【米国株】ナスダック100、最高値更新の鍵はハイテク決算に 先陣切るアルファベット、業績見通しに注目
10月25日の取引時間中にナスダック総合指数が最高値を更新した。好決算でテスラが息を吹き返し、エヌビディアは最高値圏の攻防にある。今週のハイテク決算が投資家の期待を上回れば、出遅れ感のあるナスダック100は、7月の最高値のトライそして更新する可能性が高まるだろう。29日にアルファベットが先陣を切って3Q決算を発表する。焦点は業績見通しにある。
記事のポイント
・25日の取引時間中にナスダック総合指数が一時最高値を更新した
・今週は29日のアルファベットを皮切りに大手ハイテク企業の決算が本格化する
・ハイテク決算の内容次第でナスダック100は、最高値の更新が視野に入ろう
・ナスダック100、今週の見通しと注目のチャートポイントについて
ナスダック100のチャートポイント
レジスタンスポイント
・20,691:7月10日取引時間の高値
・20,675:7月10日終値(最高値)
・20,584:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・20,500:レジスタンスポイント、10月25日高値
サポートポイント
・20,268:10日線(10/25時点)
・20,135:21日線(10/25時点)
・20,000:サポートポイント(節目の水準)
ナスダック総合が最高値、しかし上昇幅は限定的
先週25日のアメリカ株式市場でハイテク株比率の高いナスダック総合指数が、取引時間中に18,690.01ポイントまで上昇し、7月10日の最高値18,647.45ポイント(終値)を一時突破する局面が見られた。
週間の主要な株価指数の騰落率を確認すると、先週はナスダック総合と100指数がともに上昇して終えた。しかしその幅は限定的だった。
アメリカ株価指数の週間騰落率:10月21日の週
ブルームバーグのデータで筆者が作成
息を吹き返すテスラ、月初来の騰落率がプラスに
先週、ナスダック指数を下支えしたのが好決算で投資家の期待に応えたテスラ(TSLA)だった。
10月のテスラ株は低迷していた。しかし、先週23日の第3四半期(3Q)決算で強気の見通しが示されたことで一気に息を吹き返した。エヌビディア(NVDA)以外のマグニフィセントセブンの上昇率を難なく上回り、先週25日に月初来の騰落率がプラスへ転じた。ナスダック100の上昇率も上回った。
マグニフィセントセブンとナスダック100の騰落率:10月1日~25日
ブルームバーグのデータで筆者が作成
焦点は大手ハイテク企業の決算
最高値を更新するダウ平均とS&P500の後を追うナスダック100。今週、7月10日に付けた最高値20,675(終値)をトライし突破できるかどうか?は、マグニフィセントセブンの一角に名を連ねる大手ハイテク企業の決算次第となろう。
29日に、検索大手のアルファベット(GOOGL)が先陣を切って第3四半期(3Q)決算を発表する。そして31日まで連日で大手ハイテク企業の決算が続く。
マグニフィセントセブンのリーダー銘柄となっているエヌビディア(NVDA)は高値圏での攻防を維持している。上で述べたとおりテスラ(TSLA)も息を吹き返している。この状況で今週のハイテク決算が投資家の期待を上回れば、ナスダック100の押し上げ要因となろう。
今週のハイテク企業 決算予想サマリー
ブルームバーグのデータで筆者が作成
先陣切るアルファベット、焦点は業績の見通しに
29日にアルファベット(GOOGL)が第3四半期(3Q)決算を発表する。ブルームバーグによれば、売上高は前年同期比で12.7%増、調整後の1株利益(EPS)は同比29%増と、増収増益が予想されている(上の決算サマリーを参照)。
焦点の一つ広告収益(売上高)は655億1500万ドルと、前年同期比で9.8%増加する見通しにある。一方、もう一つの収益の柱であるクラウド部門の売上高は107億9200万ドルと、同比28.3%増が見込まれている。
Googleの大規模言語モデル(LLM)のチャットボット・サービス「Gemini」がOpenAI との差を縮めているとの観測があり、この分野の競争力をさらに高めるためアルファベットは下半期の設備投資の見通しを引き上げるとの見通しがある。
