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調整の円買いが続く外為市場 / ドル円の展望とチャートポイントについて

外為市場では円を買い戻す動きが続いている。その要因として挙げられるのが、投機筋の円ショートポジションの状況と日本株のトレンドにあると考えられる。今日のドル円の展望は?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・2018年1月以来の高水準となった投機筋の円売り越し(ネットショート)
・現在の円相場は米国株よりも国内株式にらみの展開に
・今日の日本株がひとまず下げ止まれば円高が一服する展開が予想される
・ドル円は新たなサポートポイントを探る状況が続く
・今日のドル円のチャートポイントについて


円高優勢の状況が続く

今週の外為市場で筆者が注目していることのひとつが、円相場の動向である。

昨日の米債市場では利回りが低下した。米金利の低下は米ドル安の要因となり、ドル円(USDJPY)は143.00レベルで上値が抑制されると141円台へと下落した(安値141.26レベル)。

一方、この日の米株式市場では主要な株価指数が上昇した。しかし、外為市場ではドル円だけでなく主要なクロス円も総じて円高優勢の展開となった(下のグラフを参照)。米国株が上昇しても総じて円高となった状況は、現在の外為市場で円を買い戻す力がいかに強いかを示唆している。

円相場の動向:7月10日

円相場の動向:7月10日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:7月7日

投機筋のポジション動向と国内株式のトレンド

米商品先物取引委員会(CFTC)が7日に公表した3日時点での投機筋のポジション動向を確認すると、円の売り越し(ネットショート)が11万7,920枚まで積み上がっている。この状況は、2018年1月以来の高水準である。

一方、国内の株式市場では株高トレンドが息切れし調整ムードが漂う。上で述べたように米国株が上昇してもクロス円が下落した状況を考えるならば、現在の外為市場では円を買い戻す動きが強い。

その要因として、約5年半ぶりの水準まで積み上がった投機筋の円売り越しと国内株式の調整相場が考えられる。

その国内株式市場では日経平均がダブルトップを形成し(日足ローソク足)、テクニカルの面ではさらに調整の反落相場が進行するシグナルが点灯している。円の売り越しが約5年半ぶりの高水準まで積み上がっている状況で日本株の調整相場が続けば、外為市場では調整の円買いが続く状況を想定しておきたい。

しかし、日本株の見直し機運は根強く下値では押し目買いにサポートされる展開が予想される。11日の夜間取引で日経平均先物は170円高となった(大阪取引所)。本日、国内株式が上昇する場合は、円高もひとまず一服することが予想される。

投機筋のポジション動向:日本円

投機筋のポジション動向:日本円 米商品先物取引委員会(CFTC)のデータをもとに作成 / 22年以降

ドル円の展望とテクニカルポイント

ドル円(USDJPY)は昨日、日足ローソク足で上ヒゲが示現し143.00レベルで上昇が止められた。21日線(EMA)を完全に下回る水準で推移している状況も考えるならば、10日のIG為替レポートで指摘したとおり、現在のドル円は新たなサポートポイントの水準を見極める状況にある。

日足チャートでドル円の動向を確認すると、現在はフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準141.43レベルをトライする状況にある。昨日はこの水準を下抜けた。今日もこの水準(141.43レベル)を完全に下方ブレイクすれば、141.00のブレイクおよび140円台への攻防シフトを想定しておきたい。

ドル円が140円台へ下落する場合は、もうひとつの23.6%戻し(直近高値145.07レベルと今年1月の安値127.22レベルの23.6%戻し、緑ライン)の水準140.86レベルのトライを想定しておきたい。

140.86レベルが ”サポート転換” に失敗する場合は、節目の140.00レベルを視野にドル円の下落幅が拡大する展開を警戒したい。

ドル円のチャート:日足

ドル円のチャート:日足 IGチャート:年初来


一方、米金利の反発や国内株式の上昇などでドル円(USDJPY)が上昇する場合は、143.00レベルがレジスタンスへ転換するかどうか?この点を確認したい。

下の4時間足チャートで直近のトレンドを確認すると、143.00レベルの”レジスタンス転換”の兆しが見て取れる。21日EMA(142.60レベル)の上方ブレイクは、143.00トライのシグナルと想定しておきたい(上の日足チャートを参照)。

ドル円のチャート:4時間足

ドル円のチャート:4時間足 IGチャート:23年6月以降

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