注目の日米銀行株5選【2024年最新】
この記事では、おすすめの銀行株5選をご紹介します。本記事で紹介する銘柄は時価総額に基づいて選定されています。
銀行株の背景知識
銀行株は、金利動向に大きく影響を受ける金融セクターの中核を成す銘柄群です。特に、貸出金利と預金金利の差で利益を得るビジネスモデルを持つため、金利上昇局面では「利ざや」が拡大しやすく、業績が好調になる傾向があります。2023年以降、日本の銀行株は10年国債利回りに連動して推移してきました。日銀が金融政策の正常化に向けた動きを進めたこともあり、銀行株は市場全体をアウトパフォームする場面が続いています。
また、政策保有株の売却や企業による自社株買いの動きも、銀行の収益を後押しする要因として注目されています。これらの株式売却は、資本効率を高める施策の一環として進められ、銀行が得た売却益は増配や自社株買いに充てられるケースが多く、株主還元の充実につながっています。
海外市場に目を向けると、アメリカの銀行株もまた金利の影響を受けています。特に、トランプ大統領再選後の利上げ観測や財政政策による金利上昇期待が、米国の金融セクターにとって追い風となっています。FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを継続する一方で、長期的な金利上昇トレンドを見据えた投資が進んでいることも、米国銀行株の動向を支える要因です。
銀行株の分類
銀行は基本的に以下の3種類に分類されます。
- 商業銀行 - 商業銀行は一般的にイメージされる典型的な銀行業務を行っています。この種類の銀行は、顧客から預金を預かり、その現金の大半を高い金利で借り手に貸し出すことで利益を上げます。
- 投資銀行 - 投資銀行は大規模で複雑な金融取引の仲介を行います。顧客は主に企業や政府で、企業同士の合併や新興企業の新規株式公開(IPO)に関与しています。
- ユニバーサルバンク - ユニバーサルバンクは商業銀行業務と投資銀行業務の両方を取り扱う銀行です。
銀行株を見る際に考慮すべきその他の点は、メガバンクやグローバル銀行と地方銀行との違いです。新世代のオンラインやフィンテック銀行など、高い成長の可能性を秘めている銀行が存在するものの、従来の銀行よりもリスクを伴う可能性があります。
銀行株を変動させる要因
銀行株の動向は、さまざまな点で、他のセクターと似ています。
例えば、株価はインフレや経済成長など、株式の需要に影響を与える幅広い経済要因に左右されます。また、自社株買いなどの企業の動向も、銀行株を短期的に変動させます。複数の銀行株が収支を発表する決算期は、セクターのボラティリティを利用するチャンスでもあります。
銀行は投資家に配当金を支払うことが多く、これによって株価の下落を相殺できる可能性があります。さらに、配当への期待から、配当落ち日の前に取引量が増加することもよく見られます。
ただし、銀行株は金融政策に大きく左右されるという点で、他のセクターにはない特徴があります。中央銀行による金利決定は、貸出機関の利益率に影響を与えます。
日米銀行株の動向
日本の銀行株は、日銀の追加利上げ観測や政策保有株売却の進展を背景に堅調に推移しています。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクは好業績を発表し、株主還元を積極的に進めています。特に、増配や自社株買いの動きが国内外の投資家の注目を集めています。
一方、米国の銀行株は、トランプ大統領再選による政策期待が追い風となり、金融セクター全体が上昇基調にあります。法人税引き下げや規制緩和といった政策が進めば、ゴールドマン・サックスなどの大手銀行がさらに利益を拡大する可能性があります。
日米銀行株に共通するのは、金利上昇局面での収益拡大期待です。それぞれの市場で異なる要因が影響しているものの、銀行株は安定した成長を見込めるセクターとして引き続き注目されています。
注目の日米銀行株5選
2024年11月現在、日米の銀行株で注目される5銘柄について、時価総額基準でご紹介します(株価やその推移は11月28日時点の数値を引用しています。過去の実績は将来の株価動向を示す指標ではありません)。
