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【ドル円の見通し】利回り格差縮小でも上昇トレンドを維持、158円が視野に

5月の米PMI速報値は、企業活動が持続的に拡大している状況を示唆した。強い経済指標を受け、9月の利下げ期待が再び後退している。日米の利回り格差が縮小の傾向にあってもドル円(USD/JPY)が上昇トレンドを維持している状況は、今の円安圧力がいかに強いのか、を示唆している。今日のドル円の見通しは?


サマリー

・強い経済指標を受け9月利下げの期待が後退、米金利は再び反発のムード
・日米の利回り格差が縮小してもドル円は上昇トレンドを維持、158円のトライが視野に
・ドル円の反落局面では、3つのサポート水準の攻防に注目したい


強い経済指標と利下げ期待の後退

米S&Pグローバルが23日に発表した5月の購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.4と、22年4月以来2年超ぶりの高水準となった。

持続的な企業活動の拡大が示されたことで、市場参加者の利下げ期待が後退。短期金融市場では9月利下げの確率が40%台まで低下している。また、強い経済指標と利下げ期待の後退を受け、米債市場では利回りが再び反発のムードにある。

米国 購買担当者景気指数(PMI)の動向:22年以降

米国 購買担当者景気指数(PMI)の動向:22年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

国内の金利が上昇してもドル円の上昇トレンドは変わらず

約11年ぶりに国内の10年債利回りが1%へ到達した。他の年限の国内金利もジワリと上昇している(下のチャートを参照)。

植田日銀は今夏以降に追加の利上げを行うだろう。そして金融緩和政策からの脱却に向かって着実に歩みを進めていくだろう。現在の金利上昇は、それを先取りした動きといえる。

国内金利の動向:20年以降

国内金利の動向:20年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


国内の金利がジワリと上昇していることで、5月以降、日米の利回り格差は縮小の傾向にある。

しかし、ドル円(USD/JPY)は昨日、157円台へ到達した。日米の利回り格差が縮小してもドル円が上昇トレンドを維持している状況は、いかに今の円安圧力が強いのか、を示唆している。

日米利回り格差とドル円のチャート:日足 23年11月以降

日米利回り格差とドル円のチャート:日足 23年11月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

ドル円、今日の見通しとチャート分析

焦点は158.00のトライ

米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ再燃に対する警戒レベルは高い。そして短期金融市場での利下げ期待が再び後退している。日米の利回り格差が縮小しても157円台へ到達した強さも考えるならば、今日のドル円(USD/JPY)はさらなる上値のトライを想定したい。

ドル円が157円台へしっかりと上昇する場合、次の焦点は重要なレジスタンスの水準である「158.00」のトライおよびブレイクとなろう(下のチャート、赤ラインを参照)。

4月29日に突然円相場が急伸した。その後に発生した反発相場を止めたのが158.00レベルだった。

そして5月2日の早朝に再び円相場が急伸した。この時の高値水準も158.00レベルだった。いずれの円高も政府・日銀による為替介入(円買い介入)との観測がある。

イエレン米財務官は23日、為替介入について「まれであるべきで実施には事前の伝達が適切」と発言した。あらためて日本側をけん制してきたことで、介入のハードルは上がっている。ゆえに158.00レベルは、もはや円買い介入の可能性を意識する水準ではなくなってきた。

ドル円が重要レジスタンスポイントの158.00レベルをも難なく上方ブレイクすれば、節目の160.00を視野に上昇幅が拡大することが予想される。

テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準158.24レベルのトライそして上方ブレイクが焦点となろう。

ドル円のチャート:4時間足 4月25日以降

ドル円のチャート:4時間足 4月25日以降 TradingView提供のチャートで作成


反落の局面では3つのサポート水準が焦点に

一方、ドル円(USD/JPY)の反落局面では、3つのサポート水準の攻防に注目したい。

最初の水準が156.50レベル、次が156.00レベル、そして最後が155.50レベルである。いずれのチャートポイントも「サポート転換」を意識する水準である。

また、現時点での直近高安から算出されるフィボナッチ・リトレースメントの水準が、上で取り上げた各サポート水準のすぐ下に位置している。

特に注目したいのが、156.00前後の攻防である。今日現在、10日線が156.10台まで上昇している。一方、すぐ下の155.82レベル(38.2%の水準)は、21日NYタイムの反落を止めた経緯がある(下のチャート、赤矢印を参照)。155.80-156.00レベルがサポートゾーンとして意識され、ドル円を下支えする展開を想定しておきたい。

分足のストキャスティクスとRSIを軸に相場の過熱感を確認し、これらオシレーター指標が買われ過ぎ、売られ過ぎの水準でデッドクロス、ゴールデンクロスの状況へ転じている時に、ドル円が上で述べた上下のチャートポイントをトライする局面では反落、反発を想定しておきたい。

ドル円のチャート:45分足 5月13日以降

ドル円のチャート:45分足 5月13日以降 TradingView提供のチャートで作成

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