米中古住宅販売は落ち着くか 20日発表 S&P500の下支え期待
20日発表の6月の米中古住宅販売件数は5月から低下しそうだ。FRBの利上げ鈍化が意識され、株価を下支えする可能性がある。
米国で20日に発表される6月の中古住宅販売関連の統計は販売件数が5月から低下すると予想されている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げで住宅ローン金利が高止まりしていることが要因。住宅市場の落ち着きが示されれば、FRBの利上げペースの鈍化が期待され、上昇を続けているS&P500種株価指数を下支えすることになりそうだ。ただ、このところの市場金利の低下は、中期的には住宅ローン金利の引き下げにつながって住宅購入を促す効果を生む要素といえ、FRBにとっては気が抜けない状況が続く可能性もある。
6月の中古住宅販売件数は年換算420万件の予想
6月の中古住宅販売統計は、全米リアルター協会(NAR)が20日午前10時(日本時間20日午後11時)に発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、販売件数の市場予想は年換算420万件で、5月の実績(430万件)から低下する見通し。また平均販売価格は2月以降4か月連続で前年同月比マイナスとなっており、この傾向が6月も続くかも焦点だ。
販売件数の低下が見込まれるのは、住宅ローン金利の6%台半ばでの高止まりが2月以降続いてきたからだ。6月の数字から中古住宅市場の落ち着きが感じられれば、物価上昇の抑え込みを狙って利上げを行ってきたFRBの思惑通りの結果といえる。12日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が前年同期比3.0%まで下がった一方、家賃(持ち家の帰属家賃含む)の伸び率は7.8%という高さだった。しかし住宅市場の落ち着きは、いずれは家賃の低下につながる要素といえ、FRBの利上げの必要性を薄れさせそうだ。
このところの米国の金融市場では、6月のCPIの結果に加え、7日に発表された6月の雇用統計でも米国経済の軟化が示されていたことで、金利の先高観が緩んだ。7月25、26日の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げはほぼ確実視されているが、これが最後の利上げになるとの見方が強まっている。
S&P500は直近7営業日のうち6日で値上がり
この結果、株式市場では株価の先行きに楽観的な見方が台頭。S&P500(SPX)は10日から18日までの7営業日のうち、6日で値上がりしている。また、18日に発表された6月の小売売上高が前月比0.2%増となり、事前予想の0.5%を下回ったことも、株式市場で好感された。中古住宅市場の落ち着きがみられた場合は、こうした株式市場の前向きなムードを支えることになりそうだ。
ただし米国の債券市場では10日以降、10年物米国債の利回り(長期金利)が下がっており、今後、住宅ローン金利の低下が始まる可能性もある。結果として住宅市場が活気づくことになれば、物価を引き上げる方向に作用するといえ、利上げをめぐるFRBの判断がさらに難しくなる可能性もある。
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