しかし、アルファベットには逆風が吹いている。検索市場でGoogleは独占的な地位を維持しているが、この独占状態を問題視している米司法省は今月8日、独占解消に向けた措置の枠組み案を連邦裁判所に提出した。今年8月にはコロンビア特別区の連邦地方裁判所が、オンライン検索と検索連動型の広告市場で反トラスト法に違反するとの判決を出した。
また、Google検索の最大のライバルであるマイクロソフト(MSFT)からの投資に支えれているChatGPTの台頭も、アルファベットの将来的な脅威となっている。
厳しいビジネス環境が予想されるなかでも、アルファベットが設備投資に見合うだけの業績見通し(ガイダンス)を示すことができれば、テスラのように株価は上昇で反応することが予想される。
問題は、ガイダンスが投資家の期待を下回る場合である。ブルームバーグがまとめた予想では、現時点で第4四半期の売上高予想は約957億ドルと、前年同期比で約11%増の見通しにある。投資家の期待に応える利益の成長性を示すことができなければ、ナスダック100の上昇ムードに水を差す要因になり得る。
アルファベット 2Qの実績と3Q以降のコンセンサス予想
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフ:3Qのコンセンサス予想
ナスダック100の見通しとチャート分析
焦点は最高値の攻防
アルファベット(GOOGL)の3Q決算を含め、今週の大手ハイテク決算が投資家の期待を上回れば、ナスダック100は現在レジスタンスとして意識されている20,500ポイントの水準を完全に上方ブレイクすることが予想される(下の日足チャート、赤矢印を参照)。
ナスダック100が20,600ポイント台へ上昇する場合は、7月10日に付けた最高値20,675ポイントのトライを想定しておきたい。また、この時の取引時間中に付けた高値20,691ポイントをも上方ブレイクすれば、20,700ポイント台への上昇が見えてこよう。
ナスダック100のチャート:日足 2024年7月以降
出所:TradingView
下落の局面ではサポートラインの維持が焦点に
先週25日の日足ローソク足は、トウバに近い十字線のかたちとなった。高値圏での上ヒゲの長い十字線は相場の下落を暗示する。
45分足のRSIはデッドクロスへ転じている。決算前の調整売りやさえないハイテク決算などでMACDでも同じ状況が確認される場合は、ナスダック100の下値トライを想定しておきたい。
ナスダック100の下落局面では、8月5日の安値17,435を起点とした短期サポートラインの維持が焦点となろう(上の日足チャートを参照)。この移動平均線は今週30日に、節目の20,000ポイントと交錯する。
ナスダック100が短期サポートラインをトライするサインとして、10日線と21日線の攻防に注目したい。10日線はサポートラインへ転換するかどうか?が焦点となろう(下の45足チャート、緑矢印を参照)。一方、21日線はサポートラインとして再び意識される可能性がある(下の45足チャート、黄色の矢印を参照)。
上で取り上げた移動平均線を維持してナスダック100が反発し、先週25日の高値20,553レベルを突破する場合は、フィボナッチ・エクステンション161.8%の水準20,584のトライが焦点に浮上しよう。
このテクニカルラインの突破は、ナスダック100が7月の最高値をトライするサインと捉えたい。
ナスダック100のチャート45分足 10月14日以降
出所:TradingView
ナスダック100のチャートポイント
レジスタンスポイント
・20,691:7月10日取引時間の高値
・20,675:7月10日終値(最高値)
・20,584:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・20,500:レジスタンスポイント、10月25日高値
サポートポイント
・20,268:10日線(10/25時点)
・20,135:21日線(10/25時点)
・20,000:サポートポイント(節目の水準)
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