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ドル円の週間見通し、円買い越しに転じた投機筋、今週の焦点は米PMIとジャクソンホール会議でのパウエル講演

8月5日に株価が底を打って以降「株高・円安」が続いている。投機筋は3年5カ月ぶりに円の買い越しに転じた。ドル円は150円台への再上昇が視野に入る。今週は8月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値とジャクソンホール会議でのパウエル講演が材料視される可能性があろう。今週のドル円の見通しは?注目のチャート水準は?

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記事のポイント

・投機筋が3年5カ月ぶりに円の買い越しに転じる
・しかし、短期トレードを目的とした円キャリーが再燃する可能性がくすぶる
・今週の注目材料は米PMI速報値とジャクソンホール会議でのパウエル講演
・ドル円、今週の見通しと注目のチャート水準について


投機筋、3年5カ月ぶり円買い越し

米商品先物取引委員会(CFTC)が公表している非商業部門のポジション動向によれば、13日時点で日本円は2万3,104枚の買い越しとなった。21年3月以来、およそ3年5カ月ぶりに投機筋が日本円の買い越しに転じた。

非商業部門のポジション動向:21年月以降

非商業部門のポジション動向:21年以降 米商品先物取引委員会(CFTC)とブルームバーグのデータで筆者が作成 / 8月13日時点

短期かつ小規模な円キャリー再燃の可能性

投機筋は円買いに転じた。しかしこの状況は、新たな円キャリー・トレードを仕掛けるきっかけになり得る。筆者がそう考える理由が2つある。

まずは根強い株高である。強い経済指標でアメリカ経済の先行き懸念が後退し、8月5日に日米の株価が底を打った。それ以降の円相場のパフォーマンスを確認すると、主要通貨で円安優勢の状況が続いている。リスク選好(株高)と円安の関係が見てとれる。

円相場の動向:8月6日以降

円相場の動向:8月6日以降 ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 8月16日時点


2つめの理由が、日銀の追加利上げに対する市場の思惑である。今夏に発生した株式市場の混乱を受け、日銀の内田副総裁は今月7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言した。

そして短期金融市場では、日銀による年内の追加利上げの確率が急速に低下している。

米連邦公開市場委員会(FRB)の金融政策は9月以降、緩和サイクルへ転じる可能性がある。欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(BOE)は、FRBに先んじて利下げに踏み切った。しかし、インフレ再燃の可能性がくすぶるため、追加の利下げについてはECBもBOEも慎重な姿勢にある。FRBも同様の姿勢で利下げ政策を進めていくことが予想される。

金融政策の正常化を目指す日銀の政策方針は維持されるだろう。しかし、国内の政策金利は0.25%と低水準にある。利下げ政策を慎重に進めている海外中銀の動向も考えるならば、もうしばらくは内外の金利差が意識されやすい状況が続くだろう。

しかし、円キャリーが再燃しても18万枚を超えるような異常な円売りが発生する可能性は低い。短期的かつ小規模な円キャリー・トレードが再燃する可能性を意識しておきたい。

日銀 政策金利の予想推移

日銀 政策金利の予想推移 ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 8月19日 7時時点の動向

米経済指標にらみの状況が続く

円キャリー・トレードが再燃するきっかけとして注目したいのが、米国の経済指標である。米国経済の先行き懸念が意識され始めている状況を考えるならば、物価と雇用に関連する経済指標の他、企業活動に関連する経済指標の重要性も増している。

今週22日に、8月の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。今夏の米株安の一因となったのが7月のISM製造業景気指数だった。そして、米国株が反発するきっかけとなったのが、同月のISM非製造業景気指数だった。

企業活動に関連した経済指標で米国株が上下に振れた状況や9月FOMCでの0.5ポイント利下げの期待が急速に後退していることも考えるならば、8月のPMI速報値も米国株と9月の利下げ観測に影響を与える可能性があろう。

アメリカ労働者の約8割はサービス業に従事している。上で述べたとおり、予想を上回った7月非製造業景気指数(サービス業の指数)が米株反発のきっかけとなった状況を考えるならば、PMI速報値でもサービス業の動向が材料視される可能性があろう。

