【2023年】注目の旅行関連株5選
旅行関連銘柄は新型コロナウイルス流行による影響から立ち直りつつあります。この記事では、12月に取引すべき旅行関連株5選をご紹介します。取り上げる銘柄は、時価総額に基づいて選ばれています。
過去数年間、新型コロナウイルスの流行で苦境に立たされていた日本の旅行株は、再び上昇に転じています。
11月15日に発表された日本政府観光局(JNTO)の統計によると、この10月中の訪日観光客数は251万6500人に上り、2019年10月時点の新型コロナウイルス大流行前の水準を超えました。
旅行株を取引する理由
新型コロナウイルスの規制緩和が進み、旅行需要もパンデミック以前の水準に回復していることから、いくつかの旅行関連銘柄が大きく持ち直しています。この上昇傾向は、自粛期間中に叶わなかった旅行需要やそれに伴う余剰貯蓄によってもたらされています。
需要回復の大半は株価推移に反映されているものの、この需要は今後さらに増加する可能性があります。
経済が発展して個人の手取り収入が増すとともに、観光や旅行にかける費用の増加が予想されるため、旅行株は長期的な投資対象として魅力的な銘柄といえます。例えば、中国国民の観光への支出は、2008年の360億ドルから、2018年には2770億ドルに急増しました。他の新興国でも同様の流れが起こると予想されており、新たな旅行者層が海外旅行セクターに参入するでしょう。
旅行株は日本の経済状況を背景に好調に推移しています。直近1年間を通して日米の金利差が拡大したことで、円安ドル高が進行しました。その結果、外国人観光客にとっては訪日観光が割安となり、これが日本の旅行株に追い風となっています。
しかし、投資家やトレーダーは、旅行会社にとって逆風となる様々な要因に注意する必要があります。
第一に、インフレ率の上昇が、個人消費の回復を阻む要因となっています。インフレを抑制するために世界的に金利が引き上げられましたが、その効果は思わしくありません。
長期的には、気候変動に配慮した施策によるリスクが懸念されます。炭素排出量に関する目標がますます厳格化される中、旅行関連企業には事業を維持するための持続可能な方法を見出すことが求められます。とりわけ、航空セクターにおいて、これは大きな課題となっています。
旅行株の取引方法
旅行株の取引にはいくつかの方法があります。
投資家は、旅行株の決算発表を企業の業績の指標とし、より広範なファンダメンタルズ分析の一部として見ることができます。また、他の銘柄と同様にテクニカル分析を用いて、トレーダーは取引の最適なエントリーポイント(ポジションを持つ場所)とエグジットポイント(ポジションを閉じる場所)を見極めることも可能です。
旅行セクターにとって、業界データもまた需要動向の指標として非常に重要です。空港旅客数データや観光支出に関する政府発表の数値は、セクターが予想を下回ったか上回ったかの指標となり、株価に影響を与えます。
初心者向け旅行株5選
ここでは、12月に取引を検討すべき旅行関連銘柄5選をご紹介します。(株価とその推移は2023年11月20日時点の引用です。過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません。)
日本航空(9201)
国内大手航空会社である日本航空(JAL)は、 年初から順調に回復を続けています。第2四半期決算では最終損益が616億円に上り、21億5000万円の赤字だった前年同期から、大きく黒字転換しました。また、通期利益予想を550億円から800億円に上方修正し、配当も従来計画の40円から60円に増額しました。
株価は4月末から急上昇し、夏場に高値をつけ、9月末の配当落ち後に下落しました。冬休み期間の需要増加への期待から、年末に向けて株価は再び上昇に転じています。年初来では7.11%上昇しています。
三越伊勢丹ホールディングス(3099)
三越伊勢丹ホールディングスは全国に20の百貨店と130の中小店舗を展開しています。同社は銀座と新宿のショッピングエリアに店舗を構えるほか、日本橋のビジネス街に旗艦店を有しています。百貨店で購入した商品が免税対象となることから、同社は高級品を買い求める外国人観光客の間で人気を博しています。
第2四半期の売上総利益が前年同期比13%増となったことを受け、同社は通期予想の売上高を大幅に上方修正したほか、最終利益予想も14%上方修正しました。さらに、配当予想は前年比8円増配の24円となりました。
株価は年初来から20.9%上昇しており、トレーダーは年末の好業績に期待を寄せています。
東日本旅客鉄道(9020)
東日本旅客鉄道(JR東日本)は、旅客鉄道、貨物輸送、バスなどの大手運行会社であり、ホテルやレストランなども運営しています。
第2四半期決算では、連結経常利益が前年同期比4倍以上の1655億円となり、全事業部門で増収増益であったことを発表しました。同社はさらに、2024年度の重点戦略として、訪日観光客の需要取り込みを掲げています。それに伴い、海外代理店を通じて販売されている人気のジャパン・レール・パスの値上げを実施しました。
株価は2月上旬以降に回復し、9月には52週ぶりの高値の8,949円をつけました。その後はやや下落したものの、年初来では6.3%上昇しています。
エイチ・アイ・エス(9603)
エイチ・アイ・エスは世界中で旅行代理店サービスを提供しており、ツアー、テーマパーク、ホテルなどの運営も手掛けています。
訪日観光客数は新型コロナウイルスの大流行前の水準まで回復しているものの、出国日本人数は依然として2019年の水準を大きく下回っています。この影響を受け、同社の株価は低迷しているようです。日本人の海外旅行離れの背景には円安が関係しており、円高が進めば、今後海外旅行の需要回復が見込まれます。
株価は8月初旬まで比較的横ばいに推移していましたが、その後下落に転じ、10月中旬には底打ちしたようです。年初来では15.2%下落しています。
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、品揃え豊富なドン・キホーテ、ディスカウントストアのMEGAドン・キホーテ、スーパーマーケットの長崎屋などを運営しています。ドン・キホーテは買い物が免税対象となることから、外国人観光客に人気があり、訪日観光需要が本格化するにつれて業績を伸ばしています。同社はハワイやカリフォルニア、シンガポール、タイなどでも店舗拡大を進めています。
11月10日の2024年度第1四半期決算では、売上高が前年同期比7.5%増の5093億円、営業利益が同37.8%増の329億円となりました。これは、第1四半期の業績として過去最高の業績となります。
2023年に入って以降、株価は好調に推移しています。第1四半期の好決算発表が追い風となり、年初来では38.4%上昇しています。
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