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FRBの利下げ後も続くトルコリラ売り、自民党総裁選で石破元幹事長が選出、ドル円にらみのトルコリラ円

米連邦準備制度理事会(FRB)が0.5%の大幅利下げを決定した後も、トルコリラは対米ドルで下落トレンドにある。対円では反発の局面が見られるが、どこまで上昇するかはドル円の動向次第となろう。そのドル円は、27日の自民党総裁選で石破茂元幹事長が選出されたことを受け、146円台から142円後半へ急落した。来週の米経済指標指標次第でドル円とトルコリラ円は、上下に大きく振れる展開が予想される。

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記事のポイント

・FRBが利下げ政策へ転換、9月に入り新興国通貨で米ドル安が進行中
・しかし、トルコリラの売り圧力は米ドル以上に強い
・自民党総裁選で石破元幹事長が新総裁に選出、ドル円が急落
・トルコリラ円がどの水準まで反発するかは、ドル円の動向次第


FRBの政策転換で米ドル安が進行

9月に入り米ドル安が進行している。米ドル相場のトレンドを示すドル指数(DXY)は9月25日に、100.22レベルまで下落する局面が見られた。

対新興国通貨でも米ドル安が進行している。月初来の騰落率を確認すると東南アジア諸国の通貨、南アフリカの通貨ランド、そしてブラジルの通貨レアルを中心に米ドル安が進行していることが分かる。

しかし唯一、米ドル高優勢の通貨ペアがある。それが、米ドル/トルコリラ(USD/TRY)である。この状況は、米ドルの売り圧力以上にトルコリラの売り圧力の強さを示唆している。

米ドルの騰落率:9月1日~26日

米ドルの騰落率:9月1日~26日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

FRBの利下げ後も続くトルコリラ売り

米連邦準備制度理事会(FOMC)は9月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、通常の倍となる0.5%の大幅利下げを決定した。

短期金融市場では、11月のFOMCでもパウエルFRBが連続で0.5%の大幅利下げに踏み切る可能性を意識し始めている。CMEのFedWatch ツールよれば、その確率は本レポート掲載時点で五分五分の状況にある。

パウエルFRBが連続で大幅利下げに追い込まれる可能性が意識されてなお、9月のFOMC以降もトルコリラは、対米ドルで下落トレンドを維持している。この点を日足チャートで確認すると、ローソク足の実体ベースで21日線がサポートラインとして意識されている。そして上昇基調のトレンドチャネルを形成しながら、8月28日の高値水準34.42レベルを目指す状況にある。

中期スパンの50日線が右肩上がりのトレンドにあることも考えるならば、米ドル/トルコリラ(USD/TRY)の地合いの根強さ(トルコリラの地合いの弱さ)がうかがえる。

米ドル/トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

米ドル/トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

石破元幹事長勝利でドル円急落

本日、自民党総裁選で石破茂元幹事長が新総裁に選出された。日銀の利上げをけん制していた高市早苗経済安全保障担当相が敗れたことで、今日の東京時間に146円台まで上昇したドル円(USD/JPY)は、一気に142円後半へ急落する局面が見られた。テクニカルの面では、146.10台まで低下している50日線がドル円の上昇を見事に上昇止めた。日足ローソク足で長い上ヒゲが現れての下落であることも考えるならば、来週以降、この移動平均線がレジスタンスラインとして意識される可能性がある。

23日のIG為替レポートで指摘したとおり、今のドル円(USD/JPY)は「米ドル安vs円安の戦い」となっている。 石破元幹事長が新総裁に選出されたことで今は円高へ振れているが、ドル円のトレンドは日銀の政策動向と米国経済が左右する。

前者の面では、先週20日の植田総裁の会見が円安の要因となった。よって目先注目すべきは、後者の米国経済である。来週発表されるアメリカの重要な経済指標-9月のISM製造業・非製造業景気指数と同月の雇用統計がさえない内容となれば、景気懸念が再燃する可能性がある。その状況に陥れば、外為市場では米ドル安の進行が予想される。

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

トルコリラ円の見通しとチャート分析

ドル円にらみの状況が続く

米ドル/トルコリラ(USD/TRY)とは対照的に、トルコリラ円(TRY/JPY)は9月16日に安値4.09レベルまで下落した後、今は反発の基調にある(トルコリラ高・円安)。対米ドルでトルコリラ安が続いていることを考えるならば、現在の反発相場はドル円(USD/JPY)に支えられている。

トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

そのドル円は上で述べたとおり、自民党総裁選で石破元幹事長勝利の報が伝わり、146円台から142円後半へ急落する局面が見られた。

この状況で、来週の米経済指標で景気懸念を市場参加者に想起される内容が続けば、11月FOMCでの大幅利下げの期待が高まるだろう。外為市場では米ドル安の進行が予想される。

米ドル安の進行は、ドル円(USD/JPY)の下落要因となろう。ドル円が崩れれば、トルコリラ円(TRY/JPY)も再び下値をトライするだろう。

トルコリラ円の下落局面では、21日線と10日線の攻防に注目したい(上の日足チャートを参照)。これら2つの移動平均線でトルコリラ円がサポートされる場合は、9月16日の安値4.09レベルから水準が切り上がり、短期サポートラインを形成し始めることになる。

一方、トルコリラ円が10日線を完全に下方ブレイクすれば、再び4.09を目指すことが予想される。日足のRSIがデッドクロスへ転じる場合は、その可能性を意識したい(上の日足チャート、紫の矢印を参照)。トルコリラ円が4.09レベルで二度反転すれば、重要なサポート水準としての存在感が増すだろう。

焦点は来週の米経済指標に

一方、来週の米経済指標で景気不安を後退させる内容が続く場合は、米ドル安が一服することが予想される。このケースでは「米ドル安vs円安の戦い」が小休止となり、ドル円は新たな上値の水準を目指すことが予想される。

注目は、23日のIG為替レポートで取り上げたレジスタンスポイント147円のトライである。ドル円がしっかりと147円台へ上昇する場合は、149円が視野に入るだろう。

ドル円の上昇は、トルコリラ円(TRY/JPY)の反発相場をサポートするだろう。このケースでの注目は、4.304レベルまで低下している50日線のトライである。この移動平均線は本日、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準4.309レベルと交錯している。テクニカルラインが重なる4.30レベルを重要なレジスタンスの水準と想定しておきたい。

トルコリラ円が4.30台の攻防へシフトする場合は、9月2日の高値水準4.328のトライそしてブレイクアウトが焦点に浮上しよう。

再掲:トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

再掲:トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView


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