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ベイリー英中銀総裁の発言でポンド安進行、下落ムードのポンドドル ポンド円は石破ショックの逆回転が相殺要因に、今日の見通し

3日の外為市場で英ポンドが下落した。要因は英中銀のベイリー総裁が積極的な利下げの可能性を示唆したことにあった。対米ドルでは1%下落した。一方、石破ショックの逆回転で円安が進行していることでポンド円は底堅さを維持している。今日の見通しと注目のチャート水準は?

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記事のポイント

・ベイリー英中銀総裁がより積極的な利下げの可能性を示唆した
・英中銀の連続利下げ期待が高まり、ポンドは対米ドルで1%下落した
・一方、対円での下落幅は限定的だった、石破ショックの逆回転が相殺要因に
・ポンド円、今日の見通しと注目のチャート水準について


ベイリー総裁利下げを示唆、英ポンド売り

3日の外為市場では英ポンドが対主要通貨で軒並み下落した。主因はイングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁の発言にあった。同総裁は英ガーディアン紙とのインタビューで、インフレが抑制される場合は、利上げについてもう少し積極的に(bit more aggressive)取り組む姿勢を示した。

英ポンドの騰落率:10月3日

英ポンドの騰落率:10月3日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

上で述べたベイリー総裁の発言前から、短期金融市場では11月の利下げを確実視する状況にあった。

注目は、12月の金融政策委員会(MPC)でも英中銀が連続で利下げを実施する可能性が意識され始めたことである。本レポートの掲載時点での12月利下げ確率は75%前後まで上昇している。連続利下げ期待の高まりは、英ポンドの重しとなろう。

英中銀 政策金利の予想推移

英中銀 政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 10月4日 午前11時時点 OISに基づく予想

米利下げペース再考の局面、ドル高再び?

こちらのIG為替レポート「石破ショック逆回転で高市トレードを超える円安 注目の米雇用統計 ドル円の見通し」で述べたとおり、強い経済指標を受けたソフトランディング期待の高まりを受け、パウエルFRBの利下げのペースについて再考が迫られている(詳細は上のリンク先を参照)。

パウエルFRB議長は利下げについて「急ぐ必要なし」との姿勢をあらためて強調した。そして、今週発表された雇用関連の経済指標-8月JOLTS求人件数と9月ADP雇用統計はいずれも労働市場の堅調さを示唆した。

これら一連のイベントを受け、一時意識された11月の連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ期待が急速に後退している。この状況を受け、外為市場では再び米ドル買いの圧力が高まっている。

事実、ドル指数(DXY)は50日線を突破してきた(下のチャート、青ラインを参照)。MACDはゴールデンクロスへ転じ、ゼロラインを視野に上昇トレンドにある。RSIの上昇幅は拡大しているが、過熱感が高まっているサインは見られない。

今晩の9月雇用統計がアメリカ労働市場の堅調さを示す場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準102.45レベル、または半値戻しの水準103.15レベルを視野に米ドルの買い戻しがさらに進行することが予想される。

ドル指数のチャート:日足 2024年6月以降

ドル指数のチャート:日足 2024年6月以降

出所:TradingView

下落ムードのポンドドル 50日線が視野に

ポンドドル(GBP/USD)で下落のムードが高まっている。昨日はベイリー発言で1%下落し、短期サポートラインを大陰線で下方ブレイクした。そして1.31割れの局面が見られた(安値1.3091レベル)。

しかし、ベイリー発言の前からポンドドルがジワリと下落している状況は、上で述べたパウエルFRBの利下げペースについて再考が迫れていることと深く関係していよう。

ポンドドルが弱気相場へ転じていることはRSIとMACDの動きも示唆している。この状況で、今晩の9月米雇用統計が強い内容となる場合は、米利下げペースに対する行き過ぎた市場の緩和観測がさらに修正されるだろう。

英ポンド売りと米ドル買いが重なることで、ポンドドルは50日線を下方ブレイクする展開が予想される。ポンドドルが50日線を下方ブレイクする場合は、9月11日の安値1.30のトライそして下方ブレイクを想定しておきたい。

