ECB、利上げは確実か 27日に理事会 ユーロ円、上昇再加速も
ECBは27日に利上げを決める見通し。ユーロ圏は景気後退懸念がくすぶるが、利上げとなれば円安ユーロ高圧力になりそうだ。
欧州中央銀行(ECB)が27日に開く理事会で0.25%の利上げを決める公算が高まっている。ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)はコア指数の高止まりが続いており、クリスティーヌ・ラガルド総裁は物価上昇との闘いが長期化する可能性も示唆してきたためだ。ユーロ圏金利の先高観を背景にして、ユーロ円相場は約15年ぶりの円安ユーロ高水準にある。一方、ユーロ圏経済では景気後退懸念がくすぶっており、ECBの利上げは経済状況をさらに悪化させる可能性もある。ただしECBの物価上昇に対する警戒感はあくまで強いとみられ、ラガルド氏が理事会後の記者会見で改めて利上げの必要性を強調すれば、円安ユーロ高が再加速する可能性もありそうだ。
75人のエコノミスト全員がECBの利上げを予想
ECBは日本時間27日午後9時15分に理事会の結果を発表する。ロイター通信のエコノミスト調査では、75人全員がECBが0.25%の利上げを決め、政策金利の下限にあたる中銀預金金利が3.75%になると予想している。また、金融情報会社リフィニティブのデータによると、0.25%の利上げについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間25日午後1時の段階で99.5%となっている。
利上げが確実視されるのは、ユーロ圏の物価上昇が根強いためだ。ユーロ圏の6月のCPIは総合指数の伸び率が総合指数で前年同月比5.5%、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数で5.4%となっている。総合指数は2022年10月の10.6%からの低下傾向がはっきりしているが、コア指数は同じ10月から9か月連続で5%台という高水準だ。
ECBは物価上昇率を2%まで下げるという目標に向けて利上げを続けてきた。それにも関わらず物価上昇率が下がらない現状を踏まえれば、ECBは利上げに向かわざるを得ない状況だといえる。ラガルド氏は6月の理事会で0.25%の利上げを決めた後、7月の利上げについて「十分にありえる」と言及。さらにポルトガルでの講演では、金利引き上げが最終段階に達することについて、「近い将来に訪れることはありそうにない」と述べ、利上げサイクルが長期化するとの見方も示唆している。
円安ユーロ高は約15年ぶりの水準
こうした中、ユーロ円相場(EUR/JPY)では円安ユーロ高が進んできた。足元では日本銀行が27、28日の金融政策決定会合で大規模金融緩和策を維持するとの見方が円安ユーロ高圧力を強め、21日には一時、1ユーロ=158.04円を付けた。リーマン・ショックがあった2008年9月以来の円安ユーロ高水準が続いている形だ
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一方、ユーロ圏経済はすでに大きく減速しており、利上げは景気を冷やしすぎる危険性も伴う。欧州連合(EU)統計局は20日、1-3月のGDPの実質成長率が前期比0.0%だったと発表。6月発表の数値(マイナス0.1%)からの上方修正で、2四半期連続のマイナス成長という景気後退の定義からは外れたものの、ユーロ圏経済の原動力であるドイツはマイナス成長に沈んでいるなど不安は大きい。また、S&Pグローバルが24日に発表した7月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は48.9となり、8か月ぶりの低水準となっている。こうした中でECBが利上げを続ければ、ユーロ圏経済をさらに悪化させるおそれがある。
このためラガルド氏が理事会後の記者会見で利上げ姿勢を強調すれば、円安ユーロ高要因になると同時に、ユーロ圏の景気後退懸念が再燃し、円高ユーロ安の材料にもなりえる局面だといえる。ただしユーロ円相場はこれまで、ラガルド氏が利上げを口にする度に円安ユーロ高で反応しており、27日も同様の動きが強まる場面が想定されそうだ。
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