米雇用統計、7月は理想的結果か 軟着陸期待 S&P500上昇も
7月のアメリカの雇用統計は景気維持と物価上昇圧力の弱まりを感じさせる内容になる見込み。予想通りなら株高も期待される。
4日に発表されるアメリカの7月の雇用統計は理想的な結果になると期待されている。非農業部門の就業者数の増加が前月比20万人となるほか、失業者は低位で安定し、賃金上昇は減速するという予想だ。この通りになれば米国経済が物価上昇抑制と景気維持を両立できる軟着陸(ソフトランディング)シナリオを強める結果といえ、株式市場にとっては好材料。S&P500種株価指数などの上昇を後押しする可能性もありそうだ。ただし、いずれかの数値が期待はずれに終われば、投資家の失望を買うおそれもある。
7月の米雇用統計は就業者数が20万人増加の予想
7月の雇用統計は4日午前8時30分(日本時間午後9時30分)に発表される。ロイター通信のエコノミスト調査によると、7月の就業者数は前月比で20万人増える見通し。増加幅は6月の20.9万人から減速するが、景気の冷え込みも過熱も感じさせない数字だといえる。また失業率は6月と同じ3.6%の予想で、低水準で安定するとみられている。
さらにエコノミストによる予想では、米国の悩みの種である物価上昇の要因とみなされてきた賃金上昇も落ち着き始めるとみられている。平均時給の前年同月比伸び率は4.2%となり、6月まで3か月連続で続いた4.4%から低下する見通し。2021年6月(3.9%)以来の低い伸びとなる数字だ。
米国経済をめぐっては7月28日に発表された6月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率が総合指数で前年同月比3.0%、食品とエネルギーを除いたコア指数で4.1%となり、物価上昇の落ち着きが深まっている。7月の雇用統計が予想通りの理想的な結果であれば、景気の冷え込みを避けながらも、物価上昇圧力は低下していくという、ソフトランディングを達成する筋道が強まりそうだ。
S&P500は約1年4か月ぶりの高値も視野
米連邦準備制度理事会(FRB)は物価上昇抑制を狙い、2022年3月から利上げサイクルに入っているが、金融市場では7月に決めた0.25%利上げが最後になるとの見方が強い。こうした中でソフトランディングへの期待が膨らめば、米国の金利先高観が緩み、株価の上昇を後押しする可能性がある。S&P500(SPX)の8月1日の終値は4576.73で、2022年3月20日以来、約1年4か月ぶりとなる4600台も視野に入っている。
ただし雇用統計に対する市場予想のハードルが高いだけに、実際の結果が予想から外れた場合は投資家の失望が大きくなる可能性もある。景気の強さがみられれば物価上昇圧力や利上げが連想されて株価を下押しし、景気の弱さが感じられても企業業績への不安から株式が売られる展開も想定され、不安定な値動きになるおそれもありそうだ。
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