日銀、追加利上げ見送り 次の焦点は植田総裁の会見 ドル円は変動幅の拡大を警戒
日銀は19日の金融政策決定会合で、無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%で据え置いた。来年の米利下げペースの鈍化が意識されるなかでの利上げ見送りを受け、ドル円は155円台の攻防にある。植田総裁の会見次第でドル円は、上下に大きく振れる展開を警戒したい。
日銀が追加利上げを見送り、焦点は植田総裁の会見と来年1月の利上げ見通し
日銀は19日の金融政策決定会合で、無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%で据え置いた。7月の会合で0.25%への利上げを決めてから、利上げの見送りは3会合連続となった。次の焦点は、植田和男日銀総裁の会見となろう。注目ポイントを以下にまとめた。
・短期金融市場では、追加利上げの見送りが想定されていた。市場参加者の関心は、来年1月の会合で追加利上げに踏み切るのかどうか?にある。レポート掲載時点での利上げ確率は58%前後で推移している。一時50%を下回る局面も見られたが、植田総裁が1月利上げに積極的なシグナルを発信する場合は、「利上げ期待の高まり→円高」を想定しておきたい
・米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者による25年のFF金利誘導目標の予想中央値は3.9%(3.875%)だった。前回の9月見通し(3.4%)から上方に修正された。利下げの回数は4回から2回に半減した。この状況で植田総裁が追加の利上げについて慎重な姿勢を示す場合、外為市場ではさらなる円安の進行が予想される。ドル円(USD/JPY)は、以下で述べるレジスタンスラインを視野に上昇幅の拡大を想定したい
日銀 来年1月会合の利上げ確率
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 19日 14時30分時点
ドル円は155円台の攻防に、ボラティリティの拡大を警戒
米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げパスの不透明感を受け、外為市場では米ドル高が進行している。この状況で植田総裁の会見が円安の要因となれば、以下で取り上げているレジスタンスラインの攻防を意識したい。
・日足のMACDとモメンタムは、ドル円の強気相場に勢いがあることを示唆している。事実、フィボナッチ・エクステンション38.2%の水準155.20を難なく上方ブレイクした
・米ドル高が進行するなかで植田総裁の会見が円安の要因となれば、156円台への上昇を想定したい。11月20日高値155.88の突破は、156.00をトライするサインと捉えたい
・ドル円が11月15日の高値156.75を突破すれば、157円が視野に入ろう。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション50.0%の水準157.22の攻防が焦点となろう
・だが、急速な円安は日銀の追加利上げの可能性を高める。よって、ドル円が一気に157円を目指す展開では、逆に投機的な円の買い戻しとそれにともなうドル円の急落を警戒したい
レジスタンスラインのまとめ
・157.22:フィボナッチ・エクステンション50.0%(日足)
・157.00レジスタンスライン(日足)
・156.75:11月15日(日足)
・156.00:レジスタンスライン(日足)
・155.88:11月20日
植田総裁の会見が“タカ派”ならば、ドル円の急落を警戒したい
植田総裁の会見内容が市場で“タカ派”と捉えられ、来年1月の利上げ期待が高まる場合もボラティリティの拡大を警戒したい。このケースでは、瞬間的に円高が進行する可能性がある。10日線を重要なサポートラインと想定したい。その10日線をトライするサインとして以下でまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
・本レポート掲載時点では、155円ミドルの水準まで米ドル高・円安が進行する局面が見られた。円安の進行は、日銀の追加利上げの可能性を高める要因である。よって植田総裁の会見が円高の要因となれば、ドル円の急落を警戒したい
・ドル円が10日線(153.00)をトライするサインとして、以下で取り上げているフィボナッチ・リトレースメントの水準、サポートラインへ転換する可能性のある154.85レベル、そして米FOMC後の相場を支えた154.40レベルの攻防に注目したい
・全戻しの153.70レベルを一気下方ブレイクする場合は、10日線(153.00)のトライを意識したい。なお、ドル円の上昇幅が拡大すれば、フィボナッチ・リトレースメントの水準も上方に修正される。その都度、新たな水準を確認したい
・15分足のストキャスティクスとRSIはともに買われ過ぎの水準でデッドクロスへ転じている。植田総裁の会見が円高の要因となれば、ドル円の下落または急落を警戒したい
サポートラインのまとめ
・155.05:フィボナッチ・リトレースメント23.6%(15分足)
・154.85:サポートラインへ転換する可能性あり(15分足)
・154.58:半値戻し(15分足)
・154.40:サポートライン(15分足)
・154.00:サポートライン(15分足)
・153.70:フィボナッチ・リトレースメント全戻し(15分足)
・152.95:10日線(日足)
ドル円のチャート
日足:24年9月以降
出所:TradingView
15分足:米連邦公開市場委員会(FOMC)以降の動き
出所:TradingView
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