米国債市場 パウエル証言後の反応が焦点に / ドル円とユーロドルそれぞれの焦点とチャートポイント
現在は、景気の後退リスクとインフレの高止まりリスクが同時に意識される状況にある。外為市場(米ドル相場)のトレンドを左右する米国債市場はパウエル証言に対する反応が焦点に。今週のドル円とユーロドルの焦点は?そしてチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米国債市場 パウエル証言後の反応が焦点に
【サマリー】
・市場は景気の後退とインフレの両リスクに直面
・パウエル証言と米債市場の反応に注目
・ドル円の焦点とチャートポイントについて
・ユーロドルの焦点とチャートポイントについて
・景気の後退リスクとインフレの高止まりリスク
世界の主要な株式市場では景気の後退リスクを意識する動きが見られる。そして国際商品市場でも同様のムードが高まっている。景気の動向と連動するNY原油先物価格(WTI)は、今月14日の高値123.66レベルから108ドル台まで急落した。北海ブレント原油先物(BRENT)も同月14日の高値125.14から111ドル台まで下落幅が拡大した。
また、「産業の血管」と言われる銅先物(LME3ヶ月物)は直近5間で5%超下落している。これらの動きを受け、国際商品市場のトレンドを示すCRB指数は330ポイントがレジスタンスとなり下落トレンドへ転じている。この動きは、資源国通貨にとってネガティブ要因である。
CRB指数のチャート
一方、アメリカでは今後もインフレが高止まりするリスクがくすぶり続ける可能性が高い。この点についてイエレン米財務長官は19日のABC番組(This week)で、今年は高インフレの状況が続く可能性に言及した。また、メスター・クリーブランド連銀総裁もCBSの番組(フェース・ザ・ネーション)で、インフレ率が2%の物価目標に低下するまで2年かかると指摘した。
1年先の期待インフレ率(BEI)5%台で高止まりの状況にある。ミシガン大学消費者信頼感指数の1年先期待インフレ率も同じく5%台で推移している。また、同指数の5年先期待インフレ率は上昇トレンドを維持し3%台で推移している。キーマン達の予想通り、少なくとも今年はインフレリスクに直面し続ける可能性が高いだろう。
・パウエル証言と米金利の反応
米債市場は現在、景気の後退リスクとインフレの高止まりリスクー両リスクをにらんだ状況となっている。今週はパウエルFRB議長が半期に一度の議会証言に臨む。目新しい発言は出てこないと思われるが、インフレ抑制重視のスタンスを改めて示す場合、米国債の利回りがどのように反応するのか?この点を観察することで、上述した2つのリスクのうち、米債市場の参加者がどちらのリスクをより重視しているのか?を推し量ることができよう。
米金利のチャート
ドル円の焦点とチャートポイント
・上昇局面での焦点
週明けのドル円(USDJPY)は、134.90レベルでスタートした。そして135円台へ難なく上昇した。一方、通貨オプション市場のリスクリバーサル(1週間/1ヶ月)の動きを確認すると、ドル・プットの基調が一服している。MACDでは、ドル円の地合いの強さを示す動きが続いている。これらの動向を総合的に考えると、日米金融政策スタンスの差を意識したドル円の上昇トレンドが続く可能性を意識したい。焦点は当然、新たなレジスタンスポイントを見極めることにある。
ドル円が上値トライとなる場合、目先は直近高値135.59(今月15日高値)のブレイクに成功するかどうか?この点に注目したい。
ドル円が135.59のブレイクに成功する場合、次の焦点は136円台への上昇、およびこのレポートで何度も指摘してきたフィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準136.68レベルのトライ&ブレイクとなろう。
また、ドル円が上昇基調にある局面でもうひとつ注目したいのが、135円台の維持である。この水準がサポートポイントとして意識される局面が多くなる場合、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
ドル円のチャート
・下落局面での焦点
米国の債券市場で景気の後退リスクが強く意識される場合、「米国債利回りの低下→ドル円(USDJPY)の下落」を想定しておきたい。このケースでの焦点は、6月FOMC後の反落を止めた21日移動平均線(EMA)の維持が焦点となろう。
景気の後退リスクが意識される局面では、米国債利回りの低下と米国株の下落が同時に発生することが予想される。このケースでは、ドル円の21日線ブレイクを想定すると同時に、破られるまでレジスタンスポイントとして意識されていた131.34レベルおよび短期サポートラインのトライ&ブレイクが焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート
ユーロドルの焦点とチャートポイント
・下落リスクを意識 1.0348レベルのトライ&ブレイクが焦点に
今週のユーロドル(EURUSD)は、下落幅の拡大を警戒したい。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータで投機筋のポジション動向を確認すると、5万枚のネットロングから6千枚のネットショートへ転じている。テクニカルの面では21日移動平均線(EMA)がレジスタンスラインとして意識され、MACDやRSIは地合いの弱さを示唆する状況にある。米欧の金融引き締めペースの差が意識されやすい状況にあることも考えるならば、ユーロドルは1.04のブレイクを警戒する局面にある。
実際、ユーロドルが1.03台の攻防へシフトする場合は、現時点での今年最安値1.0348レベルをトライするか?この点が焦点となろう。このサポートポイントを下方ブレイクする展開となれば、フィボナッチ・プロジェクション50.0%の水準1.02138レベルを次のサポートポイントと想定しておきたい。
・21日線と短期レジスタンスライン
上で述べたとおり、景気の後退リスクが意識される局面では米国債の利回りが低下することが予想される。この局面では、米ドル売りの圧力が高まることが予想されるため、ユーロドル(EURUSD)の反発を想定しておきたい。
だが、米国債の利回りが低下する局面では、株式市場や国際商品市場も下落する展開が予想される。リスク資産の下落はリスク回避の米ドル買い要因となる。よって、ユーロドルが反発しても21日線もしくは短期レジスタンスラインで反発が止められる展開を現時点では想定しておきたい。
ユーロドルのチャート
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