アングリーバードの開発元を買収したセガサミーの株価が下落
買収による影響と「アングリーバード」の人気継続に対する懸念から、セガサミーの株価は4月14日から18日にかけて7%近く下落した。しかし、今後株価が上昇する可能性もある。
4月第3週の週末にかけて、東京に本社を構えるゲームメーカー大手のセガサミー(6460)が、「アングリーバード」の開発元であるフィンランド発のモバイルゲーム会社ロビオ・エンターテイメント(以下、ロビオ)を買収するという噂が流れた。
セガサミーの株価は上昇すると期待されていたが、4月17日・18日に下落した。この下落は、同社がロビオと相乗効果を生み出すことに懐疑的な見解を投資家が示したために起こった。
しかし、同社がこの懸念を払拭できれば、株価が好調に推移する可能性がある。また、円安の進行など短期的な要因も、輸出が盛んな同社の株価を押し上げる要因となるだろう。
セガサミーがロビオの買収を計画
4月17日、セガサミーはフィンランド発のモバイルゲームメーカーであるロビオを約1,037億円で買収する方針を示した。この買収においての買い付け金額は、4月14日のロビオの株価終値に対して19%割増である。
フィンランド発の携帯電話向けゲーム開発会社であるロビオは、「アングリーバード」のフランチャイズとして有名であり、数々のゲームの続編や映画を生み出してきた。
同社が発表した直近の資料によると、同グループのゲームは50億回以上ダウンロードされ、日次アクティブユーザー数は630万人に達している。
同社の2022年の年間売上高は、2021年比で11%増の3億1770万ユーロである一方で、税引前純利益は約24%減少して3060万ユーロとなった。今回の買収で、セガサミーは拡大するモバイルゲーム事業への参入を狙っており、Netflixなどが関心を寄せるようになった。
この買収には、大ヒットした「アングリーバード」のフランチャイズ所有権を取得することや、「ソニック」など自社の人気ゲームをモバイル形式に変換する意図がある。
同社の買収発表で引用された資料によると、2022年の国際的なゲーム市場において、モバイルゲームは53%を占め、2026年には56%まで拡大する見通しだ。
セガサミーのCEOである里見治紀氏はプレスリリースで、「成長が著しいグローバルゲーム市場において、特に今後のポテンシャルが大きいモバイルゲームの展開を加速させて行くことはセガサミーにとって長年の悲願です」と述べた。
しかし、この買収は投資家の期待に添えなかったようだ。同社の株価は4月14日から18日にかけて6.8%下落し、2,481円で取引を終えた。一方、ロビオの株価は17日にフィンランド市場で18%以上急騰し、割高な買収金額に対して好調な反応を示した。
アナリストや投資家は、セガサミーがロビオの買収から相乗効果を発揮できるか懸念を抱いているはずだ。とりわけ、ロビオの今後の成長には不確実性が高く、同社のゲームの人気はすでにピークを迎えているとの見方もある。同社は、プラットフォームへの新規ユーザーの獲得に苦戦しており、四半期ごとの売上は近年ほぼ横ばいである。
セガサミーに秘められた可能性
セガサミーの株価が下落したことで、投資家の間では懸念が広がり、同社の1,000億円以上の資金使途に対して不満の声も上がっているようだ。
しかし、同社がロビオのモバイルプラットフォームを利用してゲームコンテンツを統合し、成長させることができれば、アングリーバードシリーズにさらなる価値を付加できる可能性がある。
同社の株価を短期的に上昇させる要因は他にもある。米ドル/円相場における円安の進行は、海外市場を狙う同社にとって追い風となるかもしれない。任天堂のようなほかの日系ゲームメーカーも、海外顧客に対する円安効果を受け、株式に再び関心が集まっている。
セガサミーは4月下旬に最新の決算発表を控えており、6月には1株当たり20円の配当が予定されている。これらのことからも、株価が上昇する可能性を秘めている。
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