ユーロ円が157円台に突入　14年9か月ぶり　30日には6月CPI

ユーロ円相場が27日、14年9か月ぶりの水準となる1ユーロ＝157円台に突入した。欧州中央銀行（ECB）のクリスティーヌ・ラガルド総裁が講演で、改めて利上げ姿勢を強調したことが影響した。ユーロ円相場では、ECBが利上げを決めた15日から円安ユーロ高に拍車がかかっており、ラガルド氏の発言がさらなる後押しとなった形だ。こうした中で30日に発表される6月の消費者物価指数（CPI）速報値はコア指数の伸び率が5月から高まると予想されている。予想通りならECBのタカ派姿勢を裏付ける結果といえ、さらにユーロ高を下支えすることになりそうだ。

円安ユーロ円高はリーマン・ショック直前の水準

ユーロ円相場（チャート）は27日午後5時ごろに1ユーロ＝157円台をつけた。金融情報会社リフィニティブのデータによると、157円台はリーマン・ショックの11日前にあたる2008年9月4日以来だ。

円安ユーロ高を加速させているのはECBの利上げ姿勢の強さだ。ラガルド氏は27日、ポルトガルでの講演で「政策金利の高さが最終段階に達したと中央銀行が完全な確信をもって言える状況が近い将来に訪れることはありそうにない」と述べた。

ラガルド氏は15日の理事会で0.25％の利上げを決めた際も利上げ姿勢を強調し、7月の利上げについて「十分にありえる」と述べていた。ユーロ円相場は理事会前日の14日は151円台だったが、2週間ほどで6円の円安ユーロ高が進んだことになる。ECBの利上げに前向きな姿勢が、日本とユーロ圏の金利差拡大を意識させた結果といえそうだ。

6月のCPIはコア指数の伸び率が5.5％の予想

こうした中で欧州連合（EU）統計局が日本時間30日午後6時に発表する6月のCPI速報値は改めて物価上昇の根強さが示される見通しだ。ロイター通信のエコノミスト調査によると、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は前年同月比5.5％となり、5月の5.3％よりも高くなる見込み。一方、総合指数の伸び率は5.6％の予想で、こちらは5月の6.1％から低下するが、コア指数の伸び率拡大がユーロ圏の物価上昇の強さを印象付ける結果となりそうだ。

ユーロ円相場はこれまでの急速な円安ユーロ高の進行で、6月のCPIで物価上昇の根強さが示されることやECBによる7月以降の利上げ実施を織り込んでいるとみられる。逆に6月のCPIが予想よりも弱かった場合は、これまでのユーロ高が行き過ぎだったとの見方から、ユーロが売られる展開も考えられそうだ。