【IG米国株レポート】S&P500指数の見通しとチャートポイント
今週の米国株は、国債の入札結果と7月の消費者物価指数(CPI)で上下に振れる展開が予想される。米国株の代表的な株価指数「S&P500種株価指数」は現在、テクニカルの面で重要な分岐点にある。その分岐点とは?さらに株高の調整が進行する場合、注目しておきたいチャートポイントは?
※今週の米国株とVIX指数の見通しについては、こちらのレポートをご覧ください
サマリー
・S&P500指数は現在、テクニカルの面で重要な分岐点に差し掛かっている
・騰落株線のトレンドも上昇相場の勢いが後退していることを示唆している
・S&P500指数の下落局面で注目しておきたいチャートポイントについて
・一方、S&P500指数が反発する場合は4,560レベルの攻防に注目したい
S&P500指数、今週の見通しとテクニカルポイント
今週の見通し
今週の米国株は、こちらのレポートで取り上げた国債の入札結果と10日に発表される7月の消費者物価指数(CPI)の内容で上下に振れる展開が予想される。
米国株の代表的な株価指数である「S&P500種株価指数(SPX)」は、上で述べた材料で上下どちらにも振れる可能性がある。
しかし、チャートおよびテクニカルの面では、これまで進行してきた株高の調整相場(反落の相場)が続くことを警戒しておきたい。
実際にS&P500指数が下値をトライする場合、今週は新たなサポートポイントの見極めが焦点となろう。
テクニカルの面で分岐点に差し掛かるS&P500指数
S&P500指数(SPX)は現在、さらに下落幅が拡大するかどうか?の分岐点に差し掛かっている。
その分岐点とは、4,460-4,475のゾーンである。
この点を日足チャートで確認すると、S&P500指数は現在、5月4日の安値(4,048レベル)と7月27日に付けた直近の高値4,607レベルのフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準4,475レベルをトライする状況にある。
そしてすぐ下の水準4,460レベルは、レジスタンスからサポートへ一度転換したことが確認された重要なチャートポイントである。
7月CPIなどが株高の調整要因となることでS&P500指数がこれらチャートポイントを下方ブレイクする場合は、50日MA(4日時点4,406レベル)やフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準4,393レベルを視野に調整の反落相場が進行する展開を想定しておきたい。
反発局面でのチャートポイント
S&P500指数(SPX)が反発する場合は、先週4日に相場の上値を止めた20日MA(4日時点4,525レベル)の突破が焦点となろう。
戻りの局面でS&P500指数がこのMA(21日MA)すら突破できない状況が続けば、地合いの弱さと調整相場がさらに進行する可能性を市場参加者に意識させる要因になり得る。
一方、S&P500指数が20日MAを難なく突破する場合は、8月2日の窓開けを埋めることができるかどうか?この点に注目したい。水準としては、4,560レベルの突破が焦点となろう。
S&P500指数が反発するタイミングを考える際は、こちらのレポートで取り上げた「VIX/VXVレシオ」の動向を参考にしたい。
S&P500種株価指数:日足 23年3月以降
低下トレンドへ転じている騰落株線(ADライン)
市場のトレンドを予測する上で重要な指標のひとつが、「騰落株線(Advance Decline Line)」である。
直近のS&P500指数(SPX)の騰落株線の動向を確認すると、7月31日を境にして低下トレンドへ転じている。
また、23年前半の米株高の象徴となったナスダック100指数(NDX)の騰落株線も、8月に入り低下のトレンドへ転じている。
そして、現在の低下と過去の低下の局面を比較すると、現在は低下幅が急速に拡大していることが分かる(下チャートのグレーゾーンを参照)。
今週の米国債の入札結果と7月CPIの内容を受けて騰落株線の低下がさらに進行すれば、米株高を調整する相場(反落相場)が短期的に続くシグナルとして警戒したい。
S&P500指数とナスダック100指数の騰落株線:日足23年7月以降
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