さえない経済指標で米ドル売り、米ドル安の進行を意識する局面に
3月の米ISM製造業景気指数は5か月連続で景気の拡大・後退の分岐点の「50」を下回った。将来の景気後退が意識され米金利は低下基調に。外為市場では米ドル安の進行を意識する局面にある。ドルインデックスの展望は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※ドル円とユーロドルの展望についてはこちらのレポートを参照
サマリー
・さえない経済指標を受け米金利が低下、外為市場は米ドル売りの展開に
・利上げ停止と年内の利下げ観測で米金利は低下トレンドを形成することが予想される
・ドルインデックスはサポートポイント102.00のブレイクを意識する状況にある
さえない経済指標で米金利が低下
3月の米ISM製造業景気指数は新規受注と雇用の低下により46.3と、前月の47.7から低下した。予想の47.5も下回った。景気の拡大と後退の分岐点とされる「50」を下回るのは5か月連続となった。
将来の景気後退が意識され米債市場では利回りが低下した。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは、4.0%の水準を完全に割り込む展開となった。次回の連邦公開市場委員会(5月2日~3日、FOMC)では25ベーシスポイント(bp)の利上げ確率が57%前後まで上昇している(FEDウォッチ、7時時点)。しかし米債市場はその先、今年後半の利下げを意識する状況にある。
一方、10年債利回り(長期金利)は3.4%を視野に低下基調が続いている。
米金利のチャート
金利の低下で米ドル売り
米金利の低下は、外為市場で米ドル売りの圧力を高めた。昨日は資源高も重なり、ノルウェークローネ(NOK)、豪ドル(AUD)、カナダドル(CAD)といった資源と関わりの深い通貨に対して米ドルの下落幅が拡大した。
また、ユーロ(EUR)やポンド(GBP)など欧州通貨でも米ドル売りが進行した。
米ドル相場の動向:4月3日
ドルインデックスは102.00ブレイクを意識する局面に
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は103.00レベルがレジスタンスへ転換し、上値の重さを市場参加者に印象付けた。サポートポイントの102.00レベル(フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準)の下方ブレイクは、米ドル安がさらに進行するシグナルのひとつと想定しておきたい。
今日は2月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数が発表される。昨日のISM製造業景気指数に続きさえない内容となれば、米金利の低下と米ドル売りの要因となろう。
一方、JOLTSで強い内容が確認される場合は、米金利の反発と米ドルの買い戻しが予想される。だが、米債市場では利上げサイクルの停止と年内の利下げを意識する状況にある。短期金融市場も同様の状況にある。よって、強い経済指標で米ドル買いとなっても、ドルインデックスは102.00のブレイクと下落幅の拡大を意識する局面にある。
ドルインデックスのチャート
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