ドル円再び160円台へ、37年半ぶりの高値水準、今後の見通し
ドル円(USD/JPY)は26日、再び160円台へ上昇した。4月29日の時と違うのは、160円台を維持したことである。政府・日銀による円買い介入を警戒する必要はある。しかし今の地合いの強さを考えるならば、焦点は新たな上値水準の見極めにある。次に注目したいその水準とは?
この記事のポイント
・円安の進行が止まらず、ドル円は約37年半ぶりに160.80台へ上昇する局面あり
・クロス円での円安進行も考えるならば、ドル円の焦点は新たな高値水準の見極めにある
・次に注目したいドル円の高値水準は?
止まらない円安
26日の外為市場でも円安優勢の状況が続いた。
米ドル高も重なりドル円(USD/JPY)は4月29日以来となる160円台へ上昇した。そして約37年半ぶりに高値160.87レベルまで上昇する局面が見られた。
クロス円でも円安が進行した。ユーロ円(EUR/JPY)は高値まで171.83レベルまで上昇し、1999年のユーロ導入以来の高値を更新した。
ポンド円(GBP/JPY)は2008年8月以来となる203.14レベルまで上昇する局面が見られた。
豪州の5月消費者物価指数(CPI)は4.0%と、前月の3.6%からインフレが加速した。豪準備銀行(RBA)はインフレの動向次第で利上げも辞さない構えを見せている。強いCPIを受け豪ドル円(AUD/JPY)は2007年11月以来となる107円の水準が視野に入る状況にある。
円相場の動向:6月26日
ドル円の見通し、3つの注目ポイント
ドル円(USD/JPY)は26日、160円台へ上昇した後もNYタイム終了時点で160円台の維持に成功した。この動きを受け、目先のドル円の焦点は、3つに絞られたと筆者は考えている。
焦点1:160円のサポート転換
まずは、“円買い介入以外”が要因の反落局面で160円を維持できるかどうか?この点を確認したい。160.00レベルの「サポート転換」は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
焦点2:新たな高値水準の見極め
二つ目は、新たな高値水準の見極めとなろう。この点については161円、162円と、1円レンジでその水準を見極める展開となろう。
テクニカルの面で注目したいのが「164.94」である。この水準は2023年の重要な高安で算出されたテクニカルポイントである。言いかえれば、165円の攻防に注目したい(下のチャート、赤ラインを参照)。
ドル円が164.94レベルを目指す場合、その過程で何度か調整の反落が見られるだろう。その際に付けた高値の各水準を常にチェックしたい。
調整の反落を挟みながらドル円がこれら高値の水準を突破し続ける場合は、164.94レベルのトライが現実味を帯びてくるだろう。
ドル円のチャート:月足 2021年以降
TradingView提供のチャートで作成
焦点3:円買い介入と新たな下値の水準
ドル円(USD/JPY)は4月29日、160円台へ上昇する局面が見られた。
しかし、この時は政府・日銀による円買い介入を受け160円の維持に失敗した。今回も同じ展開となる可能性がある。
しかし、5月2日の早朝に2回目の円買い介入が行われてから2か月もたたないうちに再び160円台へ上昇した事実を考えるならば、為替介入が今のドル円のトレンドを変えるインパクトはないだろう。
ゆえに、政府・日銀による為替介入は、新たな下値の水準を提供することになるだろう。
テクニカルの面でその水準を探ると、最も重要なのが昨年12月28日を起点とした短期サポートラインの維持である。このラインは、今のドル円の上昇トレンドを象徴している。ゆえに、このラインを維持する場合は「ドル高・円安」が続くシグナルとなろう。
なお、短期サポートラインと並行して50日線が推移している(下のチャート、青ラインを参照)。この状況も、重要なテクニカルラインとしての短期サポートラインの存在感を強めている。
ドル円が短期サポートライン(50日線)をトライするサインとして注目したいのが、21日線の攻防である(下のチャート、緑ラインを参照)。この移動平均線は今日現在、157.68レベルまで上昇している。すぐ上の158.00レベルは、サポート転換を意識する水準である(下のチャート、赤ラインを参照)。
実際に政府・日銀によって円買い介入が行われる場合は、その水準次第で上で述べたテクニカルポイントを下方ブレイクする可能性がある。しかし、4月と5月の円買い介入後の動きを考えるならば、長い下ヒゲが現れるかたちでのドル円の急反発を予想する。
ドル円のチャート:日足 23年12月以降
TradingView提供のチャートで作成
今日の注目材料は米新規失業保険申請件数
本日、ドル円(USD/JPY)の変動要因として注目したいのが、週間の米新規失業保険申請件数である。市場予想は23.5万件である。
4週移動平均でトレンドを確認すると、今年の1月中旬以降、申請件数が増加の傾向にあることが分かる(下のチャート、赤ラインを参照)。直近は23万件を超える水準まで失業保険の申請件数が増加している。
新規失業保険申請件数で労働市場の軟化が示される場合は、米金利の低下と米ドル安の要因になり得る。よってこのケースでのドル円は、調整の反落相場を想定しておきたい。
注目は上で述べた「焦点1」となろう。ドル円が160円台を維持する場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
一方、新規失業保険申請件数が労働市場の堅調さを示す場合は、米金利の上昇と米ドル高の展開を予想する。このケースでのドル円は、昨日の高値160.87レベルの突破と161円台への上昇が焦点となろう。
米国 新規失業保険申請件数の動向:23年6月以降
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