【ユーロドル (EURUSD)】今週の見通しとチャートポイント
外為市場では現在、米ドル高の圧力が後退している。この状況がさらに進行するかどうか?この点を見極めるうえで、今週は上昇幅が拡大しているユーロドル(EURUSD)の動向に注目したい。今週の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※次回のレポート配信は、11月27日(月)となります。
サマリー
・外為市場では米ドル高の圧力が後退し、トレンド転換の可能性を意識する局面にある
・ユーロドルの動向は、米ドル相場のトレンドに大きな影響を与えよう
・ユーロドルの上昇局面では、レジスタンスゾーンの攻防に注目したい
・ユーロドルが反落する場合は、75日線のサポート転換が焦点となろう
米ドル高トレンドの転換を意識する状況に
米ドル相場の方向性を表すドルインデックス(DXY)のトレンドを確認すると、米ドル高の圧力が後退していることが分かる(下のチャートを参照)。
21日線(105.54レベル)が低下基調へ転じると同時に、75日線(105.10レベル)や5月31日の高値104.70レベルを下方ブレイクしている。テクニカルの面では、地合いの強さ(米ドル高の圧力)が後退していることが分かる。
今週のドルインデックスは、103.50レベルの攻防が焦点となろう。現在、この水準を挟んで200日線(103.61レベル)と半値戻しの水準が展開している。
ドルインデックスがこれらテクニカルポイントをも下方ブレイクする場合は、米ドル高のトレンドが転換するシグナルが、また一つ点灯することになる。
一方、日足のストキャスティクスが現在、売られ過ぎの水準まで低下している。ゆえに、上で述べたサポートの水準(103.50レベル)では、米ドルの短期的な買い戻しが入る展開も想定しておきたい。
ドルインデックスのチャート:日足 23年5月以降
米債市場では現在、利回りに低下の圧力がじわりと高まっている。特に長期ゾーン利回りの低下幅が拡大している(下のチャート、緑の丸枠を参照)。
米債市場の現状を考えるならば、米ドル相場(ドルインデックス)が反発しても、75日線や21日線で戻りが止められる可能性がある。この状況も米ドル高のトレンドが転換するシグナルの一つとして注目したい。
米金利のチャート:日足 年初来
米ドル相場のトレンド転換とユーロドルの動向
焦点は対ユーロの動向
上で述べた103.50レベルをドルインデックス(DXY)が完全に下方ブレイクし、米ドル高のトレンドがさらに後退するシグナルが点灯するかどうか?この点を考える上で、今週はユーロドル(EUR/USD)の動きに注目したい。
先週14日に発表された米国の10月消費者物価指数(以下CPI)では、インフレが鈍化の傾向にあることが確認された。短期金融市場では、米利上げサイクルの終了を織り込む状況にある。
そして米債市場では、長期ゾーン利回りに低下の圧力が高まり、10年債利回りは先週17日に4.37%台まで低下する局面が見られた。
短期金融市場や米債市場の動きが意識され、今月に入り外為市場では米ドル高の圧力が後退している。そして10月CPI後に、米ドル高トレンドの圧力がさらに後退している(下のチャート、グレーゾーンを参照)。特に対ユーロでは3%超も米ドル安が進行する状況にある(下のチャート、赤ラインを参照)。
ドルインデックスは、ユーロドルの動向に大きく影響される。その対ユーロで米ドル安が進行している状況は、ドルインデックスの103.50割れ(また一つ米ドル安へ転換するシグナルが点灯する)可能性を意識する必要があることを示唆している。
米ドル相場の動向:月初来
ユーロドル、今週の見通しとチャートポイント
縮小傾向の米独利回り格差
ユーロドル(EUR/USD)は現在、1.09台へと上昇している。
今のユーロドルの上昇は、2つの土台に支えられていると考えられる。そのひとつが、米長期金利(10年債利回り)の低下である。
上で述べたとおり、10月のCPIでインフレ鈍化の傾向が確認された後、米長期金利の低下幅が拡大している。ドイツの長期金利も同様に低下基調にある。しかし、米長期金利の低下幅が拡大していることで、米独利回り格差は縮小の傾向にある。
この状況に連動し、ユーロドルの上昇幅が拡大していることが分かる(下のチャートを参照)。
ユーロドルと米独利回り格差のチャート:日足 年初来
原油安もユーロドルのサポート要因に
10月下旬以降、国際商品市場では、原油先物価格の下落幅が拡大している。
中東情勢のさらなる緊迫化がひとまず避けられていることに加えて、世界的な景気の減速懸念とそれにともなう需要減に対する懸念が原油先物価格の押し下げ要因になっていると考えられる。
