米エネルギー株と国際商品市場でトレンド転換の兆し / ドル円のチャートポイント
ドル円は調整の反落も底堅さを維持。しかし資源価格の下落トレンドが続く場合は不意打ちのような下落幅の拡大に直面する可能性あり。そう考える理由とは?目先、注目しておきたいチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米エネルギー株と国際商品市場でトレンド転換の兆し
【サマリー】
・米エネルギー株と国際商品市場にトレンド転換の兆し
・資源価格の下落は将来の景気後退を意識した動きの可能性あり
・資源価格の下落に米国債利回りが低下で追随すれば日本円とスイスフランが買われるだろう
・ドル円の焦点とチャートポイント
・トレンド転換の兆しが見られる米エネルギーセクターと国際商品市場
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、上院委員会での証言に臨み、インフレの抑制に注力していくことを改めて表明した。今後の利上げペースについてはデータに応じて機敏に対応するとした。米国経済については足元の堅調さに言及する一方で、金融引き締めによる将来の景気後退の可能性も認めた。
一連の証言内容を受け、この日の米国株式市場は売り買いが交錯する展開となった。最後は売り優勢となり下落して引けた。現在の米国株で筆者が注目しているのが、エネルギーセクター(S&P500エネルギー株指数)の動向である。
今年に入りこのセクターは、株安の局面でもインフレの進行を意識した状況が続き、「セーフヘイブン」のような位置づけで上昇トレンドを維持してきた。しかし、月初来(6月)のパフォーマンス(騰落率)を確認すると、マイナス15%近く下落する状況となっている(22日時点でマイナス14.94%)。
米エネルギーセクターの動きは、国際商品市場のそれとほぼ一致している。市場全体のトレンドを示すCRB指数の日足チャートを確認すると、今月9日を境にして下落トレンドへ転じていることがわかる。そして直近は、短期サポートラインを完全に下方ブレイクする展開となっている。ロシアーウクライナ紛争の長期化とそれに伴う資源供給の問題が意識されているにも関わらず、資源価格に下落の圧力が高まっている状況は、将来の景気後退とそれに伴う資源需要の縮小を国際商品市場の参加者が意識し始めていることを示唆している。
CRB指数のチャート
・米国債利回りは“いつ”低下基調へ転じるのか?
そうであるならば、今後想定すべきは米国債利回りの低下である。特に長期金利の動きが重要となるが、22日はパウエル証言後に低下し、その後は横ばい推移となり反発が限られた。現状、上で述べた米株のエネルギーセクターや国際商品市場のように米長期金利が低下のトレンドへ転じるムードは高まっていない。しかし、今後「景気の後退懸念→資源価格の下落」が続く場合、米長期金利はこの動きに追随するだろう。それが“いつ”なのか?この点を見極めることが、今の米国債市場の焦点と言える(すでに始まっている可能性もある)。
・ドル円は下落幅が拡大する局面を警戒
米長期金利が明確に低下トレンドへ転じる場合、またはその可能性が米債市場で強く意識される場合、リスク資産(株式や商品)にはさらに下落の圧力が高まることが予想される。市場全体がリスク回避相場に陥る場合、外為市場では日本円とスイスフランを買う動きが強まることが予想される。特に米国債利回りと連動し、かつ上昇幅の拡大が続いているドル円(USDJPY)では、不意打ちのような下落幅の拡大に直面する可能性があるため要注意。
米長期金利のチャート
ドル円の焦点とチャートポイント
・136.70レベルの突破
22日のドル円(USDJPY)は、米国債利回りの低下が影響し、一時135円台へ下落する局面が見られた(安値135.68レベル)。しかし、レジスタンスポイントだった135.50-60レベルの維持に成功し、かつ136円台へすぐに反発するあたり、ドル円の地合いの強さがうかがえる。
本日、ドル円が上昇する局面で注目したいのが、136.70レベルのトライ&ブレイクである。このレポートで何度も指摘してきたとおり、136.68はフィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準にあたる。昨日は、見事にこのテクニカルポイントで上昇が止められた。この水準でドル円の上昇が連日止められる場合は、136.70レベルが新たなレジスタンスポイントとして意識される可能性が高まろう。逆にこのレベルを難なく突破する場合は、137円台への攻防シフトを想定しておきたい。
・135円ミドルと21日線
上で述べたとおり、現在は米国株のエネルギーセクターと国際商品市場でトレンドの転換ムードにある。この状況が続けば、「将来の景気後退→資源価格の下落→インフレの低下」が意識されることで、米国債利回りには低下の圧力が強まることが予想される。米国債利回りの低下が続く場合、その動きとの相関性が高いドル円(USDJPY)にも反落の圧力が高まることが予想される。
ドル円が下値をトライする場合、目先の焦点は上で述べた135円ミドルの維持である(レジスタンスポイントからサポートポイントへの転換)。昨日は安値135.68レベルでサポートされた。米国債利回りが低下しても135円ミドルを維持する場合、市場参加者は日米の金融政策スタンスの差によるドル円の上昇トレンドが続くことを意識するだろう。
一方、ドル円が135円ミドルの維持に失敗する場合は、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の下落相場を止めた21日移動平均線(EMA)の維持が焦点として浮上しよう。このEMAは今日現在、133.16前後で推移している。
ドル円のチャート
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