みずほフィナンシャルグループ(8411)
みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)は、日本の3大メガバンクの一角を占める金融グループです。国内外における幅広い金融サービスを展開しています。銀行、信託、証券の3分野を統合したビジネスモデルにより、個人から法人、グローバルマーケットに至るまで多岐にわたる顧客ニーズに対応しています。近年はデジタル技術を活用した金融商品やサービスの強化にも注力し、グローバル市場での競争力向上を目指しています。
最新の2025年3月期第2四半期決算では、親会社株主に帰属する中間純利益が前年同期比36.1%増の5,661億円となり、収益面で大幅な伸びを記録しました。経常収益は8%増の4兆5,852億円で、貸出金利息や有価証券利息の増加が寄与しました。総資産は277兆円を超え、自己資本比率も前年から改善して3.8%となっています。また、配当金も増配が予定され、株主還元策がさらに強化されています。
現在の株価は中期的な上昇基調にあり、PERは約14倍と割安感があります。加えて、配当利回りも高水準で推移しており、安定した投資先として注目されています。特に利上げ局面では金利上昇の恩恵を受け、収益拡大が見込まれることから、投資家にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。
みずほFGは、短期的なトレードにおいても、国内外の金利動向や政策発表に敏感に反応する銘柄です。特に、日銀や政府の政策に関連するニュースフローに注目しながら取引するトレーダーに適しています。大きな変動を狙うよりも、ボラティリティが高まるイベント時にタイミングを狙う戦略が効果的でしょう。
ゆうちょ銀行(7182)
ゆうちょ銀行は、日本郵政グループに属する金融機関です。国内最大級の貯金残高を有しています。その運用資産は主に国債や有価証券で構成されており、安定した収益基盤を持つのが特徴です。地域密着型の営業展開と全国的なネットワークにより、多くの顧客基盤を抱えています。また、近年は新規事業への投資やデジタル化による効率化にも注力し、ビジネスモデルの多様化を進めています。
2025年3月期第2四半期の決算では、親会社株主に帰属する中間純利益が前年比22.3%増の2,228億円を記録しました。経常利益は3,214億円で、前年同期比26.6%増となりました。特に資金運用収益が8,211億円と大幅に増加し、有価証券利息の伸びが寄与しました。一方で、経常収益全体は1兆2,551億円と前年比で3.4%減少しましたが、コスト削減が進んだことで収益性を確保しています。
現在の株価は、PERが約14倍で、配当利回りも高い水準を維持しています。通期の配当予想も56円と増配が予定されており、長期的に安定したキャッシュフローを期待する投資家にとって魅力的な選択肢です。一方、貯金金利の変動や運用資産の収益率によって業績が影響を受ける可能性もあるため、注視が必要です。
ゆうちょ銀行は、低リスクの資産運用を好む短期トレーダーに向いています。特に、安定的な配当利回りを重視する投資家や、金利変動に敏感な取引戦略をとるトレーダーに適しています。市場全体の変動が少ない局面で、堅実な利益を狙いたい場合に活用しやすい銘柄です。
Goldman Sachs(GS)
Goldman Sachsは、世界最大級の投資銀行です。企業、金融機関、政府、個人に幅広い金融サービスを提供しています。特に、投資銀行業務や資産運用において世界的に高い評価を得ており、グローバルな取引とネットワークが強みです。また、最新のデジタル金融技術の活用を進めるなど、革新的な取り組みも注目されています。
2024年第3四半期の決算では、純収益が127億ドル、純利益が29.9億ドルと前年同期比で7%の増加を記録しました。1株当たりの利益(EPS)は8.40ドルで、前年同期の5.47ドルから大きく改善しました。特に、株式取引(Equities)の純収益が前年同期比18%増加し、資産運用部門(Asset & Wealth Management)でも16%の収益増を達成しました。さらに、資産運用総額は過去最高の3.1兆ドルに達し、長期的な成長が続いています。
