と米連邦準備制度理事会(FRB)の高官らの発言内容が米ドル買いの要因となれば、ドル円はレンジ相場を上方ブレイクするだろう。
週明けの早朝からドル円は、148円ミドルを突破する局面が見られている。この水準を完全に突破する場合は、1月19日の高値148.80レベルの攻防が次の焦点となろう。ドル円が148.80レベルをも突破する場合は、149円台の攻防を想定しておきたい。
テクニカルの面では、IG為替レポートで何度か取り上げているフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準149.15レベルの攻防に注目したい。
日足のモメンタムのトレンドを確認すると、かろうじてゼロラインを上回ってはいるが上昇に勢いは見られない。
一方、ストキャスティクスは再び買われ過ぎの水準まで上昇している。これらの動向を重視するならば、ドル円が148円ミドルの攻防を制しても148.80レベル、149.00レベルそしてフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準149.15レベルで一度反落する展開を警戒しておきたい。
ドル円のチャート:日足23年11月以降
下値トライの局面では146円の維持が焦点に
上で述べた各レジスタンスの水準でドル円(USD/JPY)の上昇が止めらる場合は、反落相場を想定しておきたい。
しかし、FRBによる早期の利下げ観測が後退している状況を考えるならば、ドル円の下落幅は限定的となることが予想される。
目先は、1月下旬の反落相場を止めた146.00レベルを今週の下限と想定したい。この水準をトライするシグナルとして注目したいのが、2つの移動平均線の攻防である。
まずは、昨年の後半にレジスタンスのラインとして相場の反発を止め続けた経緯のある10日線の攻防に注目したい。この移動平均線は今日現在、147.66レベルで推移している。
ドル円が10日線を下方ブレイクする場合、次の焦点は21日線の維持となろう。この移動平均線は今日現在、146.98レベルで推移している。これら移動平均線の攻防は147円を維持する攻防となろう。
ドル円の反落局面でこれらの移動平均線が相場をサポートすれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
一方、ドル円が21日線を完全に下方ブレイクする場合は、146.00レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
可能性は低下しているが、今週ドル円が146.00レベルを完全に下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準145.54レベルのトライが焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート:日足23年11月以降
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