【ドル円】今日の見通しとチャートポイント
国内の債券市場では植田日銀の政策修正が意識され、長期金利に上昇の圧力が高まっている。ドル円は148.00レベルが強固なレジスタンスとなり、調整の下落ムードが漂い始めている。今日の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・日銀の政策修正に対する思惑を受け、国内の長期金利に上昇の圧力が高まっている
・この状況が続けば、日米利回り格差の縮小と円買いの要因となろう
・ドル円が続落する場合は、短期サポートラインの攻防に注目したい
・ドル円が反発しても、148.00が強固なレジスタンスとして意識される可能性あり
政策修正の思惑と円高
11日の外為市場は、円高優勢の展開となった。
日銀の植田総裁は9日付の読売新聞との単独インタビューで、マイナス金利の解除の時期については現状決め打ちできる段階ではないとしながらも、年内に判断できる材料が出そろう可能性があることを示唆した。
この日の国内債券市場では長期金利が一時0.70%台へ到達し、2014年1月以来の高水準まで上昇する局面が見られた。
国内債券市場の動きに加え、連邦準備制度理事会(FRB)ウォッチャーで有名な米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のニック・ティミラオス記者が10日、FRBが利上げに慎重になりつつあるとの見解を示したこともあり、日本円は対米ドルで一時145.90レベルまで下落した。G10通貨の中では最も円高が進行した。
円相場のパフォーマンス:11日の動向
ドル円の見通しとチャートポイント
調整の下落相場を意識する状況に
上で述べたとおり、「植田日銀が政策の修正に動くのでは」との思惑を受け、国内の長期金利には上昇の圧力が高まっている。
この状況は、日米利回り格差の縮小要因である。事実、昨日の日米利回り格差は縮小した。ドル円(USD/JPY)や主要なクロス円は下落した(円高の展開となった)。
また、米国のレイバーデー明け後、日米利回り格差は縮小のムードにあり、この動きにドル円が連動している(下のラインチャートを参照)。
ドル円と日米利回り格差のチャート:日足 4月以降
ドル円(USD/JPY)の動向を日足チャートで確認すると、昨日は10日線と21日線を一気に下方ブレイクした。
7月28日の安値138.06レベルを起点とした短期サポートラインでかろうじて下落が止まったが、昨日の米ドル安・円高は、レジスタンスとしての148.00レベルの存在感を市場参加者に強く意識させた。
そして日足のMACDは、デッドクロスを形成するムードにあり地合いの強さが後退していることを示唆している。
ドル円のチャート:日足 7月中旬以降
ドル円(USD/JPY)の下落リスクについては、通貨オプション市場の参加者も意識し始めている。
この点をリスクリバーサルの動向で確認すると、1ヶ月と3ヶ月のそれらは昨日と比べてドル・プットへ傾いている。
ドル円とリスクリバーサルのチャート:日足 5月以降
上で述べた状況を総合的に考えるならば、現在のドル円(USDJPY)は調整の下落相場を意識する局面にある。
下落局面で注目しておきたいチャートポイント
今日もドル円(USD/JPY)が下値をトライする場合、目先の焦点は、昨日の下落を止めた短期サポートラインの維持となろう。このラインは今日現在、146.00レベルで推移している。つまりこのラインの攻防は、146円台を維持する攻防である。
ドル円のチャート:日足 7月中旬以降(再掲)
ドル円が短期サポートラインを下方ブレイクする場合は、145円台の維持が次の焦点として浮上しよう
現在の上昇トレンドが始まったのが、7月中旬からである。この間に付けた現時点での高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準145.36レベルの下方ブレイクは、145.00をトライするシグナルと想定しておきたい(下の4時間足チャートを参照)。
ドル円が145.00をも下方ブレイクする場合は、8月以降、重要サポートポイントとして意識されている144.50レベルを視野に下落幅の拡大を警戒しておきたい(上の日足チャートを参照)。
ドル円のチャート:4時間足 7月以降
反発の局面でのチャートポイントは?
一方、ドル円(USD/JPY)が短期サポートラインを維持に成功し、再び上値をトライする場合は、10日線を完全に突破できるかどうか?この点を確認したい。この移動平均線は今日現在、146.78レベルで推移している(上の日足チャート、オレンジラインを参照)。
ドル円が10日線の突破に成功する場合は、147円台への再上昇が次の焦点となろう。
ドル円が147円台の攻防へシフトする場合は、147.30レベルの攻防に注目したい。この水準は、レジスタンスとして相場の上昇を止める局面が二度見られた(上の4時間足チャートを参照)。
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