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米国株を襲う景気懸念、冷え込む投資家心理  調整局面入りのナスダック100、今週の展望は?

7月の米雇用統計で失業率が2021年10月以来、約3年ぶりの水準となる4.3%に上昇した。サームルールに従えば、アメリカ経済は景気後退入りを警戒する局面にある。急上昇する株式と米国債のボラティリティの動向は、投資家心理が急速に冷え込んでいることを示唆している。ナスダック100は7月に付けた最高値から10%超下落し、調整局面入りのシグナルが点灯した。今週の見通しは?

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記事のポイント

・7月失業率の上昇を受け、将来の景気に対する懸念が高まっている
・米株と債券のボラティリティ指数が急速に上昇、高まる投資家の不安心理
・ナスダック100は7月最高値から10%下落し調整局面入りへ
・ナスダック100、今週の見通しとテクニカル分析について


ナスダック100、注目のチャート水準

上値の水準(レジスタンス)

・18,750:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・18,730:100日線(8/2時点)
・18,564:フィボナッチ・リトレースメント23.6%

下値の水準(サポート)

・18,393:フィボナッチ・リトレースメント61.8%
・18,000:節目の水準
・17,851:フィボナッチ・リトレースメント76.4%
・17,643:200日線(8/2時点)


失業率上昇の衝撃

失業率が示唆する景気後退の可能性

米労働省が先週2日に発表した7月の雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は前月比11万4,000人増と、予想の17万5,000人を大きく下回った。平均時給は前年同月比で+3.6%と、前月の+3.9%から大幅に低下し、賃金インフレの鈍化が鮮明となった。

いずれも労働市場の軟化を示唆する内容となったが、市場参加者が注目したいのが4.3%まで上昇した失業率だった。

2021年10月以来、約3年ぶりの高水準へ上昇した失業率とサーム・ルール※の経験則を重視するならば、アメリカが景気後退の局面に向かっているシグナルとなる。

※サーム・ルール:直近3ヶ月の平均失業率が、過去12ヶ月の最低値から0.5ポイント上昇したとき、景気後退に入るという経験則

アメリカの失業率とサームルール景気後退指標の動向:23年以降

アメリカの失業率とサームルール景気後退指標の動向:23年以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

高まる投資家の不安心理

拡大する米国株のボラティリティ指数

景気後退の懸念は、投資家の不安心理を刺激している。S&P500種株価指数(SPX)を対象とするオプション取引のボラティリテを元に算出されるVIX指数(別名恐怖指数)は警戒水準の「20」を上回り、23ポイントまで上昇している。一時は29.66ポイントまで急上昇する局面が見られた。

一方、ナスダック100(NDX)を対象とするオプション取引のボラティリテを元に算出されるVXN指数は「25」を上回り、27ポイント台へ上昇している。先週2日の市場では一時、31.26まで急上昇する局面が見られた。

いずれのボラティリティ指数も23年3月以来の高水準へ拡大している。この状況は、投資家心理が急速に冷え込んでいることを示唆している。

米国株のボラティリティ指数:23年以降

米国株のボラティリティ指数:23年以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成


米国債のボラティリティも拡大

そして、ボラティリティが高まっているのは米国株だけではない。米国の債券市場でも将来の景気リスクが強く意識され、ボラティリティが拡大している。

この点を米国債のボラティリティ指数「MOVE指数」で確認すると、7月12日に86ポイント台で推移していたMOVE指数は、先週2日に今年4月以来となる112ポイントまで急拡大している。この動きに連動して米国債の価格が急上昇している状況は、投資家の不安心理が高まっていることを示唆している。

MOVE指数:23年以降

MOVE指数:23年以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

経済指標にらみの展開が続く

今日は、7月の米ISM非製造業景気指数が発表される。アメリカでは労働者の約85%がサービス業に従事しており、非製造業は製造業以上に注目される経済指標である。

7月の市場予想は51.0と、前月の48.8から改善の見通しである(下のチャートを参照)。サービス業の堅調さを示す内容が確認される場合は、米国株の反発要因となろう。

しかし、上で述べた失業率の上昇とサームルールは、アメリカが景気後退に入る可能性を示唆している。ゆえに、ひとつの経済指標で投資家の心理が再び強気に傾くことはないだろう。むしろ、強い経済指標で米国株が上昇する場合は、「ブルトラップ(強気の罠)」を警戒したい。

一方、製造業に続き非製造業(サービス業)でも将来の景気後退を示唆する内容となれば、米国株はさらに下値をトライする展開が予想される。

アメリカのISM非製造業景気指数:23年7月以降

アメリカのISM非製造業景気指数:23年7月以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

ナスダック100の見通しとチャート分析

200日線までの下落を想定しておきたい

ナスダック100(NDX、以下ではナスダック)は7月の最高値から10%超下落し、調整局面入りした。テクニカルの面では100日線を完全に下方ブレイクし(下のチャート、緑矢印を参照)、かつフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準18,393レベルも下抜ける局面が見られた。

そしてMACDとモメンタムは、弱気相場が勢いづいていることを示唆している。ゆえに、今週のナスダック100も下値のトライを警戒したい。

ナスダック100が18,000ポイントを下方ブレイクする場合は、下落幅が拡大するシグナルとなろう。このケースでは、200日線(12日時点17,643レベル)のトライが焦点として浮上しよう(下のチャート、青ラインを参照)。フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準17,851レベルの下方ブレイクは、200日線をトライするシグナルと想定しておきたい。

ナスダック100のチャート:日足 今年4月以降

ナスダック100のチャート:日足 今年4月以降

出所:TradingView

反発局面での焦点は?

一方、今日の7月ISM非製造業景気指数や今後発表される経済指標で景気懸念を後退させる内容が確認される場合は、ナスダック100(NDX)の反発要因となろう。だが、上で述べたとおり、一度高まった景気懸念がそう簡単に後退する可能性は低い。よってナスダック100の反発局面では、戻り売りを常に警戒したい。

目先は、100日線がサポートからレジスタンスのラインへ転換するかどうか?この点が反発相場の焦点となろう(上のチャート、緑矢印を参照) 。100日線の「レジスタンス転換」が確認される場合は、弱気相場が続くシグナルとなろう。

ナスダック100が100日線をトライするシグナルとして、8月高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%水準18,564レベルの攻防に注目したい。この水準は、先週2日に相場の反発を止めた経緯がある(下のチャート、赤矢印を参照)。

なお、100日線のすぐ上の水準18,750レベルは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。この点でも100日線はレジスタンスのラインへ転換する可能性がある。

15分足のRSIとストキャスティクスは上向いている。これらが売られ過ぎの水準でデッドクロスへ転じる際、ナスダック100が上で述べたレジスタンスの水準をトライする局面では、反落相場を意識したい。

ナスダック100のチャート:15分足 8月以降

ナスダック100のチャート:15分足 8月以降

出所:TradingView


米国テク株100のチャートポイント

上の動向を踏まえた上で、今週注目したい米国テク株100(原資産名:ナスダック100)のチャート水準を以下にまとめた。

上値の水準(レジスタンス)

・18,735:20週線
・18,330:レジスタンスへの転換を意識する水準

下値の水準(サポート)

・17,864: 76.4%戻し(24年4月安値~24年7月高値)
・17,407:半値戻し(23年10月安値~24年7月高値)
・17,202:52週線

米国テク株100のチャート:週足 23年10月以降

米国テク株100のチャート:週足 23年10月以降 出所:IGチャート

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