米4月中古住宅販売件数は減少予想 18日発表 ドル円相場への影響は?
18日発表の4月の中古住宅販売件数は3月から減少する見通し。結果が予想より上振れすれば、ドル高圧力になる可能性がある。
米国で18日に発表される4月の中古住宅販売関連の統計は、米国経済の冷え込みが示されそうだ。販売件数の市場予想は年換算430万件で、3月から減少する見通し。2か月連続で減少している販売価格の動向にも注目が集まる。ただし米国では16日に発表された4月の小売売上高が市場予想を下回ったにも関わらず堅調な結果と受け止められ、ドル円相場はドル高に動いた。中古住宅販売でも米国経済の強さが意識されれば、同様の値動きになる可能性がある。
4月の中古住宅販売件数は年換算430万件予想
4月の中古住宅販売関連の統計は、全米リアルター協会(NAR)が日本時間18日午後11時に発表する。市場予想の販売件数は3月の444万件から3.2%低い水準。前月比での減少は、2月の13.8%増を除けば、2022年2月以降続いているだけに、4月も予想通りの数字となれば住宅市場の落ち着きを感じさせそうだ。また3月の統計では、平均販売価格の前年同月比増減率が2か月連続のマイナスになるという11年1か月ぶりの異変も起きており、4月の数字も焦点となる。
中古住宅販売でみられる米国経済の弱まりの背景にはFRBによる利上げある。米抵当銀行協会(MBA)が毎週発表しているデータによると、30年固定の住宅ローン金利は5日までの週で6.48%。シリコンバレーバンクの経営破綻があった3月中旬以降も横ばい傾向が続いている。FRBが利上げを始めた2022年3月は4.4%程度だったことを踏まえれば、住宅ローン金利は高止まりが続いている状況で、住宅市場の下押し圧力となっている。
4月の小売売上高は市場予想下回るもドル高
ただし米国の個人消費関連の指標では、商務省が16日に発表した4月の小売売上高が前月比0.4%増となり、3か月ぶりのプラスを記録した。市場では米国経済の底堅さを示す数字とみられ、ドル円相場(チャート)は円安ドル高に振れた。前月比伸び率の大きさは事前の市場予想(0.8%増)を下回り、前年同月比での伸び率(1.6%増)は2020年6月以降で最も低い数字だったが、市場は米国経済の強さに着目した形だ。
FRBのパウエル議長は5月3日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、金融引き締めの効果について「住宅や投資といった金利に最も敏感な分野で確認できている」と指摘。一方、「金融引き締めの完全な効果、特に物価に対する効果が表れるには時間がかかる」とも述べている。4月の中古住宅市場関連統計で強さが感じられれば、FRBの思惑に反して経済の冷え込みに時間がかかっている形といえる。この場合は6月の13、14日のFOMCで利上げが行われるとの見方が現状よりも強まり、ドル円相場を円安ドル高に動かす場面も想定されそうだ。
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