現在の株価は605ドル前後で、PERはおおよそ17倍と金融セクターの平均と比較して妥当な水準にあります。自己資本利益率(ROE)は10.4%、1株当たり純資産(Book Value Per Share)は332.96ドルと堅調で、株主還元にも積極的です。特に、年間配当3.00ドルと1億ドル規模の自社株買いが発表され、投資家の関心を集めています。
ゴールドマン・サックスは、市場のボラティリティが高まる局面を狙う短期トレーダーに適しています。特に、M&Aや資本市場取引に関連するニュースや決算発表に敏感に反応するため、イベントドリブン型の戦略を好むトレーダーに向いています。金融政策や国際情勢に関するニュースフローを注視し、短期的な価格変動を狙う戦略が効果的でしょう。
Morgan Stanley(MS)
Morgan Stanleyは、世界を代表する投資銀行です。企業や機関投資家、政府、個人に対し、幅広い投資銀行業務、証券取引、資産運用サービスを提供しています。グローバルに展開する事業は、特に資産管理(Wealth Management)と投資銀行部門で高い競争力を持ち、長期的な価値創造に注力しています。
2024年第3四半期の決算では、総収益が154億ドルに達し、前年同期比16%増を記録しました。純利益は32億ドル、1株当たり利益(EPS)は1.88ドルで、前年の1.38ドルを大幅に上回りました。特に、投資銀行部門では収益が56%増加し、主にM&A取引の活発化やIPO市場の回復が寄与しました。また、資産運用部門では、クライアント資産が7.5兆ドルを超えるなど、記録的なパフォーマンスを見せています。株主還元にも積極的で、四半期配当は0.925ドルに設定され、0.8億ドル分の自社株買いも実施されました。
現在の株価は平均で131ドル台後半を推移しており、PERは約19.倍です。ROE(13.1%)とROTCE(17.5%)は高い水準を維持しています。資本効率の良さや安定した収益基盤が投資家の注目を集めています。
Morgan Stanleyは、グローバル市場の変動を活用したい短期トレーダーに向いています。特に、M&AやIPO市場の動向、国際金利の変動に対して敏感に反応するため、市場イベントに基づく迅速な取引を得意とするトレーダーにおすすめです。さらに、業績発表やクライアント資産増加に関連したニュースに注目し、短期的な株価変動を捉えることが効果的でしょう。
Citigroup(C)
Citigroupは、グローバルに展開する金融サービス企業です。180以上の国と地域で幅広い金融商品を提供しています。特に、トレジャリー&トレードソリューション、資産管理、法人向け金融サービスに強みを持ち、国際的な取引において重要な役割を果たしています。近年は、事業簡素化やコスト削減を通じて効率性の向上に注力しており、デジタル決済や資産管理などの分野でも革新的なサービスを展開しています。
2024年第3四半期の決算では、純収益が前年同期比3%増の203億ドルに達しました。一方で、純利益は前年同期の35億ドルから32億ドルへ減少し、1株当たり利益(EPS)は1.51ドルとなりました。これは、信用コストの増加が一因です。しかし、トレジャリー&トレードソリューションや証券サービス部門の収益がそれぞれ4%、24%増加し、堅調な業績を示しました。また、同社のCET1(普通株式等Tier1資本)比率は13.7%と、安定した財務基盤を維持しています。
現在の株価は70ドル前後で推移しており、PERは約20倍です。ROE(自己資本利益率)は6.2%とやや控えめです。配当利回りも高く、株主還元を重視する姿勢が評価されています。
シティグループは、国際的な金融政策や為替市場の変動に敏感であるため、グローバルな視点を持つ短期トレーダーに適しています。特に、新興市場や国際的な取引高が大きく影響するイベントを見極めながら取引を行うことで、短期的な価格変動を狙いやすい銘柄です。
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