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ドル円は上値トライ、ユーロドルはインフレ指標にらみ

さえない経済指標でも米債市場では利回りの上昇基調が続いている。ドル円は引き続き上値のトライを意識する局面にある。一方、ユーロドルは2月のインフレ指標で動く可能性あり。目先のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ


【サマリー】
・さえない経済指標でも米金利は上昇基調を維持する状況が続く
・ドル円は引き続き上値トライを意識する状況にある
・ユーロドルの注目材料は2月のインフレ指標と米独の利回り格差
・ユーロドルのテクニカル分析について


上昇基調を維持する米金利

1日の米債市場で2年債利回りは、4.9%へ到達する局面が見られた。この水準まで上昇するのは2007年7月以来となる。
一方、10年債利回り(長期金利)は、昨年11月10日以来となる節目の4.0%へ上昇する局面が見られた。実質金利(10年)も高止まりしている。

アトランタ連銀のボスティック総裁は昨日、政策金利(FFレート)を5.00%から5.25%の間に引き上げた後、しばらくその水準を維持する必要性について言及した。
一方、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、今月の連邦公開市場委員会(FOMC、21~22日開催)で利上げ幅を50ベーシスポイントにするかどうかについて、現時点ではオープンマインドでいると述べた。

2月ISM製造業景気指数は47.7と予想(48.0)を下回ったが、重要指標がさえない内容となっても米金利が上昇した事実は、連邦準備制度理事会(FRB)によるインフレ抑制重視の姿勢が長期化する-この点を米債市場の参加者が強く意識していることを示している。

アメリカ金利のチャート

アメリカ金利のチャート チャート:日足(22年~)

ドル円は引き続き上値トライを意識する状況にある

米金利の上昇基調が続く限り

ドル円(USDJPY)は、引き続き上値トライを意識する状況が続くと予想する。

上で述べたとおり、インフレリスクの再燃とそれを抑制するためにFRBの金融引き締めが長期化する可能性が意識され、米金利は上昇基調を維持している。米金利と高い順相関の関係にあるドル円は、米金利が再び低下のトレンドへ転じない限り底堅さを維持するだろう。

ドル円の底堅さを示唆した10日MA

ドル円(USDJPY)の底堅さは、昨日の下落局面で確認された。

昨日は欧州タイムに米ドル売り優勢の展開が見られ、さえない2月のISM製造業景気指数を受けて再び米ドル売りの局面が見られた。しかしドル円は、IG為替レポートで取り上げた10日MA(135.43レベル)を維持した。日足ローソク足では長い下ヒゲが示現した。また、135円台の維持に成功したことで、134円台から135円台へサポートの水準が切り上がる可能性も浮上してきた。

上で述べた状況を総合的に考えるならば、今日のドル円も136.66レベル(38.2%戻しの水準)、100日および200日の各移動平均線(MA)を突破できるかどうか?この点に注目したい。100日MAは今日現在、136.77レベルまで低下している。

ドル円のチャート

ドル円のチャート チャート:TradingView / 日足(22年10月~)

ユーロドルの展望とチャートポイント

21日MAの突破が焦点に浮上

ユーロドル(EURUSD)は、米ドル安にサポートされ89日MA(1.0560レベル)の維持に成功した。さらにIG為替レポートで注目していたレジスタンスの1.0650レベルを大陽線で一気にブレイクした。

しかし、21日MA(1.0684レベル)で上昇が止められたことを考えるならば、ユーロドルが上昇基調へ転じたと判断するのがまだ早い(一番下の日足チャートを参照)。

ユーロ圏のインフレ指標と米独利回り格差の動向が焦点に

今日は2月のユーロ圏インフレ率が発表される。南欧(フランス / スペイン)に続きドイツでもインフレ圧力の根強さが確認された。このタイミングでユーロ圏のインフレ率が予想以上の伸びを示せば、欧州中央銀行(ECB)の利上げが長期化する可能性を欧州市場は強く意識しよう。

ドイツの10年債利回り(長期金利)は、2011年7月以来となる2.72%台まで上昇してきた。2月のインフレ率が域内全体の根強いインフレ傾向を示す場合は、ドイツ金利に上昇の圧力がさらに高まることで、拡大の傾向にある米独の利回り格差が再び縮小の傾向へ転じる可能性がある。直近はその状況が見られる(下チャートの赤枠を参照)。

ユーロドルと米独長期金利の格差

ユーロドルと米独長期金利の格差 チャート:日足(22年11月~)

上下のチャートポイント

今日のユーロドル(EURUSD)は、上で述べた2月のインフレ指標を受けて上下に振れる展開が予想される。

ユーロドルが続伸する場合は、21日MAの突破と1.07台への上昇を想定しておきたい。ユーロドルが1.07台の攻防へシフトする場合は、2月上旬に相場の反転を止め続けた1.0750レベルのトライおよびブレイクとなるか?この点が焦点となろう。

ユーロドルが1.0750レベルのブレイクにも成功する場合は、レジスタンスの1.08をトライする展開を想定したい。

一方、ユーロドルが反落する場合は、89日MAおよびリトレースメント38.2%の水準1.0535レベルの維持に注目したい。

ユーロドルのチャート

ユーロドルのチャート チャート:TradingView / 日足(22年11月~)

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