ファースト・リパブリック銀を救済 JPモルガンが預金を引き継ぎ 当局発表
ファースト・リパブリック銀行への救済策がまとまった。JPモルガンが預金を引き継ぎ、大半の資産を買収する。
米国で預金流出にさらされていたファースト・リパブリック銀行の救済策がまとまった。米連邦預金保険公社(FDIC)が1日、大手銀行のJPモルガン・チェースがすべての預金を引き継ぎ、ほぼすべての資産を買収すると発表した。ファースト・リパブリック銀は3月以降で3つ目の大規模銀行の経営破綻となる。米当局はファースト・リパブリックの救済で金融システムへの不安の拡大を食い止めたい考えだ。
預金はすべてJPモルガンの預金に
FDICによると、ファースト・リパブリック銀(チャート)の84の拠点は1日からJPモルガンの拠点として営業する。ファースト・リパブリック銀のすべての預金者はJPモルガン(チャート)の預金者となり、預金に自由にアクセスできるようになる。預金は引き続き、預金保険の対象となる。ファースト・リパブリック銀の預金は4月13日時点で1039億ドルで、保有資産は2291億ドルにのぼる。JPモルガンは預金の引継ぎに加え、ほぼすべての資産を買収することでFDICと合意した。FDICは預金保険にかかるコストは130億ドルだと試算している。
企業債務や優先株は引き継がれず
一方、JPモルガンは1日、ファースト・リパブリック銀の資産の大半を買収し、預金とその他の債務を引き継ぐと発表した。ファースト・リパブリック銀の企業債務や優先株は引き継がないとしている。JPモルガンは買収に伴い約26億ドルの税引き後利益を計上する。また、今後18か月にわたって約20億ドルのリストラ費用がかかる見通しだという。
ファースト・リパブリック銀は4月24日の2023年1-3月期決算発表で3月末の預金額が3か月前から約720億ドル減少したと公表した。預金減少の理由は3月10日にシリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻した後、経営が不安視される事態に至ったためだ。JPモルガンやバンク・オブ・アメリカ、PNCなど大手銀行11行は支援策としてファースト・リパブリック銀に総額300億ドルを預金していたが、それにも関わらず700億ドルを超える預金減少に見舞われたことから、3月の預金の引き出し額は1000億ドル規模だったとみられている。
米国ではSVBの経営破綻後、ニューヨークを拠点とするシグネチャーバンクも経営破綻している。米当局はファースト・リパブリック銀の救済でも預金者に影響が出ないように配慮し、金融システム不安の拡大を食い止めたい考えだ。
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