米独利回り格差の動向と同じく、原油安もユーロドル(EUR/USD)のサポート要因と考えられる。エネルギー問題に直面する欧州経済にとって、原油安はさらなる景気の減速を和らげる要因となるからだ。
そして原油安は、米長期金利の低下圧力を高める(上昇圧力を後退させる)要因にもなる。
この点について各市場の動向を下のチャートを参照で確認すると、9月下旬に原油先物価格が下落へ転じ、10月の下旬以降、その下落幅が拡大する状況にある。
米長期金利は10月下旬以降の原油安に連動し、低下幅がじわりと拡大の傾向にある。そしてこれらの動きに連動し、ユーロドルの上昇幅が拡大していることが分かる。
ゆえに今週も原油安が続く場合、また反発しても上昇幅が限られる場合、ユーロドルは反発基調を維持し、下で述べるレジスタンスの水準をトライする展開が予想される。
原油先物価格、米長期金利、ユーロドルのチャート:日足 年初来
上昇局面でのチャートポイント
上で述べたとおり、現在の米債市場では長期金利に低下の圧力がじわりと高まっている。そして外為市場では、米ドル高の圧力が後退している。
先週14日にユーロドル(EUR/USD)は、大陽線で短期レジスタンスライン、75日線(今日現在1.0705レベル)そしてトレンドチャネルの上限といった重要なテクニカルラインを一気に上方ブレイクした。
この状況を考えるならば、テクニカルの面でも今のユーロドルには、さらなる上値トライの弾みがついている状況にある。
ゆえに今週のユーロドルは、新たなレジスタンスの水準を探ることが焦点となろう。
目先の焦点は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0960レベルのトライである。1.0920レベルがサポートからレジスタンスの水準へ転換する可能性があることを考えるならば、1.0920-60レベルをレジスタンスゾーンと想定しておきたい(下のチャート、赤ゾーンを参照)。
今週、ユーロドルが上のレジスタンスゾーン(61.8%の水準1.0960レベル)を完全に上方ブレイクする場合は、節目の1.10トライを想定しておきたい。
ユーロドルが1.10台へしっかりと上昇する場合は、7月下旬から8月上旬にサポートからレジスタンスの水準へ転換したことが確認された経緯のある1.1050レベルのトライが焦点となろう。
ユーロドルが、1.1050レベルをも突破する場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.1080レベルのトライが焦点として浮上しよう。
ユーロドルのチャート:日足 23年7月以降
反落局面でのチャートポイント
日足のストキャスティクスは、ユーロドル(EUR/USD)の過熱感(買われ過ぎ)の状況を示唆している(上の日足チャート、赤矢印を参照)。ゆえに、上で述べたレジタンスゾーン(1.0920-60レベル)では調整の反落を想定しておきたい。
今週23日にユーロ圏の11月購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。ユーロ圏経済の低迷を示唆する内容となれば、米欧の景況感格差が意識されることで、「ユーロ売り→ユーロドルの反落」を想定しておきたい。
また、24日には米国の11月購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。米国経済の強さを示唆する内容が確認される場合も、米欧の景況感格差の思惑による「米ドル買い→ユーロドルの反落」を想定しておきたい。
ユーロドルが下値をトライする局面では、上で述べた75日線(1.0705レベル)を目先のサポートラインと想定しておきたい。この移動平均線(75日線)をトライするシグナルとして、現時点での11月高安、フィボナッチ・リトレースメントの各水準での攻防に注目したい。
特に23.6%の水準(1.0820レベル)と半値戻し(1.0715レベル)の攻防に注目したい。前者の水準のすぐ上1.0830レベルは、先週の後半に相場をサポートした経緯がある。一方、後者の水準のすぐ下には75日線が推移している。
ユーロドルが75日線を下方ブレイクする場合は、1.0660台の攻防に注目したい。1.0668レベルは61.8%の水準にあたる。また、すぐ下の水準1.0660レベルは11月に入り相場をサポートした経緯がある。
ユーロドルのチャート:4時間足 10月下旬以降
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