【新興国通貨】日銀 追加利上げ決定も円高は限定的、次はFOMC トルコリラ円の展望は?
トルコリラ円はレンジの下限をトライするムードにある。ドル円の動きがトルコリラ円のトレンドを左右するだろう。日銀は7月の金融政策決定会合で追加の利上げを決定したが、ドル円は200日線でサポートされ、今のことろ過度な円高の反応は見られない。次の焦点はFOMC。米ドル安のイベントとなれば、ドル円の下値トライが予想される。トルコリラ円もこの動きに追随する展開が予想される。注目チャート水準は?
記事のポイント
・日銀は追加の利上げと長期国債購入の減額を決定
・ドル円は200日線で反転すると153円台へ反発
・トルコリラ円はドル円にらみの展開を予想する
・FOMCが米ドル安要因となれば、トルコリラ円の下落を警戒したい
日銀会合のサマリー
追加利上げと長期国債購入の減額計画の同時決定
日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度へ引き上げることを決定した。
長期国債の買い入れ減額については、現在の月6兆円程度から2026年1〜3月に同3兆円に減らす方針を決めた。原則、毎四半期ごとに4000億円ずつ減額する。また、長期金利が急激に上昇する場合には、機動的に買入れ額の増額等を実施する方針も示した。
ドル円の反応
円高は限定的、200日線でサポート、153円台へ反発
金融政策決定会合の結果が発表された直後、ドル円(USD/JPY)は152.00を下方ブレイクした。しかし、200日線が推移している151.61レベルでサポートされると、一転して円安優勢となり、153円台まで反発する展開となった。
レジスタンスのラインとして意識されている10日線を突破しない限り、200日線を再びトライする可能性が残る。
15時30分に予定されている植田総裁の会見、そして米連邦公開市場委員会(FOMC)の内容次第では、10日線と200日線どちらをブレイクするのか?その方向性が見えてくる可能性がある。
ドル円:日足 23年12月以降
出所:TradingView
トルコリラ円の見通しとテクニカル分析
ドル円の動きに注目
ドル円(USD/JPY)のトレンド動きに、トルコリラ円(TRY/JPY)は追随する展開が予想される。
この点について、年初来の相関関係で確認すると、ドル円とトルコリラ円との相関係数が「0.855」 と高い順相関の関係にある。相関係数で因果関係は分からない。しかし、ドル円の下落が一服していることでトルコリラ円もレンジの下限4.55レベルを維持している。この状況を考えるならば、植田総裁の会見以降のドル円の動きがトルコリラ円のトレンドを左右する展開が予想される。
各通貨ペアの相関関係:年初来
レンジのブレイクと最安値の攻防
ドル円(USD/JPY)は200日線でひとまずサポートされている。しかし、10日線すら突破できない状況を考えるならば、下落リスクを警戒する状況が続く。
植田総裁の会見のほか、こちらのIG為替レポートで取り上げた米連邦公開市場委員会(FOMC)にも注目したい。FOMC声明とパウエルFRB議長の会見で今年3回の利下げ期待が高まれば米ドル安の展開が予想される。ドル円は米ドル安を受けて、再び200日線を視野に下落する可能性があろう。
ドル円の下落に追随し、トルコリラ円(TRY/JPY)がレンジの下限である4.55レベルを完全に下方ブレイクすれば、現時点での今年安値4.448(3月15日安値)のトライが焦点として浮上しよう。
トルコリラ円:日足 23年12月以降
出所:TradingView
4.448をトライするサインは?
トルコリラ円(TRY/JPYが4.448の水準をトライするサインとして、3つのサポート水準の攻防に注目したい。
ひとつは、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準「4.573」である。このテクニカル水準を下方ブレイクすれば、レンジの下限「4.55」のトライを予想する。
最後の水準が、フィボナッチ・エクステンション100%の水準「4.50」レベルである。この水準をも下方ブレイクすれば、4.448レベルのトライを予想する。
トルコリラ円:日足 23年12月以降
出所:TradingView
反発局面での注目ポイントは?
一方、トルコリラ円(TRY/JPY)が反発する場合は、7月に入りレジスタンスのラインとして意識されている10日のトライ&ブレイクが焦点となろう。この移動平均線は今日現在、4.668レベルで推移している(最初の日足チャート、青ラインを参照)。
10日線を上方ブレイクすれば、21日線まで反発する可能性が出てくる。この移動平均線は今日現在、4.755レベルで推移している(最初の日足チャート、緑ラインを参照)。
トルコリラ円が21日線をトライするサインとして、4.70の攻防に注目したい(上の日足チャート、青ラインを参照)。日足ローソク足の実体ベースでこの水準をブレイクアウトする場合は、21日線を視野に反発相場が続く展開を予想する。
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