米ドル安局面でのドル円と欧州通貨の焦点は
株高トレンドと債券利回りの低下を受け外為市場では米ドル安の状況が続いている。ドルインデックスはテクニカルの面で分岐点に差し掛かっている。米ドル安局面でのドル円と欧州通貨の焦点は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
米ドル安局面でのドル円と欧州通貨の焦点は
【サマリー】
・米株高と米金利の低下で米ドル安優勢の展開が続く
・ドルインデックスはテクニカルの面で分岐点に差し掛かっている
・ドル円はサポートポイントを探る局面にある
・ユーロドルとポンドドルはレジスタンスポイントを探る局面にある
・テクニカルの面で分岐点にあるドルインデックス
8日の米国株式市場は上下に大きく振れるも株高トレンドを維持した。一方、米債市場では株高と利回りの妙味が意識され、明日の米消費者物価指数(10月CPI)の発表を前に米債買い(ショートカバー)が入り金利が低下した。
米金利のチャート
株高と債券利回りの低下を受け、外為市場では米ドル売り優勢の展開が続いている。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、テクニカルの面で分岐点に差し掛かっている。
そのテクニカル面で現在注目すべきは、今年の米ドル高トレンドを象徴するサポートラインの維持である。現在、サポートポイントとして意識されているフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準109.62レベルの下方ブレイクは、短期サポートラインをトライするシグナルと想定しておきたい。
また、短期サポートラインのすぐ下で推移している100日線(MA /108.93レベル)もサポートラインと見なすことができる。
ゆえに、今のドルインデックスは2つのサポートラインを維持できるかどうか?の分岐点にあると言える。
ドルインデックスのチャート
・サポートポイントを探るドル円
目先の焦点は145.00の攻防
米ドル安優勢の展開を受け、ドル円(USDJPY)はサポートポイントを探る局面にある。
21日線(MA)と短期サポートラインを完全に下方ブレイクしたことで、145.00レベルの攻防が焦点として浮上してきた。この水準は、一度レジスタンスからサポートへの転換が確認されている。
明日の10月米CPI発表を前に米債市場は動きづらいタイミングにある。しかし、中間選挙で「共和党優勢→米株続伸」の状況にあることを考えるならば、調整の米債買いが続く可能性がある。
ゆえに今日のドル円は、「リスク選好→米金利の低下幅が拡大→ドル円の145.00トライ(ブレイク)」を想定しておきたい。
次のサポートポイントは?
ドル円が完全に145円を下方ブレイクする場合、どの水準まで下落するのか?については、10月米CPIの内容次第となろう。
米CPIが米債市場の参加者に根強いインフレリスクを意識させる内容となれば、「米金利の反発→ドル円の反発」を想定しておきたい。このケースでは、21日線まで反発できるかどうか?まずはこの点に注目したい。
ドル円がこの移動平均線の突破に成功する場合は、レジスタンスポイントの149.00を視野に上昇幅の拡大を予想する。
逆に10月米CPIがインフレリスクの後退を意識させる内容となれば、「米金利の低下幅が拡大→ドル円の下落幅も拡大」の展開を想定しておきたい。このケースでは、9月にローソク足の実体ベースで相場をサポートした142.00が次の下値ターゲットになると予想する。
ドル円がこの水準(142.00レベル)をも下方ブレイクする場合は、節目の140.00トライおよびブレイクが焦点となろう。
ドル円のチャート
・レジスタンスポイントを探る欧州通貨
ユーロドルは1.01のトライおよびブレイクが焦点に
一方、欧州通貨は、新たなレジスタンスポイントの水準を探る局面にある。ユーロドル(EURUSD)は、10月26日と27日に相場の上昇を止めた100日線(MA)の突破に成功した。
しかし、ローソク足の実体ベースではフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0075レベルの突破に失敗し、1.01レベルがレジスタンスポイントとして明確になってきた。
ゆえに米ドル安の局面が続く間は、1.0075レベルと1.01台への上昇が焦点となろう。
ユーロドルが1.01レベルの突破に成功した後、この水準がサポートポイントとして意識される状況が確認される場合は、1.02レベルが次の上値ターゲットとして浮上しよう。この水準は、9月12日の上昇を止めた高値レベルである。
ユーロドルのチャート
ポンドドルの焦点は1.16台の攻防 1.17ミドルまで上昇する可能性あり
ポンドドル(GBPUSD)は、8日のレポートで指摘した1.16台の攻防へシフトするムードが高まっている。
景気の先行きリスクは引き続きポンド売り要因として警戒すべきだが、今の外為市場は「米ドル安」がメインテーマである。ゆえにこの状況(米ドル安)が続く限り、ポンドドルは1.16台を目指す展開を想定しておきたい。
ポンドドルが1.16台の攻防へシフトする場合、まずは1.1620レベルの攻防に注目したい。この水準を挟んで89日線(MA/1.1617レベル)とフィボナッチ・リトレースメント61.8%が展開している。
ポンドドルがこれらテクニカルポイントの突破に難なく成功する場合、次は100日線(MA)のトライおよびブレイクに注目したい。この移動平均線は今日現在、1.1673レベルで推移している。
米ドル安にサポートされポンドドルが100日線の突破に成功する場合は、1.17台へ上昇するシグナルと想定しておきたい。
1.17台の攻防で注目しておきたい水準は、サポートからレジスタンスへの転換が確認されている1.1750レベルの攻防である。この水準を上方ブレイクするカタリストとして注目しておきたいのが、10月米CPIである。インフレリスクの後退を示唆する内容となれば、「米ドル安の進行→ポンドドルの上昇幅が拡大→1.17ミドルのブレイク」を想定しておきたい。
ポンドドルのチャート
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