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ドル円は短期的な下値トライを警戒 / 注目のチャートポイントについて

日米中銀の政策スタンスの差が意識され堅調地合いを維持するドル円だが、目先は調整の反落相場を警戒しておきたい。ドル円が下値をトライする場合に注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※ユーロ円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください


サマリー

・ドル円は143円後半で上値の重い状況が続く
・ドル円は短期的な調整の反落相場を警戒しておきたい
・下落局面ではいくつかのチャート(テクニカル)水準の攻防に注目したい
・ドル円が141円台を下方ブレイクする場合は下落幅の拡大を警戒しておきたい


調整の反落を警戒

こちらのIG為替レポートでは、ユーロ円(EURJPY)の反落リスクについてふれた。

ユーロ円と同じく、現在のドル円(USDJPY)も調整の反落相場を警戒する状況にある。

通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、これまでドル・コールへ向かうトレンドにあった1ヶ月のそれが、3ヶ月や6ヶ月のトレンドに連動するようにドル・プットへ傾くムードが見られる。

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレ抑制重視と追加利上げのスタンスを維持している。しかし、米債市場では利回りの上昇が抑制されている。

また、日米の株式市場で株高の調整ムードが出ていること、そして国内サイドからの円安けん制(上昇の局面ではこれが続く可能性が高まってきた)と円買い介入に対する警戒心がにわかに高まっている状況も考えるならば、ドル円は調整の反落相場を意識する局面にある。

ドル円とリスクリバーサルのチャート

ドル円とリスクリバーサルのチャート ブルームバーグのデータをもとに作成 / 日足:23年3月以降


反落の局面で注目しておきたいチャートポイント

ドル円(USDJPY)が下値をトライする場合、目先は143.00レベルの維持が焦点となろう。昨日の下落局面では、この水準で相場がサポートされた(下の1時間足チャートを参照)。

ドル円が142円台の攻防へシフトする場合は、先週22日のNY時間から翌23日のNY時間序盤にかけて相場をサポートした半値戻しの水準142.73レベルおよび142.60レベルの攻防に注目したい。

ドル円の142.60ブレイクは、短期サポートラインを下方ブレイクすることを意味する。実際にドル円が短期サポートラインをも完全に下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準142.46レベルを下抜け、76.4%の水準142.13レベルまで下落する展開を警戒しておきたい。後者の水準の攻防は、142円台を維持する攻防でもある。

1時間足チャートを使用する場合はRSIよりもストキャスティクスの方を重視し、「売られ過ぎ」の水準でドル円が上で述べた各サポートポイントをトライする状況にある場合は、反発相場を想定した短期買いを考えたい。

ドル円のチャート:日足

ドル円のチャート:1時間 Tradingviewの1時間足:6月20日以降


141円台をも下方ブレイクする場合は下落幅の拡大を警戒したい

今日現在、ドル円(USDJPY)の10日MAは142円台へ上昇してきた(今日現在142.10レベル)。日米株高の調整相場(下落)が続き、ドル円の上昇局面で国内から円安をけん制する発言がしつこく飛び出すようであれば、ドル円の10日MAブレイクを警戒しておきたい。

実際にドル円が10日MAを完全にブレイクアウトする場合は、141円台の維持が次の焦点となろう。具体的には141.00-25ゾーンが相場をサポートするかどうか?この点に注目したい。

今日現在、21日EMAが141円台へ上昇し上のゾーン内で推移している(141.02レベル)。一方、21日MAも140.75レベルまで上昇し、141.00に近づいている。

ドル円が141円台(サポートゾーンや21日線)をも下方ブレイクする場合は、地合いの弱さを意識した連鎖的な売りが続く展開が予想される。このケースでは、ドル円の下落幅が拡大する展開を警戒しておきたい。テクニカルの面では、短期サポートラインの維持が焦点となろう。

7月4日にこのラインは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準138.43レベルと交錯する。日米中銀の金融政策スタンスの差が意識されている現状を考えるならば、現時点でこれらテクニカルポイント(38.2%戻しと短期サポートライン)をトライする可能性は低い。

しかし、可能性が低いトレンドを発生させるイベント、例えば日米株高が急速に下落基調へ転じ、将来の景気リスクを意識した米債買い(利回りの低下)が同時に進行する局面や、日本の通貨当局による円買い介入(現時点ではこの可能性は低い)があれば、138円台を瞬間的にトライする展開を想定しておきたい。

ドル円のチャート:日足

ドル円のチャート:日足 Tradingviewの日足:23年3月以降

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

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