8月の市場予想(サービス業PMI)は前月の55.0から54.0に低下する見通しとなっている。総合PMIも前月の54.3から53.3に小幅ながらも低下する見通しにある。これらが予想以上に低下する場合は、「景気の先行き懸念→米金利の低下→米ドル安」の展開を想定しておきたい。

一方、PMI速報値が予想以上となる場合は、アメリカ経済に対する悲観的な見方がさらに後退するだろう。このケースでは、米長期金利の上昇が予想される。また、9月FOMCでの0.5ポイント利下げの期待がさらに後退しよう。ゆえに強い経済指標は、上で述べた円キャリー再燃のきっかけになり得る。

米国 購買担当者景気指数(PMI):23年8月以降

米国 購買担当者景気指数(PMI):23年8月以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤のドット:8月の市場予想

ジャクソンホール会議でのパウエル講演

今週22日から24日にかけて、ワイオミング州ジャクソンホールで年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催される。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、23日に経済見通しについて講演する。

CMEのFedWatch ツールによれば、9月のFOMCでは0.25ポイントの利下げが有力視されている。パウエルFRB議長はすでに9月利下げの可能性について言及している。しかし、0.5ポイント利下げの可能性が完全に潰えたわけではない。ゆえに、外為市場の参加者は、パウエルFRB議長の発言内容を注視するだろう。利下げについてパウエルFRB議長が慎重に事を進める姿勢を強調する場合は、上で述べた円キャリー再燃のきっかけになり得る。

一方、パウエルFRB議長がインフレの抑制に自信を示すだけでなく、労働市場の冷え込みが今後進行してくことで、景気後退に備える必要性に言及する場合は、0.5ポイント利下げに対する期待が再び高まる可能性がある。このケースでは米ドル安を想定しておきたい。

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ確率

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ確率 出所:CMEのFedWatch ツール / 8月19日 7時時点

ドル円の週間見通しとテクニカル分析

150円台への再上昇が焦点に

今週のドル円(USD/JPY)は、150円台への上昇が焦点となろう。日足のRSIはゴールデンクロスへ転じた後、上昇基調にある。MACDもゴールデンクロスへ転じている。ゼロラインを下回る状況ではあるが、地合いの強さが戻りつつあることを示唆している。8月の米PMI速報値が景気懸念をさらに後退させる内容となれば、ドル円の強気地合いがさらに進行しよう。

ドル円の上昇局面で目先注目したいのが、149円ミドルの攻防である。フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準149.43レベルは、先週後半に上値の抵抗線として意識された。そして21日線が149.50台まで低下している。重要なテクニカルラインが重なる149円ミドルの突破は、ドル円が150円を目指すサインになり得る。

今週、ドル円が150円台へ上昇する場合は151.00レベル、そして7月3日高値と8月5日安値の半値戻し151.82レベルのトライが焦点として浮上しよう。

ドル円:日足 23年12月以降

ドル円:日足 23年12月以降

出所:TradingView

反落局面で注目しておきたい水準

一方、ドル円(USD/JPY)が反落する場合、10日線の維持が最初の焦点となろう。この移動平均線は147円台(レポート掲載時点では147.10レベル)へ上昇している。

10日線の下方ブレイクは、ドル円が146円台へ反落シグナルとなろう。このケースではレポート掲載時点でのフィボナッチ・エクステンションの攻防に注目したい。23.6%の水準146.14レベルと38.2%の水準144.17レベルはサポートラインへ転換する可能性がある。8月の米PMI速報値が市場予想を下回り、かつパウエルFRB議長の講演内容で大幅利下げの期待が高まる場合は、後者の水準144.17レベルのトライを警戒したい。

1時間足のストキャスティクスは売られ過ぎの水準でゴールデンクロスへ転じている。低下基調にあるRSIもゴールデンクロスへ転じている。目先は短期の反発を想定しておきたい。また、ドル円が上記のサポート水準をトライする局面で、これらオシレーター指標で同じ状況が確認される場合も相場の反発を意識したい。

ドル円:1時間足 7月29日以降

ドル円:日足 23年12月以降

出所:TradingView


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