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【ユーロドルの展望】ユーロ急伸 ECBの利下げ打ち止め観測高まればさらなるユーロ高も

ユーロが急伸するなかでむかえる欧州中央銀行の理事会(ECB)。利下げ打ち止めの観測が高まれば、ユーロドルはさらに上値を目指す展開が予想される。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

5日の外為市場でユーロが急伸した。ドイツの次期首相として有力視されるメルツ氏が防衛力強化を含めた大胆な財政改革案を提示したことを受け、ドイツの長期金利が2023年11月以来の2.8%まで急拡大した。一方、米独利回り格差が急速に縮小したことで、ユーロドルは昨年11月上旬以来となる1.08手前まで急伸。今日の東京時間で1.08台へ上昇する局面が見られた。今晩の欧州中央銀行理事会(ECB)とラガルド総裁の会見が “タカ派”と受け止められる場合、ユーロドル(EUR/USD)はさらに上値を目指す展開が予想される。


財政改革案で独金利が急拡大、米独利回り格差縮小でユーロ急伸

3月に入り外為市場ではユーロ高が進行している。理由は2つある。一つは米金利の低下を受けたドル安である。米ドル相場のおおまかな方向性を示すドル指数(DXY)は3月に入り、約3%下落する状況にある。

もう一つの理由は、ドイツが大規模な財政改革案を打ち出したことである。次期首相の就任が有力視されているメルツ氏は4日夜、大規模な財政改革の一環として5,000億ユーロの特別基金を設立すると発表した。国防費については、国内総生産(GDP)比で1%を超える場合は「債務ブレーキ」の対象から外す方針を表明した。財政規律を重視してきたドイツだが、欧州の地政学リスクを受け財政政策を大胆に転換してきた。

ドイツが財政拡張へ動くことが意識され、5日の欧州債市場ではドイツの10年債利回り(長期金利)が2.8%へ急上昇した。2023年11月以来の高水準である。独利回りの動向を受け米独利回り格差が急速に縮小し、外為市場ではユーロドルが昨年11月上旬以来となる1.08手前まで急騰した。本日の東京時間では、1.08台へ上昇する局面が見られた。

ユーロドルと米独利回り格差の動向:2024年以降

ユーロドルと米独利回り格差の動向:2024年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 長期金利:10年債利回り
※米独長期金利の格差:米10年債利回り-独10年債利回り


ECBは利下げの最終局面か、打ち止め観測高まればさらなるユーロ高も

本日、欧州中央銀行(ECB)が理事会を開く。5会合連続での利下げが確実視されている。よって焦点は、今後の政策方針にある。

タカ派のシュナーベル専務理事は2月19日、利下げの停止について議論を開始する必要性について言及した。また、ECB理事会メンバーのウンシュ・ベルギー中銀総裁も同月23日、過度な金利の引き下げを行う恐れがあると述べ、近く利下げを停止する用意をすべきとの見方を示した。いずれも英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。

ECBのタカ派から利下げ停止の可能性について言及する発言が続いた状況は、ECB内で利下げ打ち止めに向けた動きが出始めていることを示唆している。

ECBは、景気と物価を熱しも冷ましもしない「中立金利」の水準を1.75〜2.25%と想定している。今晩の理事会で0.25%の利下げを決定すれば、主要政策金利の水準は2.65%まで引き下げられる。預金ファシリティ金利は2.75%から2.50%へ引き下げられる。これらの政策金利が中立金利の水準へ近づている状況も考えるならば、3月の理事会では利下げ停止に向け、声明文を軌道修正する可能性がある。

現状、短期金融市場では、今年末にECBが政策金利を2%程度まで引き下げる可能性を織り込んでいる。しかし、声明文とラガルド総裁の定例会見で利下げ打ち止めの観測が高まれば、市場の予測は上方に修正されるだろう。

「米金利の低下→米ドル安」が進行するなかでタカ派のECBイベントとなれば、ユーロドル(EUR/USD)はさらに上値を目指す展開が予想される。

欧州中央銀 政策金利の予想推移

欧州中央銀(ECB) 政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / OISに基づく予想推移 / 3月6日 午前9時時点


ユーロドルの見通しとテクニカルライン

“タカ派”のECBイベントなら1.09台の上昇が焦点に
現在の外為市場は米ドル安優勢にある。この状況でECBが利下げの停止に向けたシグナルを発信する場合、ユーロドル(EUR/USD)はさらに上値を目指す展開が予想される。焦点は1.09台への上昇となろう。今日は、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。

・ユーロドルは昨日、200日線と昨年11月5日の高値を基点としたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準を難なく上方ブレイクした。21日線と89日線との間でゴールデンクロスが確認された。日足のMACDとモメンタムはユーロドルの強気相場に勢いがあることを示唆してる。これらテクニカルの動向(攻防)を考えるならば、ユーロドルはトレンドフォローのユーロ買い・米ドル売りを意識する状況にある

・今日のECBイベントがユーロ高の要因となれば、1.08台の攻防を想定したい。今日の東京時間に、昨年9月25日の高値1.1214レベルを基点としたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0818レベルをトライする局面が見られた。このテクニカルラインの突破は、1.09をトライするサインと考えたい

・ユーロドルが1.09台へ上昇する場合は、昨年11月5日の高値1.0936レベルの攻防に注目したい。この高値水準をも突破すれば、昨年9月25日高値1.1214レベルを基点としたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.0969レベルを視野に上昇幅の拡大を想定したい

レジスタンスライン:日足
・1.0969:76.4%戻し(昨年9月25日高値1.1214レベルが基点)
・1.0936:昨年11月5日の高値
・1.0900:レジスタンスライン
・1.0818:61.8%戻し(昨年9月25日の高値1.1214レベルが基点)

急反落を警戒、予想レンジの下限は1.06
今のユーロドル(EUR/USD)は、上昇トレンドがどこまで続くのか?を意識する状況にある。この点は、通貨オプション市場のリスクリバーサルも示唆している。5日の市場で1週間と1ヶ月のリスクリバーサルはユーロ・コールへ転じている。その一方、1週間の予想変動率は11%へ上昇している。急騰後の調整売りによる急反落を警戒したい。そのきっかけになり得るのが今晩のECBイベントとなろう。今日は、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。

ユーロドルのリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年10月以降

ユーロドルのリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年10月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

・ECBイベントがユーロ安の要因となれば、最初の焦点は200日線のサポート転換となろう。この状況が確認される場合は、明日以降も上で取り上げたレジスタンスラインを視野に強気相場を維持する展開を想定したい

・一方、ユーロドルが200日線を下方ブレイクする場合は、サポートラインへ転換する可能性がある3つのラインの攻防に注目したい。最初のラインは1.0675レベルである

・3つ目のライン1.0630レベルを下方ブレイクする場合は、1.06の維持が焦点に浮上しよう。このラインを今日の予想レンジの下限と想定したい

サポートライン:1時間足
・1.0720:200日線(3/6時点)
・1.0675:サポートライン
・1.0630:サポートライン
・1.0600:予想レンジの下限


ユーロドルのチャート

日足:2024年9月以降

日足:2024年9月以降

出所:TradingView

1時間足:3月以降

1時間足:3月以降

出所:TradingView


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