米消費者物価指数と外為市場の展望
市場参加者の関心は、今晩の10月米CPIに集まっている。インフレ懸念が後退する場合の外為市場の展望は?一方「CPIショック」での外為市場はどんな反応に?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
米消費者物価指数と外為市場の展望
【サマリー】
・リスク回避の米ドル買いでドルインデックスは短期サポートラインの維持に成功
・今日の注目材料は10月米消費者物価指数(CPI)
・インフレ懸念の低下と「CPIショック」とでは外為市場のトレンドが真逆の展開に
・ドル円とユーロドルのチャートポイントについて
・リスク回避の米ドル買い ドルインデックスはサポートラインを維持
9日の外為市場は、米ドル買い優勢の展開となった。
この日の米債市場に大きな変動は見られず2年債、5年債そして10年債の各利回りは小幅に低下した。対照的に米国の株式市場は下落一色の展開となった。
株安を受け外為市場では米ドルを買い戻す展開に。ユーロドル(EURUSD)はドイツ経済の先行きリスク(来年のマイナス成長予測)も重石となりレジスタンスポイントの1.01手前で反落した。一方、ポンドドル(GBPUSD)も米ドル買いに圧され1.13台へ急落した。オセアニア通貨や主要な新興国通貨でも米ドル買い優勢の展開に。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、サポートラインの維持に成功した。
ドルインデックスのチャート
・米消費者物価指数(CPI)と外為市場の展望
インフレ懸念の後退と外為市場の展望
各市場参加者の関心は、今日の10月米消費者物価指数(CPI)に集中している。前年同月比で7.9%と、前月の同比8.2%から低下する見通しとなっている。一方、変動幅の大きいエネルギーや食品の価格を除いたコア指数も前年同月比6.6%から同比6.5%へ低下する予想となっている。
10月米CPIでインフレの低下が確認される場合は、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で75ベーシスポイント(Bps)利上げの可能性が後退しよう。
米債市場では利回りに低下の圧力がかかり、米国株は反発の展開が予想される。
金利の低下と株価の上昇が同時に発生する状況では、米ドル相場が最も下落しやすい。
対照的にオセアニア通貨や新興国通貨は対米ドルで上昇することが予想される。昨日下落したユーロやポンドも反発しよう(対米ドル)。
一方、米金利にトレンドが左右されているドル円(USDJPY)は、145円台の攻防(維持)が焦点となろう。
米国の消費者物価指数(CPI)
CPIショックと外為市場の展望
問題は10月米CPIが上振れ、米国市場が「CPIショック」に見舞われるケースである。
米国の根強いインフレ傾向が確認される場合、12月FOMCでは5回連続で75bps利上げの可能性が高まろう。
米債市場ではインフレリスクと金融引き締めの長期化が意識され、利回りに上昇の圧力が高まることが予想される。そして米国の株式市場では金融引き締めの長期化と金利の上昇に対する警戒感が高まろう。
12月FOMCの利上げ予想
金利の上昇と株価の下落は、外為市場で米ドル高の圧力を最も高める状況である。このケースでは、上で述べた状況とは真逆の展開-オセアニア通貨、新興国通貨そして欧州通貨の売りを想定しておきたい(対米ドル)。
特にリスク資産との相関性が高い豪ドルやNZドルの下落幅が拡大することが予想される。
また、経済の先行きリスクが重石となり、1.01レベルの突破に何度も失敗しているユーロドル(EURUSD)も下落幅の拡大が予想される。
実際にユーロドル(EURUSD)が上記の展開となる場合は、50日線(MA/0.9880前後)の維持が焦点として浮上しよう。この移動平均線を下方ブレイクする場合は、短期サポートラインのトライおよびブレイクに注目したい(下の日足チャートを参照)。
一方、ドル円(USDJPY)は21日線(MA)のトライおよびブレイクが焦点として浮上しよう。この移動平均線は今日現在、147.80前後で推移している。
ドル円が21日線の上方ブレイクに成功する場合は、148円台の攻防へシフトする展開を予想する。実際にドル円がこの状況へ転じれば、レジスタンスポイント「149.00」のトライおよびブレイクが焦点として浮上しよう(下の日足チャートを参照)。
まとめ:10月米消費者物価指数と外為市場の展望
ドル円のチャート:145.00を維持できるか?21日線のトライおよびブレイクとなるか?
ユーロドルのチャート:1.01ブレイクか?それとも50日線を視野に下落幅が拡大するか?
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