ポンドドルのチャート:日足 2024年7月下旬以降

ポンドドルのチャート:日足 2024年7月下旬以降

出所:TradingView

ポンド円 石破ショックの逆回転が相殺要因に

3日の外為市場では、対日本円でも英ポンド売りとなった。しかし、対米ドルやユーロと比べて下落率は限定的だった。こちらのIG為替レポートで取り上げた“石破ショックの逆回転”による円安相殺要因となった。

ポンド円が、石破ショック逆回転の円安でサポートされている状況は、日足チャートでも見られる。RSIはデッドクロスへ転じるムードにあるが、売られ過ぎの水準へ一気に低下するムードにはない。MACDはゼロラインを上回る水準を維持し、大きな変動は見られない(いずれも下の日足チャート、黒矢印を参照)。21日線と50日線ではゴールデンクロスへ転じる可能性がある。

ポンド円のチャート:日足 2024年7月以降

ポンド円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

今晩の9月雇用統計が米ドル買いの要因となり、ポンドドル(GBP/USD)が50日線や1.30レベルを下方ブレイクしても、米ドル高がドル円(USD/JPY)をサポートするだろう。ポンド円はドル円との間で高い相関関係が見られるからだ。

この点について、ドル円が161円台に向けて上昇し始めた2023年以降の相関係数で確認すると、ポンド円とドル円のそれは0.725である一方、ポンドドルとの相関係数は0.341と低い。

さらに今は、石破ショックの逆回転で円安が進行しやすい状況にある。ゆえに、今晩の9月雇用統計が米ドル買いの要因となりドル円が上昇すれば、ポンド円はドル円の動きに追随する展開が予想される。

ポンド円、ドル円、ポンドドルの相関係数

ポンド円、ドル円、ポンドドルの相関係数

ブルームバーグの為替データで作成 / 2023年以降、対数差分の相関係数、データ数:459

本日、ポンド円が上値をトライする局面では、10月3日の高値195.17レベル、9月27日の高値196.00レベルと、1円レンジで上値の攻防を確認したい(上の日足チャートを参照)。

ポンド円が196円台へしっかりと上昇する場合は、7月高値と8月安値で算出されるフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準197.41レベルのトライの可能性が高まろう(上の日足チャートを参照)。

ポンド円の下落幅は限定的か

一方、今晩の9月雇用統計が米ドル売りの要因となる場合は、ドル円(USD/JPY)の反落を想定しておきたい。ポンド円(GBP/JPY)もドル円の下落に追随する展開が予想される。

しかし、石破ショックの逆回転による円安がドル円とポンド円を下支えする展開が予想される。ポンド円が下値をトライする局面では、50日線と21日線の維持が焦点となろう。50日線は今日現在189.80レベル、21日線は189.60レベルで推移している。

ポンド円がこれら移動平均線をトライするシグナルとして注目したいのが、下の15分足チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準191.87レベルと、76.4%の水準191.10レベルである。

ポンド円が190円台へ下落する場合は、10月2日に相場をサポートした190.50レベルのトライが焦点として浮上しよう(下の15分足チャート、黒矢印を参照)。

ポンド円が190.50を完全に下方ブレイクする場合は、189円台への下落と上で取り上げた2つの移動平均線-50日線と21日線のトライを想定したい。ポンド円がこれら移動平均線より上の水準を維持する場合は、来週以降も195円以上を目指す可能性がある。

本レポート掲載時点で、15分足のMACDはデッドクロスへ転じゼロラインを下回ってきた(下の15分足チャート、赤の矢印を参照)。RSIが売られ過ぎの水準付近に向けて低下している状況も考えるならば、目先はポンド円の下落を想定しておきたい(下の15分足チャート、紫の矢印を参照)。。

しかし、RSIが売られ過ぎの水準でゴールデンクロスへ転じる場合は、相場の反発を意識したい。MACDでもゴールデンクロスが確認される場合は、その可能性をより強く意識したい。

ポンド円のチャート:15分足 10月以降

ポンド円のチャート:15分足 10月以降

出所:TradingView


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