米国株、CPIを無難に通過 ハイテク株買いでナスダックが初の2万突破、高まる年末高の期待
11月の米CPIは予想と一致した。12月の利下げが意識され主力のハイテク株が買われた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は初めて2万の大台を突破した。100指数も22,000のトライが視野に入る。年末高の期待が高まってきた。
米国株は11月CPIを無難に通過、ハイテク株買いでナスダックが初の2万突破
米労働省は昨日、11月の消費者物価指数(CPI)を発表した。概要と米国株の反応を以下にまとめた。
・前年同月比の上昇率が2.7%と市場予想と一致した。コア指数の上昇率も同比3.3%と予想どおりだった。エネルギーを除いたサービス価格の伸びは前年同月比の伸びが4.6%と、10月の同比4.8%から鈍化した。サービス分野で最大の項目である住居費の伸びも前年同月比で4.7%と、前月の同比4.9%から鈍化した
・インフレの根強さは残るが、11月CPIが市場予想の範囲内におさまったことで、短期金融市場では12月の利下げ確率が90%台まで上昇した
・利下げ期待は米国株の上昇要因となった。特に主力の半導体株とハイテク株の買いを促した。電気自動車大手のテスラ(TSLA)は424.77ドルで引け、21年11月以来となる過去最高値を更新した
・ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は、初めて2万の大台を突破。アメリカ大統領選挙後の騰落率を確認すると、ナスダックの総合と100が他の指数の上昇率を上回り、強気相場が加速していることがわかる
米株価指数の動向:11月6日から12月11日
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 基準日:11月5日
強気相場をけん引する景気敏感株、高まる年末高の期待
11月のCPIを無難に通過した米国株には、年末高の期待が高まってきた。注目ポイントを以下にまとめた。
・11月CPIの発表直後、米金利は低下で反応した。短期金融市場では、来年1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利下げサイクルがいったん停止する可能性を織り込む状況にある
・米金利の反発と利下げサイクルの不透明感を受けても、11日の市場で主力のハイテク株に買いが入った状況は、米国株の年末高を期待させる
・セクター別パフォーマンスも年末高の期待を高めている。アメリカ大統領選挙後のS&P500 セクター別パフォーマンスを確認すると、一般消費財、金融そして情報技術といった景気に敏感な株がS&P500の上昇を支えていることが分かる。コミュニケーション・サービスには通信株が含まれることから、ディフェンシブとしての特徴がある。一方、マグニフィセントセブンに名を連ね、広告が収益の柱の一つであるアルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)がこのセクターに属する。ネットフリックス(NFLX)とウォルトディズニー(DIS)も属しており景気敏感株としての特徴も有している
・対照的に公共、生活必需品そしてヘルスケアのディフェンシブ株は軟調地合いにある。この状況をトランプ減税が景気を支えるという市場の期待を反映した動きと考えるならば、米国株は調整売りを挟みながら、年末に向けてどこまで上昇するのか?が焦点となろう
S&P500 セクター別パフォーマンス:11月6日から12月11日
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 基準日:11月5日
騰勢強まるナスダック100、22,000のトライが視野に
11日のナスダック総合指数は前日比+347.65(+1.77%)高の20,034.89で終え、初めて2万の大台を突破した。一方、ナスダック100は+395.80(+1.85%)高の21,763.98で終え、IG米国株レポートで注目している22,000ポイントのトライが、いよいよ視野に入ってきた。
ハイテク株復活で下値は限定的か
米長期金利(10年債利回り)は現在、反発の基調にある。しかし、直近の高水準4.5%を一気に目指すムードはない。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも4.1%台で横ばい推移の状況にある。
景気敏感株に買いが入る一方で米金利の上昇が抑制されている今の状況を考えるならば、ナスダック100が下落してもその幅は限定的となることが予想される。
本日、調整売りが入る場合は、11日の窓開け上昇スタートの基点となった21,530ポイントの維持が焦点となろう。
※テクニカル分析の記事は、午後に掲載します
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